ファルマシア
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61 巻, 6 号
選択された号の論文の45件中1~45を表示しています
目次
オピニオン
  • 本間 浩
    2025 年61 巻6 号 p. 501
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    近年、日本の「創薬力の向上」が課題とされ、政府は基礎研究の強化や臨床試験体制の整備を推進している。薬学教育において、6年制薬剤師教育は優れた「医療人」の養成を主な目的としている。一方で、学部4年制教育は創薬人材育成の観点から重要な役割を果たせるはずである。薬剤師資格を持つ創薬人材の育成に加え、創薬に貢献する多様な人材を養成するため、4年制教育の意義を再評価し、この教育体制の充実と将来について議論を深めてもよいのではないか。

Editor's Eye
最前線
  • 有機合成の生産革命をめざして
    伊藤 肇
    2025 年61 巻6 号 p. 509-513
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    有機合成は医薬品生産に不可欠だが、従来の手法では大量の有機溶媒を使用し、コストや環境負荷が問題視されてきた。近年、溶媒使用を抑制する研究が進み、メカノケミカル有機合成が注目されている。この手法ではボールミルを用い、無溶媒または極少量の溶媒で反応を進める。我々の研究により、従来より多様な反応が実現し、反応時間の大幅短縮、廃棄物削減、生産コスト低減が可能となった。本稿ではその成果と今後の展望を紹介する。

最前線
最前線
最前線
話題
話題
セミナー:創薬科学賞
セミナー:創薬科学賞
承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2025 年61 巻6 号 p. 547
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.

    本稿は,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和7年2月20日付分の情報より引用掲載しています.また,次号以降の「承認薬インフォメーション」欄で一般名,有効成分または本質および化学構造,効能・効果などを表示するとともに,「新薬のプロフィル」欄において詳しく解説しますので,そちらも併せて参照して下さい.

    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.

最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
  • 平田 祐介
    2025 年61 巻6 号 p. 550-551
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    筆者は,カナダ・トロントのThe Hospital for Sick Children(通称SickKids:トロント小児病院)において,膜生物学(membrane biology)分野のleading scientistsであるSergio Grinstein教授,Spencer Freeman助教のもとで,2021 年8 月~2022 年7 月までの1年間,Visiting Researcherとして研究する機会を得た.コロナ禍の中,家族(妻と当時7 歳,2歳の息子たち)を連れ立っての留学は,多くの困難を伴ったが,周囲の支えや幸運に恵まれ,予定していた1年間の留学を無事終えることができ,公私ともにかけがえのない経験となった.本著が,留学に興味ある方のご参考になれば幸いである.

長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
  • 田仲 涼眞
    2025 年61 巻6 号 p. 553_1
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    長井記念薬学研究奨励支援事業へ採用していただいたことは,筆者にとって研究者として生きる人生を選ぶための非常に重要なきっかけになった.支援があったからこそ博士課程へ進学する覚悟を決め,分子複合体の形成に関する研究テーマに専念できた.在学中には米国ミネソタ大学での研究留学も叶い,翌年からは日本学術振興会特別研究員にも採択される結果となった.大塚誠教授に師事しながら論文を書き続け,2021年には学位を取得し,その後は塩野義製薬の研究者となった.企業では自身の専門を活かして共結晶化合物の製品開発 (COVID-19経口治療薬) に従事し,製剤の処方設計から商用生産体制の構築まで,開発品の上市に携わることができた.入社早々,多忙な日々を過ごすことになったが,承認されたときの感動は忘れられない.研究活動を通じて積み上げてきたものが人々の健康を守ることにつながり,心から嬉しく,また大きな達成感を感じた.このような経験ができたのは,ひとえに周りの方々のお力添えと本事業に採用していただいたおかげである.筆者は2024年10月から大阪医科薬科大学の製剤設計学研究室 (戸塚裕一教授) の助教として着任した.今後はアカデミアにて教育に力を入れながら,世界で活躍する科学者として基礎および応用研究に寄与していきたい.将来,製薬・製剤技術の発展に貢献することで,皆様に恩返しができるよう,精進していく.

長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 高島 克輝
    2025 年61 巻6 号 p. 555
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    薬剤耐性菌が増加傾向にあるなか,新たな抗菌薬の標的として細菌の2成分情報伝達系(TCS)が注目されている.特に,TCS WalK/WalRはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の生存に必須であるため,そのリガンド探索が活発に行われている.一方で,高度に官能化された[6-6-6-6-6]五環式骨格を持つxanthene型天然物12はMRSAに強い抗菌活性を示すことから,抗菌薬への応用が期待されている.しかし,天然からの12の供給量がごくわずかであることに加えて,効率的なその骨格形成法も開発されていないことから,創薬への応用は実現されていなかった.今回,Chengらは光延反応を用いた光学分割と逆ヘミケタール化/ダブルマイケルカスケード反応を鍵反応として,12や関連天然物36の効率的な全合成に成功した.さらに全合成研究の過程で得た化合物が,WalKの活性化に基づきMRSAに抗菌活性を示すことも見いだした.本稿では,天然物16の全合成とその鍵反応に焦点を当てて紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Igarashi M. et al., J. Antibiot., 66, 459-464(2013).

