天然物の構造決定は,ここ数十年にわたるNMR装置を含めた各種分析機器の発展に伴い,比較的容易になった.しかしながら,依然として,天然物の構造決定に誤りが見つかることも珍しくない.誤って構造決定された天然物の存在は,更なる誤った発見につながる可能性があるため,そのような天然物を発見し,真の構造を解明することは重要である.本稿では,このような背景のもと,NMR化学シフトの実験値と計算値を踏まえ,人工ニューラルネットワークを使用したパターン認識分析(artificial neural network- pattern recognition analysis: ANN-PRA)とDP4+解析を組み合わせたアプローチにより,天然物であるヘリアンヌオール類の構造を検証したMartoranoらの研究を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Martorano L. H. et al., J. Org. Chem., 89, 8937-8950(2024).
2) Sarotti A. M., Org. Biomol. Chem., 11, 4847-4859(2013).
3) Zanardi M. M., Sarotti A. M., J. Org. Chem., 80, 9371-9378(2015).
4) Grimblat N. et al., J. Org. Chem., 80, 12526-12534(2015).
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