ファルマシア
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61 巻, 8 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
目次
  • 2025 年61 巻8 号 p. 706-707
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    ミニ特集:セレン研究アップデート

    ミニ特集にあたって:セレンは,過剰摂取すると毒性を示す一方で,生体にとって欠かすことのできない必須微量元素であり,過剰症,欠乏症,いずれもが知られている.近年注目されている新規の細胞死であるフェロトーシスとも密接に関係している.また,化学的にもユニークな性質を持つ元素であり,セレン創薬の展開も期待されている.本ミニ特集では,このセレンについて,新たに見いだされた生体内機能,代謝,セレン創薬に関する最先端の研究をご紹介いただいた.59巻3号の「生命と金属」においても,セレンに関するコラムが2報掲載されている.セレンに関する理解を深めるために,ぜひあわせて読んでいただきたい.

    表紙の説明:61巻偶数号の表紙を飾るのは,ピクトグラムである.様々な分野で活躍するファルマシア読者の姿をイメージしてデザインした.ご自身の姿と重なるピクトグラムは見つかるだろうか.見つからないという方は,ご自身の姿を表現するピクトグラムを思い浮かべてほしい.表紙のイメージよりも多くの分野の方々にファルマシアが届くことを願っている.

オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 セミナー
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
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最前線
最前線
最前線
最前線
セミナー
最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
  • 激動期のアメリカで得たもの
    嶋中 雄太
    2025 年61 巻8 号 p. 764-765
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    筆者は2019年9月から2024年8月までの5年間をUCLAのPeter Tontonoz研究室で過ごした。陽の降り注ぐロサンゼルスで、素晴らしい研究環境に胸を躍らせ、文化の違いに衝撃を受けながらも順調な滑り出しをしたかに思えた。しかし、奇しくもパンデミックや社会の混乱を目の当たりにし、この困難をラボの仲間と乗り越えることとなる。本稿では日本にいては経験できなかったであろう研究・日常生活を紹介する。

長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 田口 純平
    2025 年61 巻8 号 p. 768
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    生体直交型反応は,生物学的プロセスを妨げることなく,生体内で選択的かつ定量的に進行する反応である.そのなかでも,テトラジンとtrans-シクロオクテン(TCO)間の逆電子要請型Diels-Alder反応は,優れた反応速度を示し,イメージング,タンパク質の機能制御,オンデマンド放出可能なプロドラッグなど幅広い応用が展開されている.一方で,テトラジンの反応性は安定性とトレードオフの関係にあるとされており,テトラジンへの電子求引性基の導入によるLUMO準位の低下は,反応性を向上させるものの,生体内の求核剤による分解を招く.本稿では,この安定性と反応性のトレードオフの課題に対し,計算科学を駆使して独自の打開策を提示したLiuらの報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Li Y. et al., J. Am. Chem. Soc., 146, 26884-26896(2024).

  • 岡村 秀紀
    2025 年61 巻8 号 p. 769
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    抗がん薬による副作用の発現は,がんの化学療法における大きな課題である.この問題の解決策として,抗がん薬ががん特異的に活性化されるように化学改変したプロドラッグの開発が進められている.その一例として,放射線治療に用いられるX線やガンマ線によって活性化されるプロドラッグが知られている.これらの放射線感受性プロドラッグは,電離放射線が照射された部位のみで活性化されるため,抗がん薬に起因する毒性の軽減が期待される.しかし,医療用放射線の照射範囲は限られているため,転移性がんへの応用は難しい.一方,近年では,放射性同位体をがん特異的に集積させて治療を行う標的核医学治療が注目を集めている.もし,これらの放射性医薬品の周囲のみで放射線感受性プロドラッグを活性化できれば,体内に分散した転移性がんを放射線と抗がん薬の両方で狙い撃つことが可能となる.このように,核医学治療と化学療法を融合させた新たな治療概念が,Guoらによって報告されたので紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Geng J. et al., Nat. Chem., 13, 805-810(2021).

