ループス腎炎(lupus nephritis: LN)は全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE)に合併して生じる腎障害であり,その約10~30%が末期腎不全に移行し生命予後を悪化させる.LNにおける薬物治療は,ステロイドを第一選択薬として用い,重症例ではシクロホスファミド静注,あるいはミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil: MMF)のいずれかを併用する.このうちMMFは経口剤であり,その侵襲性の低さから欧米諸国で汎用されている.MMFは生体内で速やかにミコフェノール酸 (mycophenolic acid: MPA) に加水分解されるが,MPAは体内動態の個体内,個体間変動が大きく,投与量と血中濃度が相関しないことが知られている.そのため,TDMに基づきMMFの投与量を最適化する必要がある.成人患者においては,投与後12時間までの血中濃度曲線下面積(area under the curve0-12: AUC0-12)を30~45µg・hr/mL以上に保つことで良好な腎予後を得られたことがこれまでに報告されている.しかしながら,小児患者における目標血中濃度については症例数が限られており,これまで明らかにされていなかった.今回は小児LN患者を対象に,MPAの血中濃度と治療効果および副作用発現との関連性を解析したZhangらの論文を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) van Gelder T. et al., Nephrol. Dial. Transplant., 30, 560-564(2015).
2) Łuszczyńska P., Pawiński T., Ther. Drug Monit., 37, 711-717(2015).
3) Zhang L. et al., Rheumatology, 63, SI180-SI187(2024).
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