バニリンとペンタエリスリトールを原料として,スピロジオキサン環を有する3.9-ビス(4-ヒドロキシー3-メトキシフェニル)-2, 4, 8, 10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(I)を合成した。さらに,ビスフェノール(I)からポリテレフタレート(PTS)及びポリセバケート(PSS)を合成した。
X線回折測定によりPTSは結晶性であり, PSSは無定形であることがわかった。さらに,熱重量分析の結果, PTSおよびPSSの熱分解温度は,それぞれ, 568Kおよび527Kであり, PTSの方が熱的に安定であった。
また,示差走査熱量計による分析では, PTSは昇温測定により相転移は認められなかったが, PSSは363Kにガラス転移(
Tg)が認められた。PSSの
Tgと,すでに知られている9, 9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フセオレンあるいは9.9-ビス(4-ヒドロキシフェール)9, 10-ジヒドロアントラセンのポリセバケートの
Tgと比較を行い,スピロジオキサン環の剛直性を推定した。
さらに, PTSとPSSの熱容量(
Cp)の352Kから386Kの温度範囲で測定し, PTSの
Cpが低いことから,その熱的安定性のよいことを明らかにした。
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