環境保全のための植林には、その環境に適した地元の種苗、すなわち地域性種苗、をもちいることが望ましい。生物集団の遺伝的変異と適応度との関係を局所適応と雑種強勢および近交弱勢と遠交弱勢の観点から説明し、おもに局所適応と近交弱勢がはたらく樹木集団で地域性種苗の適応度に影響する要因をまとめた。そして、地域性種苗の確立のために必要な遺伝的多様性や地域区分、局所適応の知見を検討した。局所適応と表現型可塑性の知見は産地試験から得られる。開花結実期に達した産地試験地は、自生樹木に対する遺伝子汚染の危険があるが、積極的に活用すべきである。
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