本稿では、漂白表示記号選定の根拠として用いられるJIS L 0889:2014(以下、JIS L 0889)の位置づけと適用上の課題を、近年の家庭洗濯における洗剤・漂白剤の液体化及び使用頻度の変化を踏まえて整理した。経済産業省生産動態統計及び日本石鹸洗剤工業会調査により市場背景を概観し、加えて首都圏在住女性を対象とした調査結果(酸素系漂白剤使用者に限定)から、酸素系漂白剤の液体/粉末の使用形態の分布を示した。JIS L 0889の4因子条件(過炭酸ナトリウム+TAED、pH 8.5、60℃)は、過酢酸の生成・安定化と反応速度確保の観点から、変退色を顕在化させやすい上限側(厳しめ)の評価を与える。一方、家庭洗濯、とくに液体洗剤+液体酸素系漂白剤を含む液体系の条件とは、有効成分量、温度、pHなどが異なり、試験結果の機械的適用は過度に保守的な表示判断(例えば過保護表示)につながり得る。以上より、JIS L 0889をISO整合の「基準点」として維持しつつ、生活者実態(液体系を含む)との接続を明示する解釈枠組みの整備が必要であることを示した。将来的な附属書整備に向け、参照系定義、代表条件、再現性管理因子、評価指標に関する技術論点を提示した。