日本建築仕上学会 大会学術講演会研究発表論文集
2004年大会学術講演会研究発表論文集
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  • その3 病院施設への適用および抗菌・防かび性能の実測評価
    三浦 勇雄, 板谷 俊郎, 袴谷 秀幸, 古田島 清彦
    p. 1
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    前報(その1,2)では、著者らが開発した環境対応型抗菌・防かび床材(以下、本床材と略記)の抗菌・防かび性能と諸物性、薬品および熱水に対する性能の評価結果等について述べ、抗菌および防かび床材としての要求性能を十分に満足していたことを報告した。本報は、本床材・工法を病院施設の現場に適用し、施工性と仕上げ状態および施工後、約1年経過した本床材と一般の床材について細菌および真菌の微生物調査を実施した。その結果、本床材は、施工性と施工後の仕上げ状態が良好であるとともに、一般の床材に比べて細菌、真菌の菌数が少なく、それらの菌の繁殖が認められないことから、病院における床材表面の微生物汚染対策として有効であることが実証されたので報告する。
  • その1 吸放湿試験実大実験に関する施工技術・技能の基礎的研究
    鈴木 光, 山本 康義, 三原 斉, 富永 萌, 吉田 一帆
    p. 2
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    健康建材の代名詞的存在になった珪藻土塗り材の需要は目をみはる勢いであり、これによって左官業界の活性の足がかりになった。各建材メーカーの無機質系調湿性仕上材は機能・品質共データが整備され上市されている。しかし、左官が独自に現場調合されるものについての資料は乏しい状況にある。本編は現場調合のしっくいに珪藻土を添加した仕上材を用いることで、左官業務の拡大と新たな展開性を見い出すことを念頭においたものである。さらに最近需要の高まりを見せている施主による左官の自主施工を想定して、その可能性をも検証する。
  • その2 現場で珪藻土を添加する場合を想定した吸放湿試験に関する研究
    山本 康義, 鈴木 光, 三原 斉, 富永 萌, 吉田 一帆
    p. 3
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    本研究では、既存の既調合珪藻土塗材を利用するだけではなく、左官業者が無機系結合材であるしっくい・せっこうを用い、現場調合で珪藻土添加する場合を想定し、吸放湿性の向上効果を検証した。検証方法としては、JISA6909建築仕上塗材に規定されている吸放湿試験を適用した。また、一般的に水蒸気の吸放湿性はメソ細孔に起因すると説明されているため、塗布後材料の細孔分布と比表面積を測定した。その結果、珪藻土の種類やその形状によって、また、結合材であるしっくいやせっこうによっても塗布後の吸放湿性能に違いがあることがわかった。特に、吸放湿機能を向上した珪藻土、もしくは粒状珪藻土を添加した場合は、メソ細孔が発達し、吸放湿性の向上効果も顕著であった。
  • その3 現場で珪藻土を添加した場合の実大実験における吸放湿性に関する研究
    三原 斉, 鈴木 光, 山本 康義, 富永 萌, 吉田 一帆
    p. 4
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    本研究は研究所における一定条件での実験以外に住んでいる人が実際に生活を行っている状態での実大実験を試みる。その1において試作された施設を使用し、自然の条件下における吸放湿試験を実施する。さらに現場での調合でしっくいに珪藻土を添加した場合について四季を通して測定を行う。実験対象は一定の室容積及び間取りをもつ同形状の居室を3室使用し、壁面使用材料は珪藻土を添加したしっくい仕上壁1室とビニルクロス仕上壁2室に分ける。吸放湿性は天候や地形条件に左右されると考えられているが、珪藻土を添加したしっくい仕上とそうでない仕上とでは、実際に住まう空間の中でどのような違いがあるのかを検証する。
  • 本橋 健司, 鈴木 幸司
    p. 5
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    水系錆止め塗料を利用した各種防錆塗装システムを対象として、(1)耐酸・耐アルカリ・耐水試験、(2)耐塩水試験、(3)塩水噴霧試験、(4)複合サイクル試験、及び(5)屋外暴露試験を実施した。各種試験の結果、水系錆止め塗料を利用した各種防錆塗装システムの性能は、水系錆止め塗料のビヒクルの種類や防錆顔料の種類及び中塗り塗料・上塗り塗料の種類に依存することが確認された。また、水系錆止め塗料を利用した防錆塗装システムの中には、各種試験において、溶剤形錆止め塗料を利用した標準的な防錆塗装システムと同様な性能を示す例も認められた。このことから、水性錆止め塗料のビヒクルや錆止め顔料の種類及び中塗り塗料・上塗り塗料の種類を適切に選定すれば、溶剤形錆止め塗料を用いた通常の防錆塗装システムに匹敵する性能を有する塗装システムを開発できる可能性が示唆された。
  • 大澤 悟
    p. 6
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    地球を取り巻く環境に対する社会的な関心が国内外を問わずに急速な高まりをみせる今日、大気中に放出される炭化水素量の多くが、建物外壁等の新築・改修工事を塗装材で現地施工する際に排出される有機溶剤が占めていると言われている。このような現状に鑑み、従来の溶剤系塗装材の代替として環境負荷低減の効果が期待できる市販弱溶剤系及び水系塗装材の品質確保を目的に実施した試験評価のうち、屋外暴露による「汚染防止性」、塩分透過による「遮塩性」、炭酸ガスによる「中性化抑制性」、サンシャインウェザーメータによる促進耐候性試験及び屋外暴露試験による「耐候性」試験結果等の概要を紹介する。
  • 本橋 健司, 川島 敏雄, 近藤 照夫, 大島 明, 大澤 悟, 久保田 浩, 高山 勝行, 高橋 孝治, 川端 祥治郎, 井上 照郷, 武 ...
