ファルマシア
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61 巻, 4 号
選択された号の論文の46件中1~46を表示しています
目次
  • 2025 年61 巻4 号 p. 288-289
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    ミニ特集:分子ロボット

    ミニ特集にあたって:本号では,薬学会会員の皆様にとって聞き馴染みがないかもしれない「分子ロボット」をテーマとしてミニ特集を企画し,先端研究を推進中の先生方にご執筆頂いた.基礎研究として新規性に富み興味深いだけでなく,創薬への応用も視野に入る技術である点で皆様の研究開発のヒントになれば幸いである.これを機に,分子ロボット分野と薬学研究者との間で対話が進むことを期待する.

    表紙の説明:61巻偶数号の表紙を飾るのは,ピクトグラムである.様々な分野で活躍するファルマシア読者の姿をイメージしてデザインした.ご自身の姿と重なるピクトグラムは見つかるだろうか.見つからないという方は,ご自身の姿を表現するピクトグラムを思い浮かべてほしい.表紙のイメージよりも多くの分野の方々にファルマシアが届くことを願っている.

オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 最前線
  • 小長谷 明彦, 村田 智
    2025 年61 巻4 号 p. 297-301
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    生物のように生体分子を用いて、感覚、知能、運動などの機能を持つ人工物を創ることを目的として、2010年より分子ロボットの研究が日本で始まった。背景が異なる研究者達による自由闊達な議論の中から生まれたのが、単純な分子ロボットからより複雑な分子ロボットに段階的に進化させようという「分子ロボット進化シナリオ」である。本総説では,分子ロボット進化シナリオに沿って、分子ロボットの設計思想とこれまでの系譜について概観すると共に、「分子サイバネティクス」での最新研究および併走して行われた分子ロボット倫理研究ならびに社会実装に向けた活動について言及する.

ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
  • 神谷 厚輝, 豊田 太郎
    2025 年61 巻4 号 p. 319-323
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    両親媒性分子の二重膜で形成される細胞サイズの人工小胞体は,モデル細胞膜として利用されているだけでなく,人工細胞の容器,そして分子ロボットの「車体」として注目されている.この人工小胞体は二重膜の外膜と内膜という二面それぞれを反応場とすることで,各膜のみに担持させる分子だけでなく,二重膜を貫通する分子にも物質輸送や化学反応に異方性をもたらす信号変換装置としてはたらく.人工細胞型分子ロボット作製に向けた基盤研究と移植医療の要素技術としての人工細胞型分子ロボットの最新研究について紹介する.

ミニ特集 最前線
  • 川又 生吹, 角五 彰
    2025 年61 巻4 号 p. 324-328
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    従来のロボット工学の手法を参考に、分子サイズの部品から分子ロボットを構築する新しい学問分野「分子ロボティクス」が創出されてきた。当研究グループは、ロボット工学における注目分野の一つである「群ロボット」を、生体由来の材料をビルディングブロックとして利用した分子システム(分子ロボット)で実現することを目指している。本節では、我々のこれまでの取り組みついて紹介する。

セミナー
  • 下賀 菜生, 手塚 裕之
    2025 年61 巻4 号 p. 329-334
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    腸管は絶えず食物や腸内常在菌などに曝されているにもかかわらず、これらの異物に対して積極的に免疫応答が誘導されることはない。また、粘膜面は病原体の主な感染経路として知られているが、分泌型抗体を中心とした防御機構により、そのほとんどは排除される。このように、異物に対して相反する応答は「粘膜免疫系」と呼ばれる、全身免疫系とは異なるシステムによって制御されている。近年、樹状細胞が粘膜免疫系の恒常性維持に重要な役割を演じていることが報告されている。本稿では、マウスの研究により得られた知見を中心に、腸管粘膜免疫系を司る樹状細胞の役割、ならびに同細胞に組織特有の機能を付与する機序について紹介する。

セミナー
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2025 年61 巻4 号 p. 340-341
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.

    本稿は,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和6年12月27日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.

    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.

最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 笹本 大空
    2025 年61 巻4 号 p. 350
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    近年,化学的に安定で入手容易な分子骨格を特定の部位における原子の挿入や除去,置換などによって新しい骨格へと変換する技術が注目を集めている.例えば,インドールに対して金属Liを作用させることで,C-N結合を還元的に開裂し,ホウ素原子を骨格内に挿入する方法が知られている.ほかにも,遷移金属触媒やカルベンを利用する方法が開発されてきたが,基質適用範囲の観点から,これらとは異なる活性化機構による反応開発が望まれている.本稿では,ボランジメチルスルフィド錯体(BH3・SMe2)を用いた骨格変換反応について紹介する.本反応は,ボランが有する還元性とホウ素のルイス酸性を上手く活用した変換反応である.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Jurczyk J. et al., Nat. Synth., 1, 352-364(2022).

