ヒトを含む脊椎動物では,体内環境の変化に応じて水分摂取や排尿などの生理機能を制御し,体液状態を安定に保つことが重要である.脳は,例外的に血液脳関門を持たない感覚性脳室周囲器官(sCVOs)を通して血液や脳脊髄液などの体液の状態変化を監視している.例えば,sCVOsの神経細胞は血中のアンジオテンシンⅡ濃度やNa+濃度の上昇に応じて水分欲求を誘導している.本稿では,血液脳関門の存在する「小脳」が,血中のアスプロシンを介して水分摂取を制御するという驚くべき報告について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Noda M., Matsuda T., Proc. Jpn. Acad. Ser. B Phys. Biol. Sci., 98, 283-324(2022).
2) Mishra I. et al., Nat. Neurosci., 27, 1745-1757(2024).
3) Feng B. et al., Sci. Adv., 9, eabq6718(2023).
4) Sader M. et al., Brain Behav., 13, e3286(2023).
5) Matsuda T. et al., Cell Rep., 43, 113619(2024).
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