    2) Guo Z. et al., ACS Cent. Sci., 10, 2321-2330(2024).

    3) Deng Z. et al., J. Am. Chem. Soc., 142,7803-7812(2020).

  • 北川 翔大
    2025 年61 巻8 号 p. 770
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    夏季においては,海水浴など野外での活動が盛んになる一方,日中の強い日差しが皮膚に与える影響に悩まされる方も多いのではないだろうか.適度な日差しは骨密度の維持や体内時計のリセット等に有用であるが,過度な日差しはシミやソバカスなどの原因にもなる.これらの悩みを解決すべく,様々な美白剤が開発されているが,合成薬剤を使用した化粧品は安全性の面で懸念があり,化粧品業界ではより安全で効果的な天然美白剤が求められている.シミ,ソバカスなどの色素沈着は日差し中のUVBをはじめとする様々な刺激で生じ,その過程には天然色素であるメラニンが深く関係している.本稿では,標高3,000mに自生するユキノシタ科植物Bergenia purpurascens抽出物のメラニン産生抑制作用について解析したSeoらの研究を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Seo J. et al., J. Agric. Food Chem., 72, 23957-23968(2024).

    2) Chakraborty A. K. et al., Ann. N. Y. Acad. Sci., 885, 100-116(1999).

    3) Lai X. et al., Chemistry, 24, 47-55(2018).

  • 川口 充康
    2025 年61 巻8 号 p. 771
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    生体内のアミノ酸の多くはL体であり,タンパク質はL-アミノ酸により構成される.しかし,D-アミノ酸も一部存在し,遊離アミノ酸や短鎖ペプチドの一部として利用されている.タンパク質は,他のタンパク質と相互作用することで機能を発揮することがあるが,例えばL-タンパク質をD-タンパク質に変換すると,もとのパートナーのL-タンパク質と相互作用できないことが知られている.

    ここ25年ほどで,特定の立体構造を持たない天然変性タンパク質(IDP)の機能解析が進んでいる.IDPにより形成される複合体の立体構造の程度は様々であり,高い自由度を持つ複合体から秩序を持つ複合体まで存在するが,原子レベルでの複合体形成の理解は進んでいない.特に,複合体形成におけるタンパク質中のアミノ酸のキラリティの重要性は,これまでほとんど理解されていない.本稿では,複合体形成におけるキラリティへの感受性が複合体の無秩序さと負に相関することを明らかにしたNewcombeらの研究を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Tugyl R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 102, 413-418(2005).

    2) Newcombe E. A. et al., Nature, 636, 762-768(2024).

  • 篠原 明莉
    2025 年61 巻8 号 p. 772
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    細胞骨格タンパク質は,細胞の形態維持や運動,細胞内輸送といった多くの動的プロセスと関連しており,近年,ビメンチンをはじめとする細胞骨格タンパク質が免疫細胞の接着や浸潤などの機能に関与することが報告されている.制御性T細胞(Treg)は,宿主の免疫応答を抑制するCD4陽性のT細胞である.Tregは,免疫シナプスとは反対側にdistal pole complex(DPC)を形成し,T細胞内のシグナル伝達を負に制御してT細胞の活性化を抑制する.DPCには,ビメンチンが局在することが報告されているが,その機能は不明であった.本稿では,ビメンチンがTregの活性化を制御する分子スイッチとして機能することを示したMaらの報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Tur-Gracia S., Martinez-Quiles N., J. Cell Sci., 134, jcs253534(2021).

    2) Ma R. et al., Cell Rep., 43, 115056(2024).

    3) Arpaia N. et al., Cell., 162, 1078-1089(2015).

    4) Cox J. R. et al., Front. Immunol., 12, 670471(2021).

