核SSRマーカー6座に基づき、四国山地にわずか3 集団分布する固有変種シコクシラベの遺伝的変異を、本州のシラビソ精英樹群も含めて評価した。遺伝的多様性はシラビソ精英樹群が最も高く、シコクシラベ内では東部の剣山集団が中央部の石鎚山および笹ヶ峰集団よりも高かった。広義のシラビソの西端に分布する後者2集団では、遺伝的浮動の進行により遺伝的多様性が低下していると考えられた。FSTは0.095と比較的高い値を示し、集団間の遺伝的分化が進行していると考えられた。主座標分析によると剣山集団が比較的シラビソ精英樹群と近い遺伝的組成を示し、地理的位置が関係している可能性が考えられた。STRUCTURE解析では本変種の3集団は明瞭に異なるクラスターで構成されており、異なる遺伝的背景の下でそれぞれ固有の遺伝的変異を保有していることが考えられた。以上の情報は、今後の本変種の遺伝的管理にかかる基礎的知見として重要である。
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