ファルマシア
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62 巻, 6 号
選択された号の論文の43件中1~43を表示しています
目次
  • 2026 年62 巻6 号 p. 488-489
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル フリー

    ミニ特集:薬学と医療経済

    ミニ特集にあたって:経済は私たちの暮らしを左右する.当然ながら,薬に関わる経済にも私たちは目を配るべきだが,ちょっと縁遠い世界で起こるよくわからない話と思ってしまいがちである.しかし,ドラッグラグ,医薬品不足,高額療養費制度見直し,といったニュースが頻繁に流れる現在,いったい何が起こっているのかしっかりと理解するべきである. 今回のミニ特集「薬学と医療経済」では,医療経済の分野で活躍されている専門の先生方のご執筆に加え,患者の側からの声もとりあげた.これをきっかけにこの分野に関心を持ち,自分なりにできることをしていく読者が増えることを期待する.

    表紙の説明:62巻偶数号の表紙を飾るのは,ピクトグラムである.様々な分野で活躍するファルマシア読者の姿をイメージしてデザインした.ご自身の姿と重なるピクトグラムは見つかるだろうか.見つからないという方は,ご自身の姿を表現するピクトグラムを思い浮かべてほしい.表紙のイメージよりも多くの分野の方々にファルマシアが届くことを願っている.

オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
ミニ特集 話題
最前線
  • V-ATPaseによる小胞輸送因子のリクルート
    關谷 瑞樹, 松元 奈緒美
    2026 年62 巻6 号 p. 517-521
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    オルガネラ輸送は,細胞内外に物質を配送するシステムとして,すべての細胞の基本的な生命活動を支えるだけでなく,骨吸収やインスリン分泌など細胞の高次機能にも深く関与している.オルガネラが輸送される際には,まず小胞輸送因子である低分子量Gタンパク質(small GTPase)が,オルガネラ膜にリクルートされる必要がある.近年,プロトンポンプである液胞型ATPase(V-ATPase)が,小胞輸送因子のリクルートを介して,様々なオルガネラ輸送に重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある.本稿では,その概要について紹介する.

話題
  • 山口東京理科大学の理系グローバル人材育成プログラムが育てた実践的英語力
    坂井(前田) 久美子
    2026 年62 巻6 号 p. 522-527
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿は、地方大学薬学部生を対象に理系グローバル人材育成を目的として実施した、語学エクスチェンジを活用した大学英語教育の教育実践を報告する。課外活動としてオンライン国際交流を継続的に実施し、実践的英語コミュニケーション能力の育成を試みた。その結果、海外留学等に依存せず国内学習のみでも主体的発話や異文化理解の顕著な向上が認められた。本実践は、地方大学・理系学生における有効な英語教育の選択肢となり得ることを示唆している。

セミナー:創薬科学賞
セミナー:創薬科学賞
  • 城内 直, 田中 夏樹, 丹羽 貴子, 鈴木 貴
    2026 年62 巻6 号 p. 534-538
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 予防ワクチンは、世界的に様々なモダリティでの研究開発が進められた。次世代型ワクチンとして位置付けられるmRNAワクチンは、病原体遺伝子の配列情報から速やかに治験用ワクチンが製造でき、従来型ワクチン技術と比較し、臨床試験開始および実用化までのスピードアップが期待された。2020年3月、筆者らは、有望な新規モダリティとして研究を推進してきた独自のDS-LNP-mRNA (mRNA-encapsulated lipid nanoparticle) 技術を用いたCOVID-19に対するmRNAワクチンの研究開発に着手した。2023年8月、新型コロナウイルス発生当初の起源株対応ワクチン (コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン) の国内製造販売承認を取得し、続いて流行変異株に対する製造販売承認事項一部変更承認(以下、「一変承認」と略する。)を取得した。今後は、将来の新興・再興感染症に備え、本技術をプラットフォーム化し、予防医療として人々の健康で豊かな生活の維持に貢献したい。

