森林遺伝育種
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8 巻, 1 号
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原著論文
  • 斎藤 真己, 後藤 晋
    2019 年 8 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2019/01/25
    公開日: 2019/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    富山県で生産している優良無花粉スギ「立山 森の輝き」の実生苗は、メンデルの遺伝の法則により約50% の頻度で有花粉の苗が混ざるため、出荷前にジベレリン処理をして強制的に着花させ、無花粉の苗を選抜している。その際に、シベレリンの影響で苗が徒長し大苗になる傾向がある。本研究では徒長した苗の梢端部分(5 cm程度)を切ることによって徒長を抑制し、さらに切った梢端を挿し木することによって無花粉の挿し木苗も同時に生産する方法について調査した。無花粉の実生苗100個体から梢端を採取し、バーミキュライトに挿しつけしたところ、その発根率は100%だった。翌年、それらをMスターコンテナに移植し育苗したところ、移植当年中で出荷可能な大きさになった。梢端を切りとった実生苗は、その後、切り口から数本の梢端が出てきたが、主軸となる梢端のみを残すことで、多枝になることもなく順調に生育した。これらのことから、本手法は無花粉の実生苗と挿し木苗を同時に生産でき、さらに梢端切除による実生苗の徒長抑制によって得苗率が向上する効果もあるため、新たな増殖方法として有望であると考えられた。

  • 来田 和人, 今 博計, 石塚 航, 黒丸 亮
    2019 年 8 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2019/01/25
    公開日: 2019/02/08
    ジャーナル オープンアクセス

    グイマツ×カラマツ雑種の優良家系「クリーンラーチ」は、種子の供給量が少なく実生苗木では需要を満たせないため、挿し木苗木により植栽が行われている。しかし、現在の圃場育成の実生苗を挿し木台木に用い、ペーパーポットに挿し木する方法では挿し穂数が少ない上に挿し木苗の根が根巻きを起こし発達が悪く、増殖率が低いため、苗木不足の解消に至っていない。そこで、コンテナを用いた台木の育成と挿し木の育苗の効果を調べた。150 ccコンテナに直接播種して挿し木台木を育苗することにより、挿し穂数が従来方法の10.2 ± 4.4本/台木から18.0 ± 3.8本/台木の1.8倍になった。また、コンテナに6月に挿し木し10月末まで温室で育苗することで、根の乾燥重量は従来方法の3.3倍となり、低温馴化期間が短くても翌年の生存率はペーパーポットより12.8% 高くなり、コンテナの有効性が明らかとなった。一方で、コンテナでは挿し木苗の本数密度が高くなり根元径の成長が抑制されることから、苗木の本数密度管理が重要であることが示唆された。

特集「次世代シーケンサー利用のための基礎から応用まで」
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