    2) Saito H., Yorimitsu H., Chem. Lett., 48, 1019-1028(2019).

    3) Ren C. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 63, e202407222(2024).

    4) McConnell C. R., Liu S. -Y. Chem. Soc. Rev., 48, 3436-3453(2019).

  • 関根 美夢
    2025 年61 巻4 号 p. 351
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)(NAD(P)H)は,細胞内の酸化還元反応の重要な役割を担っている補酵素の1つである.NAD(P)Hの濃度と疾患に関連性があることが指摘され,その生理的ふるまいの興味から,様々な検出方法が開発されてきた.特に蛍光イメージングは感度よく,特異的に生細胞をリアルタイムでイメージング可能であることから,盛んに研究が行われている.還元型のNAD(P)Hの吸収波長と蛍光波長は340nmと465nmであり,イメージングに利用される蛍光分子は,より長波長で蛍光を示すことが求められる.今回,蛍光団の1つであるクマリン骨格をベースとした高感度かつリアルタイムにNAD(P)H濃度をモニタリングできる蛍光プローブが報告されたため,本稿で紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Sun P. et al., Spectrochim. Acta Part A, 245, 118919(2021).

    2) Olowolagba A. M. et al., ACS Appl. Bio Mater., 7, 5437-5451(2024).

  • 柘植 厚志
    2025 年61 巻4 号 p. 352
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    生薬・漢方薬をはじめとした天然物医薬品は,多成分系であるために活性本体の同定が困難である.天然物に含有する化合物は配糖体が多いことから,経口投与後の代謝物を含めて数えきれないほどの化合物を一つ一つ検証していくのはこれまで現実的ではなかった.そのため活性化合物の探索では,含有量が多い化合物や単離可能な化合物など優先順位をつけて検証が行われてきた.近年,生体内の分子を網羅的に解析する手法であるオミクス解析の技術が急速に発達し,天然物分野においても生物活性成分の作用機序解析に有用であることが報告されている.本稿では,中国でサルコペニアの治療に応用されている天然物医薬品である백芪壮筋缺(Gui Qi Zhuang Jin Decoction: GQZJD)について,メタボロミクス解析を用い作用機序の解明を試みたWangらの研究を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Song C. et al., PLoS One, 19, e0310014(2024).

    2) Ohbuchi K. et al., Metabolomics, 16, 63(2020).

    3) Wang D. et al., Phytomedicine, 133, 155908(2024).

  • 渡 優有
    2025 年61 巻4 号 p. 353
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    受容体型チロシンキナーゼ(RTK)の異常なリン酸化はがんの発生や進行,転移などに関与している.そのため,異常なリン酸化を特異的かつ効率的に阻害する方法は,がん治療薬の開発において極めて重要である.これまでに,小分子や抗体を利用した様々なリン酸化阻害薬が治療薬として承認されているが,これらのリン酸化阻害薬はRTKの自己リン酸化に起因する薬効の低下やオフターゲット効果などの課題もある.本稿では,DNAアプタマーの複合体を用いて,脱リン酸化酵素をRTKに近接させることでRTKのリン酸化を阻害する方法(aptamer-based receptor inhibition by phosphatase recruitment: Apt-RIPR)について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Regad T., Cancers, 7, 1758-1784(2015).

    2) Wu S. et al., J. Am. Chem. Soc., 146, 22445-22454(2024).

  • 松田 隆志
    2025 年61 巻4 号 p. 354
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    ヒトを含む脊椎動物では,体内環境の変化に応じて水分摂取や排尿などの生理機能を制御し,体液状態を安定に保つことが重要である.脳は,例外的に血液脳関門を持たない感覚性脳室周囲器官(sCVOs)を通して血液や脳脊髄液などの体液の状態変化を監視している.例えば,sCVOsの神経細胞は血中のアンジオテンシンⅡ濃度やNa濃度の上昇に応じて水分欲求を誘導している.本稿では,血液脳関門の存在する「小脳」が,血中のアスプロシンを介して水分摂取を制御するという驚くべき報告について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Noda M., Matsuda T., Proc. Jpn. Acad. Ser. B Phys. Biol. Sci., 98, 283-324(2022).

    2) Mishra I. et al., Nat. Neurosci., 27, 1745-1757(2024).

    3) Feng B. et al., Sci. Adv., 9, eabq6718(2023).

    4) Sader M. et al., Brain Behav., 13, e3286(2023).

    5) Matsuda T. et al., Cell Rep., 43, 113619(2024).