私のターニングポイント
  • 本田 顕子
    2026 年62 巻6 号 p. 540-541
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    名前の「顕子」は、顕微鏡で見るように物事や人をしっかりと見つめて、優しい子に育つようにと父がつけた。「顕」にはあきらかという意味があり、名をあきらかにし、世のため人のために尽くすという願いもあったと後に聞いた。世のため人のためになる政策を実現するにあたり、「見つめる」ことの意味が単に視覚だけでなく多様な声を聴くことも含めて、人・物事をよく見る、よく知ることの大切さを実感している。本稿では、筆者自身が「いま」に至る大きな節目と思える3つの出来事についてご紹介させていただく。

承認薬の一覧
  • 新薬紹介委員会
    2026 年62 巻6 号 p. 539
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    本稿では厚生労働省が新たに承認した新有効成分含有医薬品など新規性の高い医薬品について,資料として掲載します.表1は,当該医薬品について販売名,申請会社名,薬効分類を一覧としました.

    本稿は,厚生労働省医薬局医薬品審査管理課より各都道府県薬務主管課あてに通知される“新医薬品として承認された医薬品について”等を基に作成しています.今回は,令和8年2月19日付分の情報より引用掲載しています.

    なお,当該医薬品に関する詳細な情報は,医薬品医療機器総合機構のホームページ→「医療用医薬品」→「医療用医薬品 情報検索」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)より検索できます.

最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 安川 直樹
    2026 年62 巻6 号 p. 548
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    飽和環状構造は,医薬品・農薬をはじめとする機能性分子や天然物に広く見られる基本構造である.なかでも,飽和四員環化合物であるアゼチジン,チエタン,シクロブタンは,化学的安定性・代謝安定性・標的特異性といったユニークな性質を示すことから,創薬化学の分野で近年注目を集めている.これらの化合物は一般的に,1,3-ジブロモプロパンなどのジハロゲン化合物に対する求核置換反応によって合成される.しかし,置換基を有する四員環を構築する場合には,出発原料であるジハロゲン化合物を多工程で別途調製する必要があり,多大な労力と時間を要する.本稿では,このような課題を解決するアプローチとして,入手容易なオキセタンの酸素原子を炭素・窒素・硫黄原子へと置換する光触媒的原子スワップ反応について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Zhang Y.-Q. et al., Nature, 647, 906-912(2025).

    2) Dai C. et al., Nat. Chem., 3, 140-145(2011).

  • 柴田 綾
    2026 年62 巻6 号 p. 549
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    DNAzyme(Dz)は,特定のRNA配列を触媒的に切断可能な人工核酸であり,疾患関連mRNAの抑制を目的として数多く研究されている.また,特定の刺激により活性が制御できるDzの開発も進んでいるが,その多くが化学修飾した核酸ユニットをDzに組み込むものであり,構築に煩雑な工程を必要とする.一方,プロテアーゼはアポトーシスなど多様な生命現象に深く関与しており,その活性異常は多くの疾患と密接に関連していることが報告されている.そのため,プロテアーゼ活性を精密に検出および制御可能なシステムの構築は,診断と治療の両面において重要な課題である.

    本稿ではDzにプロテアーゼ応答性を簡単に付与できる分子として,Zhangらが開発したプロテアーゼ応答性カチオン性ペプチド(PP)とその応用について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Wang R. et al., J. Am. Chem. Soc., 145, 17926-17935(2023).

    2) Zhang Q. et al., J. Am. Chem. Soc., 147, 34944-34958(2025).

  • 中野 大輔
    2026 年62 巻6 号 p. 550
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    薬学は,「くすり」の学問であるが,薬を使わずによい健康状態を続けられることが第一であると考える.東洋医学では未病を已病にしないという考えがあり,病気になる前の日常生活の過ごし方なども大切である.また,医食同源・薬食同源という言葉があり,食品も日々の積み重ねにより体への影響が大きく,薬膳というかたちで発展してきた.そのなかでもハチミツは古くから食品だけでなく薬膳や東洋医学でも用いられ,調味だけでなく,消化器疾患の緩和や降圧作用などが知られている.近年,Navarro-HerreraらがGC-Orbitrap-High Resolution(HR)MSとHPLCを組み合わせた方法で蜜源が違うハチミツ中の成分について網羅的に解析し,様々な指標成分を同定し,ハチミツの起源植物の同定精度を高めるための新たな分析手法を見いだしたので,紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Aryal M., J. Appl. Toxicol., 45, 2240-2256(2025).