  • 石神 育歩
    2025 年61 巻8 号 p. 773
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    がん関連死のほとんどは転移を経て進行することが知られており,がん治療において転移の抑制は非常に重要な課題である.近年,神経細胞が神経伝達物質の産生や免疫応答の制御を介してがん細胞浸潤の足場となることが明らかとなってきた.すなわち神経細胞は,がんの転移や悪性化に寄与しており,神経とがんとの相互作用に注目した医薬品の開発も進められている.本稿では,感覚神経が乳がん組織内に神経突起を伸長させ,その浸潤や転移を制御するメカニズムを明らかにしたPadmanabanらの論文を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Gerstberger S. et al., Cell, 186, 1564-1579(2023).

    2) Padmanaban V. et al., Nature, 633, 207-215(2024).

    3) Tavora B. et al., Nature, 586, 299-304(2020).

  • 要田 恒希
    2025 年61 巻8 号 p. 774
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    乳がんは女性のがん関連死因の大部分を占めており,予防法の構築,治療戦略や新規バイオマーカーの確立が希求されている.金属元素は,酵素の補因子としての働きや細胞内での様々な代謝過程において重要な役割を果たすが,金属の異常な蓄積や欠乏が,がんの発生や進行に寄与することが示唆されている.特に,鉄(Fe),銅(Cu),亜鉛(Zn)などの必須微量金属の蓄積とがんの病態生理には密接な関係がある.しかし,がん細胞は代謝の活性化や金属選択性の低下を来たすことから,非必須金属についてもがんの進行への関与が疑われる.本稿では,レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計と飛行時間型質量分析計(LA-ICP-TOF-MS)を活用することで,転移が認められた患者から得た腫瘍組織(転移性腫瘍組織)と転移が認められない患者から得た腫瘍組織(非転移性腫瘍組織)における各金属元素の空間的分布を網羅的に解析し,定量化を実現したEscudero-Cernudaらの研究成果を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Cabré N. et al., Breast, 42, 142-149(2018).

    2) Escudero-Cernuda S. et al., Anal. Bioanal. Chem., 417, 361-371(2025).

    3) Parameswari E. et al., "Heavy Metals-Their Environmental Impacts and Mitigation", Mazen Nazal, Hongbo Zhao(ed.), IntechOpen, 2021.

    4) Guo Q. et al., Front. Oncol., 11, 778492(2021).

    5) Bendellaa M. et al., Int. J. Cancer, 154, 7-20(2024).

  • 梅津 海王
    2025 年61 巻8 号 p. 775
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー

    大腸がん(colorectal cancer: CRC)は,世界中でがんによる死亡原因の上位に挙げられ,高齢化に伴い患者数は増加傾向にある.日本では新規患者のうち,約6割が70歳以上と高齢者の割合が高くなっている.切除不能転移性大腸がん(metastatic colorectal cancer: MCRC)に対する治療として,フッ化ピリミジン系抗がん剤(fluoropyrimidine: FP)をベースとし,オキサリプラチン(oxaliplatin: OX)やイリノテカンに分子標的薬であるベバシズマブ(bevacizumab: BEV)などを組み合わせた多剤併用療法が広く用いられているが,高齢者に対してOXを併用することの意義については,明確なエビデンスが不足している.そこで,OX追加の有効性と安全性を検討した,日本臨床腫瘍研究グループによる多施設共同無作為化第Ⅲ相試験(JCOG1018試験)を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Takashima A. et al., J. Clin. Oncol., 42, 3967-3976(2024).

    2) Seymour M. T. et al., Lancet, 377, 1749-1759(2011).

    3) Lonardi S. et al., J. Clin. Oncol., 41, 5263-5273(2023).

会議派遣報告
追悼
  • 浜瀬 健司
    2025 年61 巻8 号 p. 766
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル 認証あり

    中嶋暉躬先生におかれましては、当年1月4日に満91歳で逝去されました。先生は東京大学薬学部の助手、助教授を務められた後、広島大学、東京医科歯科大学、東京大学の教授、日本薬学会副会頭、サントリー生物有機科学研究所理事長・所長、星薬科大学学長などとして要職を歴任されるとともに、多大な研究業績を残されました。心からお悔やみ申し上げますと共に、先生が安らかに永眠されます事をお祈り申し上げます。

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