  • 喜多 絢海
    2025 年61 巻4 号 p. 355
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    「Exercise is Medicine」という言葉があるように,運動が薬のように様々な疾患の予防・治療法となることは広く知られている.運動療法の効果が認知されている疾患には,代謝性疾患や心血管疾患だけでなく,うつ病や不安障害などの精神疾患も含まれる.運動は体内の乳酸やケトン体などの代謝産物の量を著しく変化させる.これらの代謝産物は精神機能に作用することが示唆されているものの,その作用機序は不明な点が多い.本稿では,運動が乳酸を介して抗不安効果をもたらす機序を明らかにしたYanらの報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Yan L. et al., Cell Metab., 36, 2104-2117(2024).

    2) Zhang D. et al., Nature, 574, 575-580(2019).

    3) Bao H. et al., J. Neurophysiol., 94, 1888-1903(2005).

  • 植松 勇伍
    2025 年61 巻4 号 p. 356
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    水は,我々人類が生きていくうえで絶対に欠かすことのできない物質の1つである.河川や湖沼などは,我々がふだん利用する水の最も重要な供給源であり,その水環境が汚染されると,水生生物に悪影響を及ぼすだけでなく,我々ヒトの健康を著しく害する可能性がある.そのため,水環境汚染は重大な公衆衛生学上の問題の1つとして広く知られている.重金属や放射性同位体,栄養塩類,染料や農薬などによる水環境汚染は以前より知られている.これらの物質の除去技術については,これまでに多くの研究報告がなされていることもあり,飛躍的に向上している.その一方で,近年では医薬品やマイクロプラスチックなどをはじめとする「新興汚染物質(contaminants of emerging concern: CECs)」による汚染が着目されている.これらは通常の水処理施設では除去が難しく,高度な酸化処理や限外ろ過によって除去できる.しかし,設備やコストなどの課題も多いのが現状である.

    吸着法は最も簡便な水環境浄化方法の1つであり,特に活性炭による吸着は古くから注目を集めている.本稿では,活性炭によるCECsの吸着能について,計算科学的手法を用いてアプローチした報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) González-Rodríguez L. et al., J. Env. Chem. Eng., 12, 112911(2024).

    2) Mohamed E. F. et al., Environ. Technol., 32, 1325-1336(2011).

  • 堀 倫徳
    2025 年61 巻4 号 p. 357
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    ブリーバラセタム(Brivaracetam: BRV)は,てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)の治療に使用される抗てんかん薬 (antiseizure medications: ASMs) であり,我が国では2024年8月より販売が開始された.本剤は,脳内の神経終末に存在するシナプス小胞蛋白2Aへと結合することにより抗てんかん作用を示す.BRVと同作用機序の薬剤としてレベチラセタム(Levetiracetam: LEV)があるが,BRVはLEVにプロピル基を付加することでシナプス小胞蛋白2Aに対する親和性を向上し,より強い抗てんかん作用を発現すると考えられている.BRVは,併用するASMsに関わらず有効性および忍容性の面で良好な結果が得られており,我が国でも今後使用が拡大していくと考えられる一方で,高齢者におけるBRVの有効性および忍容性への評価は不足している.そこで本稿では,てんかんを有する高齢者(65歳以上)および16歳以上65歳未満の患者におけるBRVの有効性と忍容性について評価した論文について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Yamagata A. et al., Nat. Commun., 15, 3027(2024).

    2) Moseley B. et al., Adv. Ther., 41, 1746-1758(2024).

    3) Faught E. et al., Epilepsy Behav., 158, 109922(2024).

会議派遣報告
  • 川岸 裕幸, 竹内 雄一
    2025 年61 巻4 号 p. 346-347
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    2024年10月に、韓国薬学会主催の国際学会「2024 Fall International Convention of the Pharmaceutical Society of Korea」が、韓国・ソウル市のThe-K Hotel Seoulで開催された。本学会のテーマは「Advancing the Pharmaceutical Sciences by Cutting-Edge Technologies with Interdisciplinary Research Frameworks」であり、様々な先端技術を活用した分野横断的な薬学研究に関する講演が多数行われた。国内外から多くの研究者が参加し、最先端の研究成果が共有される場となった。この度、筆者らが日本薬学会より講演者として派遣いただいたので、本会のシンポジウム内容や会全体の様子について概説する。

紹介
資料
  • 爲廣 紀正
    2025 年61 巻4 号 p. 349
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル 認証あり

    食物アレルギー表示制度では、食物アレルギー患者の健康危害の発生を防止する観点から、「特定原材料」(義務表示品目)および「特定原材料に準ずるもの」(推奨表示品目)を定めている。表示の対象品目は、食物アレルギーの全国実態調査結果に基づいて選定されており、アレルギー症例の原因食品の現状を踏まえ、令和6年3月にマカダミアナッツを推奨表示品目に追加し、まつたけを同項目から削除することとなった。本稿では,今般の改正について,食品表示制度に関わる情報と合わせて紹介する。

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