    p. 7
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    せっこうボード素地へのEP塗りと鉄鋼面素地へのOP塗りについて、実験を行い、塗付け量を測定した。その結果は以下のようにまとめられる。(1)EP塗りでは、淡彩色と濃彩色で塗付け量に差異が認められた。すなわち、淡彩色では標仕やJASS18に規定される塗付け量を20%程度オーバーした。一方、濃彩色では標仕やJASS18に規定されている塗付け量とほぼ同一であった。(2)OP塗りでは標仕やJASS18に規定されている塗付け量や膜厚と比較して小さい値となった。この結果は、標仕やJASS18の規定量を準備した場合に、結果的にOPの残存が多くなることを意味している。
  • 和田 環, 本橋 健司, 浦上 忠, 逢坂 太志, 的場 康浩
    p. 8
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    近年、環境問題や我々の健康や安全に対する関心が強くなり、住環境においては室内空気質が化学物質により汚染されて生じるシックハウス症候群などが社会問題になっている。前報では、「キトサン」を応用した環境に優しい塗料を作ることを目的にキトサン複合エマルションを合成し、プレエマルション法で得られた樹脂で調整した室内用塗料はホルムアルデヒドの吸着効果を有し、JIS K 5663の塗膜品質を満たすことを確認した。本研究では、このキトサン複合エマルション及びこれを用いた塗料のテドラーバックでのホルムアルデヒドの吸着と吸着後のADPAC小形チャンバーでの再放散性について検討した。この結果、ホルムアルデヒド吸着後のキトサン複合樹脂及びこれを用いた塗料の温度、湿度の異なる条件下での小形チャンバーでの放散試験では、20μg/m2·h以下の放散速度を示し、さらに、キトサンに吸着したホルムアルデヒドはFT-IRスペクトルから化学的に安定であると考えられる。
  • 平山 勲, 西本 真治
    p. 9
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    室内に放散される揮発性有機化合物(VOC)によって、頭痛や吐き気などの体調不良を引き起こす「シックハウス症候群」が、住宅や学校で起きるケースが増えて、社会問題化している。これに対して床材が室内全体の汚染への影響度が高いという報告もあり、TVOC低減ビニル床シート・接着剤を開発しJIS A 1901(小型チャンバー法)による試験を実施した。得られた放散速度から室内濃度を推定した結果、厚生労働省ガイドライン指針値およびTVOCの目標値を大きく下回った。このビニル床シートと接着剤の組み合わせはTVOCを低減する工法として有効であることを確認した。
  • 砂澤 周一, 永田 秀由記, 松本 泰二
    p. 10
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    塩化ビニル床材を施工する際のVOC放散挙動を評価する為に、作業工程毎に室内空気を捕集し、GC-MS、HPLCを用い、放散されるVOCおよびTVOC濃度を測定した。その結果、接着剤塗布後から床材張り付け後にTVOCが最大になり、施工後数時間で減衰し始める傾向が確認された。また、発生するVOCの種類と量は接着剤の種類に依存し、エポキシ形接着剤を用いた場合、施工直後に、溶剤成分の他にアセトアルデヒドの放散が見られた。さらに、小形チャンバー法によって得られる放散速度との関係についても考察を行った。
  • 熊野 康子, 野田 紫朗, 竹下 健二郎, 萬代 恭博
    p. 11
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    主に内装施工を中心とした建築材料について化学物質の知識が少ない建築現場でも簡単に低VOC建材を選択できる建材情報管理システム手法を開発した。そのシステムを活用し、実際に体育館の施工を実施した。実際にMSDSを中心としてVOCを含有しない建材を調査選択し施工したところ室内のVOC測定値は平均で、厚生労働省指針値の1⁄10程度の濃度まで低減化することができた。
  • 榎本 教良, 上片平 俊之, 村瀬 雅明, 澤辺 清隆
    p. 12
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    シックハウス対策として厚生労働省が室内空気汚染の原因となる13化学物質を策定し、それにもとづき「建築基準法」や「学校環境衛生の基準」等により各種建材が使用面での制約を受けている。建築用シーリング材は外壁以外にも一部室内で使用されているが、面ではなく線状態で使用されるため、現時点ではVOC等に関する試験方法や評価基準が設定されていないのが現状である。室内目地は外壁目地とは異なり、温度変化等による目地ムーブメントは非常に少なく、また水廻り箇所以外は直接水と接触することもなく、建築用シーリング材の使用環境としては外壁に比べマイルドな条件となる。今回、原材料の見直しにより上記13化学物質を全く含まず、かつ有機溶剤の放散を伴うプライマーを使用しない、1成分形シリコーン系及び変性シリコーン系“室内専用”シーリング材を開発した。
  • その1 簡易測定法の検討
    櫻田 将至, 桑原 幹雄, 近藤 照夫
    p. 13
