繊維学会誌
Online ISSN : 1884-2259
Print ISSN : 0037-9875
46 巻, 11 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 荻田 哲也, 鈴木 展康, 尾崎 文彦, 沢渡 千枝, 松生 勝
    1990 年 46 巻 11 号 p. 481-486
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    超高分子量(3×106)ポリエチレンのフィルムをSmithおよびLemstraの方法に従って,デカリンならびにρ-キシレン溶液からゲル化/結晶化させて調製した。デカリン溶液から作成したゲルフィルムのヤング率はキシレン溶液から作成したものよりも大きい。この興味深い現象を,ゲルを形成させる溶液の還元粘度と作成したゲルフィルムの構造との間の関係から研究した。構造は広角X線回折,小角X線散乱,および複屈折によって推定した。ヤング率は結晶化度によって影響を受け,そしてまた結晶化度は溶液中におけるポリエチレン鎖の広がりの大きさに敏感であることが判明した。
  • 田中 信行
    1990 年 46 巻 11 号 p. 487-490
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    i-PPの溶解性パラメータδを得るために, a-PPのRISモデルについて,融解温度の組成依存性が,共重合体の融解の拡張フローリ式にもとついて調べられた。ここで, a-PPはメソ単位とラセミ単位からなる二成分系ランダム共重合体として取り扱った。この解析は, i-PPに対して次のことを見い出した。非結晶域中の擬結晶による構造単位モルあたりの転移エンタルピーhxは, hu/su=hx/sx=Tm0 (457K)およびhu=1900cal/molのもとで1470cal/mol, (2hu-hx)/(2su-sx)=Tm0 (457K), hu=1900cal/molおよびsu=4.20 cal/mol・degのもとで1880cal/molであった。ここで, huは構造単位モルあたりの融解熱, suは構造単位モルあたりの融解エントロピー,およびsxは非結晶域中の擬結晶による構造単位モルあたりの転移エントロピーである。これらのhx値の式δ=(h0/V0)1/2(ただし, h0=hu+hx,モル体積V0)への代入は, i-PPに対してδ=8.26~8.75 (cal/mol)1/2を与えた。
  • 荒井 健一郎, 宇田川 博之
    1990 年 46 巻 11 号 p. 491-495
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    重合度の異なる三種のセルロースをp-フェニルアゾベンゾイルクロリドと反応させてエステル化し,このエステル化反応がセルロースの重合度の低いほど容易に進行することを認めた。得られたp-フェニルアゾ安息香酸セルロース(ABセルロース)の重合度の,暗所およびUV光照射下の液晶形成挙動に対する影響を検討した。クロロホルムおよびテトラヒドロフランのいずれを溶媒とする場合にも,規則的配列構造を形成するABセルロースの臨界濃度はABセルロースの重合度の増加に従って著しく低下し,また暗所中とUV光照射下の臨界濃度の差は増加することを見い出した。暗所において臨界濃度よりわずかに高い濃度で一度形成された液晶相の, UV光照射下での消失時間もまたABセルロースの重合度の増加に伴って減少した。これらの結果は,重合度の高いABセルロースほど臨界濃度が低いために,セルロースバックボーンのセグメントの易動度が高いこと,などによると推定した。これらの結果から,重合度の高いセルロースバックボーンを持つABセルロースが, (1)臨界濃度が低い, (2)UV光照射による臨界濃度の変化が大きい, (3)UV光照射による液晶相の消失が速い,などの観点から,液晶相の形成およびその光制御のために有利であると結論した。
  • 村本 美絵子, 吉岡 まり子, 白石 信夫
    1990 年 46 巻 11 号 p. 496-505
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    塩化リチウムージメチルアセタミド溶液に溶解したセルロースを, 4-パーフルオロノネニルオキシフタル酸無水物(PFPA)で,トリエチルアミンまたはピリジンを触媒としてエステル化し,置換度2.1までの生成物を得た。他方,置換度2.5のエチルセルロース(EC)のPFPAまたは1, 1, 2, 2, 3-ペンタフルオロプロピルオキシ-2, 2-ジフルオロプロピオン酸フルオリド(PDAF)によるエステル化を試み,置換度0.16または0.36までの生成物を,それぞれ得た。それらの含フッ素誘導体の生成は, IR, lH-,および19F-NMRスペクトルにより確認した。その様な誘導体化により,セルロースの動的粘弾性および熱可塑性は著しく変化した。それら含フッ素セルロース誘導体の屈折率は低く, 1.443~1.448の範囲にあった。生成物はすべて,出発物質よりも低い吸湿性を示した。EC, PFPAエステル化ECおよびPDAFエステル化ECは低い誘電率と誘電損率を持ち,すぐれた絶縁材料であることが知られた。
  • 渋沢 崇男, 遠藤 智道, 中村 敬
    1990 年 46 巻 11 号 p. 506-514
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    1, 4-ジアミノアントラキノン(分散染料)のナイロン6フィルム中の拡散係数(Df)を膜内の染料の濃度分布(プロファイル)と膜中から水中への脱着速度の解析によって求めた。プロファイルから得られたDfは同じ条件の脱着速度から得られたそれの約2倍であった。
    この不一致の原因を明らかにするために吸着等温線とプロファイルを60, 80及び90°Cで測定したところ,吸着等温線は直線ではなく,上に凸な曲線となり,膜中の染料濃度(Cf)の関数としての拡散係数(D(C))はCfと共に減少した。
    測定された吸着等温線とプロファイルを解析したところ,染料が分配則とラングミュアー吸着の二つの機構によって基質内に取り込まれるとする二元収着モデルによって測定された結果が良く説明できることが分かった。
    分配機構によって基質内に取り込まれた染料(溶解種)とラングミュアー機構によるそれ(吸着種)の吸着・拡散挙動は次の様に異なる。