    2) Cheng M. -J. et al., Nat. Commun., 15, 5879(2024).

  • 楽満 憲太
    2025 年61 巻6 号 p. 556
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    全身麻酔に必要な筋弛緩薬は効果時間の調整や残留性の問題から,一般的に筋弛緩回復薬と合わせて利用される.最も汎用的な筋弛緩薬と回復薬の組み合わせはロクロニウム(1)とシクロデキストリン類のスガマデクスであり,スガマデクスが迅速に1を内包してホスト-ゲスト複合体を形成することで回復作用を示す.しかし,スガマデクスは対応可能な筋弛緩薬が限定的であるため,より広域な筋弛緩薬を迅速に捕捉可能な回復薬の開発が求められている.これまでにMaらは,非環式のククルビット[n]ウリル(acyclic cucurbit[n]urils: acCBs)2の高水溶性と生体適合性,および3の高い筋弛緩回復活性を報告したものの,これらの性質を併せ持つ分子を見いだしていなかった.本稿ではFengとMaらによる,上記3つの性質を持つacCBの開発研究を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Ma D. et al., Angew. Chem., Int. Ed., 51, 11358-11362(2012).

    2) Hoffmann U. et al., Anesthesiology, 119, 317-325(2013).

    3) Feng K. et al., J. Med. Chem., 67, 17905-17918 (2024).

  • 棟方 涼介
    2025 年61 巻6 号 p. 557
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    モルヒネやパクリタキセルをはじめ,植物成分は医薬原料として広く活用されており,現在はこのような有用成分の大量生産に向けて,原料植物種における生産機構が世界中で研究されている.セイヨウオトギリソウ(Hypericum perforatum)の抽出物はヨーロッパを中心にうつ病の治療に用いられており,その主な薬効成分の1つはヒペルフォリンである(図1).ヒペルフォリンの生合成については,ドラフトゲノムの解読や,葉など蓄積器官のトランスクリプトーム解析により,上流のポリケタイド合成酵素遺伝子などが発見されてきた.一方で,このような網羅的解析を潜り抜け,最終盤の4つのプレニル基の転移反応や環化反応を担う酵素遺伝子群は未知であった(図1).そこで本稿では,ヒペルフォリン生合成の全反応段階の解明を目指したWuらの研究を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Wu S. et al., New Phytol., 235, 646-661(2022).

    2) Wu S. et al., Mol. Plant, 17, 1439-1457(2024).

  • 林 弓
    2025 年61 巻6 号 p. 558
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    近年,新薬候補が数多く合成されている.開発品目の約75%は溶解性が極めて低い難溶性薬物であり,バイオアベイラビリティが低く,たとえ優れた薬理活性を有していても,そのままでは臨床応用が難しい場合がある.溶解性を改善するため様々な対処法があるが,そのなかに原薬を共結晶に変換する手法がある.共結晶は2成分以上から成る結晶の形態であり,原薬の溶解性や安定性を向上させることが期待できる.共結晶の主な調製法の1つとして,化合物とカウンター分子を有機溶媒中に懸濁して共結晶の結晶化を促すスラリー法が用いられるが,この方法は有機溶媒を使用するため,溶媒残留や環境への影響,予期せぬ溶媒和物の形成などの課題がある.こうした課題を解決するため,近年,深共晶溶媒(deep eutectic solvent: DES)が注目されている.DESは,常温で固体または液体の物質を混合することで作成され,共晶融点降下により常温で液体であり,低毒性,高い安定性,安価,高い生分解性などの特徴を持つ.薬学分野でも,DESの有用性を見いだす試みが行われており,例えば,共結晶化のための溶媒や原薬の溶解に関する研究がある.本稿では,DESを用いた共結晶調製法の研究について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Dai X. L. et al., Cryst. Growth Des., 24, 7686-7694(2024).

    2) Nica M. A. et al., Pharmaceuticals, 17, 1316(2024).

  • 森尾 花恵
    2025 年61 巻6 号 p. 559
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    びまん性正中グリオーマ(diffuse midline glioma: DMG)は,小児の高悪性度グリオーマのうち最大50%の頻度で発生する難治性の脳腫瘍(中央生存期間は約11か月)であり,その悪性度を決定づける要因の追求および新たな治療法の開発が望まれている.一方で,DMGではヒストンH3.1またはH3.3の27番目のリシンがメチオニンに変わるH3K27M変異が頻繁に生じ,DMGの悪性化に関与することが知られている.しかしながら,DMGの周囲に存在するミクログリアや単球由来マクロファージ (monocyte-derived macrophage: MDM)等の腫瘍関連マクロファージ(tumor-associated macrophage: TAM)に上記の変異が与える影響は不明である.本稿では,H3K27M変異がTAMに与える影響およびそれを標的とした治療に関する新たな知見を報告したRossらの論文を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Mackay A. et al., Cancer Cell, 32, 520-537. e5(2017).

