延伸したポリフッ化ビニリデン膜を各温度で熱処理し,その圧電特性を調べた。熱処理温度の上昇とともに,結晶性は向上し, I型結晶(110, 200)面の格子定数は小さくなり,結晶の完全性は向上した。しかしながら,圧電性は,結晶の完全性とは逆に小さく,結晶双極子の配向度も小さくなった。このことから,不安定状態にある結晶に電界を印加すれば, C-F双極子を最も有効に配向させることが可能であると予想される。
この原理に基づき,新しい分極法を提案した。すなわち, I型からII型へ結晶転移する延伸過程,特にネッキングゾーンにのみ大きな電界を印加する延伸,分極同時処理であり,ゾーン延伸の手法を改良して行った。得られた圧電率は,比較的低い電界処理でも
d31~40pC/Nと非常に大きな値を得ることができた。
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