森林総合研究所研究報告
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15 巻, 1-2 号
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特集「2013年伊豆大島土石流災害と森林」
  • 大丸 裕武
    2016 年 15 巻 1-2 号 p. 19-
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/20
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 伊東 宏樹, 松井 哲哉, 飛田 博順, 五十嵐 哲也, 小川 明穂, 松浦 陽次郎
    2016 年 15 巻 1-2 号 p. 21-30
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/20
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    電子付録
    伊豆大島の斜面崩壊現場において、崩壊以前の森林が崩壊にどのような影響を及ぼしたのか評価することを可能にするため、植生タイプごとに単位面積あたりの木本植物の地上部および地下部現存量を推定することを主な目的とした。GIS 上で被災地周辺の航空写真と現存植生図を重ねあわせ、崩壊前の現存植生タイプを推定した。被害発生地周辺の 7 箇所の調査地点に方形区を設置して胸高周囲長10cm 以上の幹について毎木調査をおこない、林分構造を明らかにした。周辺の倒木を採取し、各林分の現存量を推定した。斜面崩壊前の植生の多くはオオシマザクラなどが優占する森林であり、隣接して、ヒサカキ ‐ ハチジョウイヌツゲ林やスダジイ林などが認められた。推定された地上部現存量は、スダジイ林で最も大きく、次いでオオシマザクラ優占林、ヒサカキ ‐ ハチジョウイヌツゲ林の順であった。地上部/ 地下部の重量比 (T/R 比) はオオシマザクラ優占林で2.9 ~ 3.8、ヒサカキ ‐ ハチジョウイヌツゲ林で 2.7 ~ 2.8 であった。調査地点における森林の地上部現存量には、オオシマザクラ優占林とヒサカキ ‐ ハチジョウイヌツゲ林との間に顕著な差は見られなかったが、T/R 比は前者で大きい傾向があった。斜面崩壊発生時点での現存量 (生重量) を推定できた。この結果は、地表面に与えていた負荷の評価等に利用可能である。
  • 村上 亘, 小川 明穂, 小川 泰浩, 大丸 裕武
    2016 年 15 巻 1-2 号 p. 31-38
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/20
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2013年10月16日の台風26号の通過に伴い大規模な斜面崩壊が発生した伊豆大島において、崩壊斜面周辺に分布する倒木の樹種、樹高、根系深や根系幅といった根系の分布状況について調査を行った。調査した倒木の根系深と根系幅は樹種によって異なっていた。計測した倒木はヒサカキが最も多く、次にハチジョウイヌツゲが多く分布していた。これらは表層の浅い範囲に根を広げる傾向があった。ヤブツバキやオオシマザクラは比較的地下深くに根を広げる傾向が認められたが、本数は少なかった。このことから、崩壊した斜面では崩壊を抑制させづらい樹種構成であったことも崩壊の素因としてあったことが推測された。
  • 村上 亘, 小川 明穂
    2016 年 15 巻 1-2 号 p. 39-47
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/20
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2013年10月16日の台風26号の通過に伴う豪雨により伊豆大島で発生した崩壊斜面に近接する崩壊していない斜面の林内において複数の風倒木を確認した。風倒被害が発生した樹木の樹種および発生分布の特徴を明らかにするために、風倒木の樹種、樹高、根の深さ(根系深)や広がり( 根系幅) 、分布位置および傾動方向について調査した。風倒木の多くはハチジョウイヌツゲ (Ilexcrenata var. hachijoensis) であった。風倒木は面的には発生しておらず、林内に1 ~複数本、点在して発生し、緩傾斜の斜面で発生が認められた。風倒木の根系深は大部分が地表から50cm 以内の浅い範囲に分布しており、浅い範囲に根を広げた樹木が風倒被害にあったことが推測された。また、風倒木の傾動方向は、調査範囲によってばらつきが多い場所もあるが、南西~北向きが多く、今回の台風の通過の際の最大風速が観測される前の、南東からの風によって倒れた可能性が考えられた。
  • 大丸 裕武
    2016 年 15 巻 1-2 号 p. 49-57
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/03/20
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2013年10月の豪雨によって東京都伊豆大島の元町地区では大規模な表層崩壊によって多量の流木を伴う土石流が発生して市街地に多くの被害を与えた。今回の災害で多量の流木が発生した背景を明らかにするため、過去の空中写真を用いて写真測量を行い、過去と現在の植生高を比較した結果、1976年から2013年の間に元町地区上方の斜面では多くの場所で樹高が3 ~ 6m も増加し、2倍程度になったことが明らかになった。伊豆大島の森林は薪炭生産等のために古くから強い利用圧を受けてきたことが知られている。写真測量から明らかになった樹高の増大は主として樹木の成長に よるものであり、とくに広葉樹林については1960年代以降に進行した燃料革命による薪炭生産の終結が大きく影響していると推定される。
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