    2) Ross J. L. et al., Brain, 144, 2594-2609(2021).

    3) Ross J. L. et al., Immunity, 57, 2669-2687(2024).

  • 佐藤 伸哉
    2025 年61 巻6 号 p. 560
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    ユビキチン化は,ユビキチン活性化酵素,ユビキチン結合酵素,ユビキチンリガーゼの3種類の酵素を介したカスケード反応によって進行するタンパク質の翻訳後修飾の一種である.本修飾は,タンパク質の選択的分解 (ユビキチン―プロテアソーム分解系:UPS)をはじめとした様々な生体内プロセスの制御に関与する.近年,UPSを応用した創薬技術として,標的タンパク質分解誘導化合物(proteolysis targeting chimera: PROTAC)が注目されている.PROTACは,標的タンパク質に結合するリガンドと,ユビキチンリガーゼに結合するリガンドをリンカーでつないだヘテロ二機能性化合物である.通常は標的とならないタンパク質に対して,ユビキチンリガーゼを強制的に近接させることでユビキチン化し,標的タンパク質の分解を誘導する.一般的な分子標的薬は,標的タンパク質に可逆的に結合し,その働きを量論的に阻害するのに対し,PROTACは標的タンパク質を不可逆的に分解できる.また,薬効を示さず上市に至らなかった化合物であっても,標的タンパク質に対する結合親和性が高い場合には,PROTACのリガンドとして再利用できる可能性がある.このような特性から,PROTACは革新的な疾患治療手段として注目されている.本稿では,標的タンパク質とパートナータンパク質の結合を阻害し,PROTACと標的タンパク質の結合を促進することで,分解効率を向上できることを示した森らの報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Li K., Crews C. M., Chem. Soc. Rev., 51, 5214-5236(2022).

    2) Mori Y. et al., Nat. Commun., 15, 5379(2024).

  • 古川 那由太
    2025 年61 巻6 号 p. 561
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    ブドウの主要な有機酸の1つであるL-リンゴ酸は鋭い酸味と渋みを呈するため,ワインの品質を大きく低下させる.そこで多くの赤ワインや一部の白ワインでは,乳酸菌のマロラクティック発酵(malolactic fermentation: MLF)によってL-リンゴ酸をL-乳酸に分解し,味をまろやかにする.またMLF中は乳酸菌が香気成分を分泌するため,MLFはワインの品質を決定づける重要な工程と言える.MLFはアルコール発酵完了後に乳酸菌を接種する逐次接種法と,アルコール発酵中に乳酸菌を接種する共接種法の2種類に大別されるが,多くのワイナリーでは品質が安定している逐次接種法が採用されている.本稿では,逐次接種法より短期間で高品質のシャルドネワインを醸造可能な共接種法に関する知見を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Fu J. et al., Microorganisms, 10, 2363(2022).

    2) Capozzi V. et al., Fermentation, 7, 24(2021).

    3) Yang L. et al., Food Res Int., 190, 114636(2024).

  • 田中 早織
    2025 年61 巻6 号 p. 562
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)は,原因不明の慢性炎症性疾患である.寛解導入を目指しQOLを改善するために,特に中程度から重度のUCの治療においては,生物学的製剤や低分子化合物を用いた内科的治療が主流になっている.しかし,従来の治療で十分な効果が得られなかった患者において高い臨床的寛解率を示すとは言えず,更なる新しいアプローチが必要である.近年,マウス腫瘍壊死因子様サイトカイン1A(TL1A)抗体が,マウス大腸炎モデルにおいて活動性大腸炎を効果的に治療するとの報告がある.さらに,ヒトTL1Aが炎症性腸疾患の病因に関与していることが示唆されている.本稿では,中等度から重度の活動性UC患者に対して,TL1Aに高い親和性および特異性をもつヒト化IgG1κモノクローナル抗体であるツリソキバルトの寛解導入に対する有効性と安全性を評価した論文を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Choden T. et al., Gastroenterol. Hepatol(NY)., 18, 265-271(2022).

    2) Takedatsu H. et al., Gastroenterology, 135, 552-567(2008).

    3) Sands B. E. et al., N. Engl. J. Med., 391, 1119-1129(2024).

紹介
資料
  • 久保 満希子
    2025 年61 巻6 号 p. 552
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル フリー

    熱中症対策の強化のため、気候変動適応法及び独立行政法人環境再生保全機構法の一部を改正する法律が可決・成立した。この改正適応法では、熱中症警戒情報の法定化及び熱中症特別警戒情報の創設、市町村長による指定暑熱避難施設等の指定等の制度が措置された。改正適応法の施行のため、「気候変動適応法施行規則」が制定され、令和6年から施行された。この施行規則は、熱中症警戒情報等及び指定暑熱避難施設、普及団体等に関する事項について、改正法の施行に向けて所要の規定を定めるものである。

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