骨粗鬆症患者は日本に約1600万人おり,その約8割が女性である.女性ホルモンのエストロゲンは,骨吸収を緩やかにして骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きをしている.また,ホルモンと同様にビタミンやミネラル,タンパク質も骨代謝に影響を与える.例えばCaは骨強度を高めることが報告されているが,他のミネラルについてはほとんど検討されていない.本研究では,エストロゲン分泌不全状態を模した閉経後のモデルとして,卵巣摘出したマウスを用い,Cu,Zn,Mg含有水の摂取による骨組織の変化,骨代謝マーカーの変化,骨ミネラル濃度の変化を評価することで,骨粗鬆症の発症への影響を検討した.その結果,卵巣摘出後に Mg や Zn を投与すると,骨梁の回復,骨髄中脂肪細胞の減少などにより,骨代謝を正常化する可能性が示された.一方,Cuを投与すると,骨梁は回復するものの,骨髄中脂肪細胞面積が増加し,骨吸収マーカーも上昇するため,骨粗鬆症の発症を抑制できない可能性が示唆された.
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