    (1)基質中の溶解種の濃度(Cp)と吸着種のそれ(CL)を比較すると通常はCP〓CLであるが,基質中の染料濃度(CF=CP+CL)が減少するとCp/CLの比は次第に減少する。即ち,染料濃度の低いところでは吸着種の基質内の振舞が染料の見かけの吸着・拡散挙動に大きな影響を与える。
    (2)溶解種の拡散孫数(〓)は各温度において吸着種のそれ(〓)の約2.5倍であった。Cfの関数としての溶解種の拡散係数の(DP(C))はCfと共に減少し,吸着種のそれ(DL(C))はCfの減少と共に増加する。従来,分散染料のDfはCfに依存せず一定とされていたのは80-90°Cの高温ではDPとDLの相補性によってCfが高~中の範囲でD(C)がほぼ一定となるためであることが分かった。
    測定方法によって異なるDfが得られる原因を二元収着モデルで説明した。
  • 桜井 謙資, 木水 貢, 高橋 利禎
    1990 年 46 巻 11 号 p. 515-520
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    重合度の異なるキトサンの酢酸溶液からキャスト法でキトサン膜を調製した。また,この膜から架橋処理膜も準備した。塩化カリウムに対する膜電位からTeore11-Meyer-Sievers理論により求めた有効固定電荷密度は,膨潤膜内に占めるキトサン分子の体積分率に室に依存した。4種の単純な塩について,各膜の透過係数を測定した。透過速度は前報と同じくドナン効果に基づく塩濃度依存性を示し,ドナン効果の消失する高濃度では,イオンの水和半径に依存した。
    低重合度キトサンより準備した膜は,高重合度キトサン膜と比較して,粗い膜構造,高い塩透過速度及び小さい有効固定電荷密度を示した。低重合度キトサンの平均分子鎖長が極めて短く,そのため分子鎖絡み合いも少なく,その結果,大きな膨潤性能が発現したためと思われた。膜に化学架橋処理すると,有効固定電荷密度,膜の水和度及び塩の分配係数が多少減少した。キトサンと架橋剤の反応により,キトサンの解離可能なアミノ基の数が減少したためと推測された。また,架橋により水和半径の小さいイオンの拡散に有利に作用する剛直な微細孔が形成すると推測された。
  • 平林 潔, Zuglul Haider Ayub, 粂 義正
    1990 年 46 巻 11 号 p. 521-524
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    くず繭を精練して得られたフィプロインをエタノールおよび中性塩(塩化カルシウム)の混合溶液に溶解した。その後,遠心分離をし,透析を行ない,出来上がったフィプロイン溶液を有機酸で酸性にした。このフィブロイン溶液は等電点(pI=3.8-3.9)の酸性側にあった。その後,恒温室においてフィプロインをゲル化させた。いろいろな条件,例えば,フィプロイン溶液のpHや濃度を変えて,ゲル強度やゲル化速度を検討した。また,電子顕微鏡観察やIR測定によリゲルの構造を調べた。
  • 本村 実
    1990 年 46 巻 11 号 p. 525-529
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    紙は空隙構造を持つので,ヤング率の評価には注意を要する。例えば乾燥状態で圧縮して紙厚が減少すれば,引張りこわさが全く変化しなくても計算上ヤング率は上昇することになる。この問題を解決するために紙の引張りこわさをシート断面中の繊維フラクションのみで補正することを提案した。シート断面中の繊維の面積分率は,シート中の繊維の体積分率と一致する。このように補正された比弾性率のディメンションもPaであるので,従来から比弾性率として用いられているNm/gや(km/s)2と比較して理解しやすい単位である。しかし,広範な議論を行うためには,更にデータを積み重ねる必要がある。
  • 田川 由利香, 上田 充夫
    1990 年 46 巻 11 号 p. 530-532
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
    ドライクリーニングに酵素を応用することを目的として,非水系洗浄における酵素の効果を研究した。イソオクタンに.スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム(Aerosol-OT, AOT)を溶解させ,酵素(NAGARSE)水溶液を可溶化して, AOT/イソオクタン/水の系を作った。その系で血液汚染布(EMPA-111)を洗浄し,その洗浄率から非水系洗浄における酵素の効果を検討した。酵素濃度が高くなるほど汚染布に対する洗浄率は上昇し,水系における洗浄と同様に非水系洗浄においても,酵素の効果が認められた。酵素の効果は逆ミセルに可溶化さ.れた水の量によって大きく左右され,水の量が少ない場合には洗浄率の向上はほとんど認められなかった。したがって,非水系洗浄における酵素の機能には,可溶化水の存在が不可欠であることがわかった。さらに,酵素はAOT濃度が低い洗浄系において著しく洗浄率を向上させ,とくに有効であった。
  • 1990 年 46 巻 11 号 p. P544
    発行日: 1990年
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 小出 直之
    1990 年 46 巻 11 号 p. P496-P503
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 福田 猛
    1990 年 46 巻 11 号 p. P504-P510
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 植松 淑子, 植松 市太郎, 山延 健
    1990 年 46 巻 11 号 p. P511-P518
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 京谷 陸征
    1990 年 46 巻 11 号 p. P519-P527
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 飯塚 英策
    1990 年 46 巻 11 号 p. P528-P533
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
  • 長谷川 博一
    1990 年 46 巻 11 号 p. P534-P539
    発行日: 1990/11/10
    公開日: 2008/11/28
    ジャーナル フリー
feedback
Top