    2) Navarro-Herrera A. M. et al., Food Chem., 495, 146418(2025).

    3) Karabagias I. K. et al., Microchem. J., 152, 104263(2020).

  • 沖田 ひかり
    2026 年62 巻6 号 p. 551
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    1970年代後半より開発されてきたDNAの配列解析技術は,1990年に開始したヒトゲノムの全貌を明らかにするプロジェクトにおいて,極めて重要な役割を担った.その後もDNAの配列解析は第一世代の「サンガー法とキャピラリー電気泳動との融合技術」をはじめとして,第二世代の「ブリッジPCR法を利用した次世代シーケンシング(NGS)」,第三世代の「数万塩基程度の長鎖DNAの読み取りを可能にする,PCR増幅が不要な単分子計測」,第四世代の「バイオポアや固体ナノポアを利用するナノポアシーケンシング」へと発展を遂げた. 第一世代から第三世代までは生物学的ツールを駆使し,塩基配列を間接的に読み取る手法であるのに対し,第四世代では電気信号を用いて核酸の化学構造を直接読み取ることを可能にするため,シーケンシング開発の長い歴史において最終段階の技術になると示唆されている.

    この第四世代には,「生体膜上のバイオポアと呼ばれるナノサイズの孔(ナノポア)を有するタンパク質を用いた,実用化済みの生物学的手法」と「人工的に形成された固体ナノポアを用いた,開発途中の工学的手法」があり,いずれもナノポアにDNA鎖やRNA鎖が通過する際に生じるイオン電流の違いから塩基配列を明らかにする仕組みを利用している.ナノポアに固体ナノポアを用いる場合,生体膜を用いるバイオポアとは異なり,耐久性に優れているが,配列解析には大きな課題が残っていた.

    工学的手法によるナノポアではこれまで48,502塩基対から成るバクテリオファージ由来のλDNAを二本鎖DNAとして検知可能であることが示されてきたが,二本鎖DNAのままでは塩基配列を読み取れないことが問題であった.しかしながら,工学的手法では固体ナノポアにおける電気信号の増強のためにイオン強度を大きくする必要があり,それが意図せず二本鎖DNAを安定化させてしまうため,一本鎖DNAへの解離を困難にしていた.そこで,ナノポアを通過する直前の二本鎖DNAをナノヒーターで局所的に加熱することで,本問題の解決を目指した筒井と川合らの取り組みを紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Shendure J. et al., Nature, 550, 345-353(2017).

    2) Tsutsui M. et al., Small Methods, 6, 2200761(2022).

    3) Tsutsui M. et al., ACS Nano, 19, 28900-28912(2025).

  • 國本 浩之
    2026 年62 巻6 号 p. 552
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    男性の生殖細胞系列における変異蓄積は,出生児に受け継がれる突然変異の主要な起源である.そのなかでも近年,父親の加齢に伴い,特定の遺伝子変異を持つ精原幹細胞が優先的に増殖することで,小児の発達障害や先天性疾患の発症リスクを高めている可能性が指摘されてきた.しかし,精子の変異頻度が極めて低いことから従来のシーケンス技術では網羅的解析が困難であり,その実態は十分に把握されていなかった.今回紹介する論文では,超低頻度変異を高精度に検出できるNanoSeq(duplex sequencing)を用いて,81例(24~75歳)の精液および対応する血液サンプルを解析し,男性生殖系列における変異蓄積と選択圧を評価した.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Wood K. A., Goriely A., Fertil. Steril., 118, 1001-1012(2022).

    2) Neville M. D. C. et al., Nature, 647, 421-428(2025).

  • 山田 夏葵
    2026 年62 巻6 号 p. 553
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    難治性の神経障害性疼痛は,手術後や帯状疱疹,糖尿病,がん治療など多岐にわたる患者にみられるにもかかわらず,既存の治療薬の有効性は限られている.NMDA型グルタミン酸受容体(NMDA受容体)は脊髄後角におけるシナプス可塑性に関与し,神経障害性疼痛の病態に重要な役割を果たすと考えられてきた.既存のNMDA受容体拮抗薬は疼痛治療に有効ではあるものの,NMDA受容体は様々な機能に関与しており,眠気やめまい,悪心・嘔吐などの副作用をを引き起こす.そのため,神経障害性疼痛の分子基盤を明らかにし,新規治療標的を提示することは疼痛研究において重要な課題である.

    体積調節アニオンチャネル(volume-regulated anion channels: VRACs)は,様々なロイシンリピート含有タンパク質8(leucine-rich repeat-containing protein 8: LRRC8)ファミリーから構成される.なかでも,LRRC8AはVRACの形成に必須のサブユニットであり,脳卒中,糖尿病,がんなどの様々な疾患への関与が報告されている.これまでLRRC8Aは細胞容積調節やアポトーシス,代謝調節など多様な生理学的機能を担うことが報告されていたが,疼痛伝達における役割は明らかにされていなかった.本稿では,LRRC8AがNMDA受容体の活性を抑制し,痛みを減弱する仕組みを明らかにしたDengらの報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Zhou J. J. et al., Exp. Neurol., 332, 113391(2020).

    2) Deng M. et al., Sci. Transl. Med., 17, eadu4879(2025).

  • 中川 夏美
    2026 年62 巻6 号 p. 554
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    レトロエレメント(retroelement)は,RNAを中間体として自身の配列をコピーし,ゲノム内の別の位置に挿入される可動性遺伝因子の総称であり,生物の遺伝的多様性の形成に関与するDNA配列である.これらの遺伝因子の多くは,ゲノム上を移動すること自体が主な特徴である.これに対し,細菌に存在する「多様性生成レトロエレメント(diversity-generating retroelement: DGR)」は,特定の遺伝子配列に集中的に変異を導入することで,標的タンパク質の配列と機能を急速に多様化させる点に特徴がある.大規模ゲノム解析により,DGRは多様な細菌種に広く分布し,水平伝播を介して機能的多様化に寄与していることが示されている.しかしながら,腸内微生物叢のような複雑な生態系において,DGRがどのようにして特定のタンパク質の進化を駆動するのかは,これまで十分に理解されていなかった.この課題に対し,近年,腸内微生物におけるDGRが標的タンパク質の進化を実際に生み出していることを示した報告がなされた.本稿ではこの研究を中心に,DGRによる標的タンパク質進化機構とその衛生薬学的意義について概説する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Benler S. et al., Microbiome, 6, 191(2018).

    2) Macadangdang B. R. et al., Science, 390, eadv2111(2025).

    3) Wu L. et al., Nucleic Acids Res., 46, 11-24(2018).

    4) Sakaguchi T. et al., Int. J. Mol. Sci., 26, 9326(2025).

  • 三浦 基靖
    2026 年62 巻6 号 p. 555
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/06/01
    ジャーナル 認証あり

    近年,仮想現実(virtual reality: VR)技術は,教育および医療の分野において急速に応用が進展しており,没入型インターフェースを介して学習者の主体性や実践的スキルの向上が期待されている.特に医療系教育では,VRを活用した手技トレーニングや臨床現場を模したシミュレーション教育が注目されており,実際の医療環境を再現することによって,学習者の理解促進や自己効力感の向上が報告されている.さらに臨床においても,VRを用いた治療介入の有用性が示されつつある.Nikiらは,がん治療における副作用緩和や不安軽減など,患者支援を目的とした介入手段としてVRが有効であることを報告している. これらの知見は,VRが単なる視覚的または娯楽的技術にとどまらず,教育および医療現場において有用なツールと成り得ることを示唆している.このようなVR技術を臨床課題の解決に応用した研究として,Wangらの論文を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Coyne L. et al., Am. J. Pharm. Educ., 83, 7456(2019).

    2) Niki K. et al., J. Med. Internet Res., 27, e65924(2025).

    3) Wang J. et al., Nat. Med., 31, 2255-2268(2025).

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