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    シックハウス症候群などの化学物質による健康被害が問題視されている現状において、塗膜からのトルエン、キシレン(以下、TXと省略)などの放散を低減したり、無くしたりすることが求められている。塗膜から放散されるTXなどのVOC量を測定する方法としては、「小形チャンバー法」がJIS化されている。本研究では、小形チャンバー法との相関性があり、微量のTXが分析可能な「簡易VOC測定法」を開発するとともに、当該簡易測定法によるデータを用いて室内環境への影響を検討する。
  • 市原 英樹, 市原 真希
    p. 14
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    近年、各種内装材から発生するアルデヒド類およびVOCは制御されるようになり、低減材料も商品として出回るようになった。しかし、各種内装材から放散するアルデヒド類およびVOCのデータはあまり公表されていない。そこで、本研究は内装材で使用する各種塗料の放散量を測定した。測定は、14日間の経時変化を把握した。その結果、塗料の種類が違うことで、放散する物質とその量が異なることがわかった。
  • 永井 香織, 市原 英樹
    p. 15
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    近年、シックハウス問題に伴い、天然や自然というキーワードが含まれる建築材料が好まれている。また、既存の材料については、シックハウス対応用に開発が進んでいる。本研究は、木質材料に用いるクリア塗料に着目し、天然塗料およびシックハウス対応用の塗料のアルデヒド類およびVOC放散量について比較検討を行った。その結果、天然材料でも放散量が高いものがあることが確認できた。さらに吸着剤の添加量を変化させると、吸着効果も異なることが確認できた。
  • 井上 剛, 杉島 正見, 稲田 祐一, 高野 亮
    p. 16
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    シリコーン系浸透性吸水防止材は撥水性、耐透水性、通気性に優れ、塗付後も基材の素材感を維持したまま濡れ色防止の効果を有し、市場に浸透してきている。一般にアルキル・アルコキシシランは、コンクリート内部への水の浸入を防ぐ障壁を形成するとされており、本研究者らはさらに長期の防水効果を得るため、主に撥水持続性に関する研究を行ってきた。撥水持続性を高めた開発品を含め、市販の各種浸透性吸水防止材を、促進耐候性試験(SWOM: 2000時間)と屋外暴露試験(2年)で評価した結果、いずれの試料でも防水性の持続性が確認された。表面の撥水性では開発品において、その持続が確認され、水濡れ色防止性にも優れていることが判った。
  • 浦 憲親, 佐田 秀嗣
    p. 17
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    現在、木材の表面仕上げは工期短縮等から電機鉋を多用するようになった。しかし、その表面仕上げは鉋と比べ腐朽及び腐食の進行が一般的に早いと言われている。本研究では製材、電機鉋及び手鉋仕上げの3種類について、大気中に暴露した木材表面の色変化を調べ、耐久性との関係を評価することを目的にしている。約半年間暴露した結果、測定部位、方位及び表面仕上に関わりなく、針葉樹(ヒノキ、スギ、ベイヒバ)は明度及び彩度共に変化する。広葉樹(ケヤキ)は明度の変化が微小であるが、彩度は大きいことが明らかになった。しかし、気中実験では材種及び仕上方法に関わらず顕著な変化が見られない。
  • 西浦 建貴, 内藤 文明, 北瀬 正義, 高橋 英之, 伊場 岳司, 宝田 伸也
    p. 18
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    今日、塗装工事業者を取り巻く環境は、特に外装仕上の仕様において、高耐候性、低汚染性、環境対応型などの目的に応じた塗料の選択が迫られる事が多い。しかしながら、それらの機能の優先順位、重要度は、付加機能の性能が樹脂間、溶剤の強弱、メーカー間などでバラツキがあるなどの問題が内在している。そこで屋外暴露試験によってそれらの問題を実際に検証し結果を調査した。その為、2002年11月より試験体を暴露し、定期的に検査を実施した。また、検査の妥当性を確認するために、それぞれの保存用の試験体を作製し、紫外線が当たらないように定温保存し、定期検査の都度、暴露した同様の試験体との色差を計測した。本報は、暴露後24ヶ月を経過した時点の結果について報告する。
  • 水谷 吉克, 石垣 泰樹, 関口 高正, 河辺 伸二
    p. 19
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    省エネルギーや環境問題あるいは健康配慮などの時代的要求により外断熱工法がRC造の改修工事を中心に普及しつつあり、ALC帳壁にも外断熱工法の採用要望が年々高まってきている。外断熱工法には、乾式工法と湿式工法とがあり、低コストな湿式工法が注目され始めているが、ALC帳壁に湿式工法を採用した場合、ALCの耐震性(変形追従性)を損なわないように注意する必要がある。そこで、ALC帳壁に直接断熱材を貼り付けることを前提に、現在タイル張り工法に広く用いられている乾式スウェイ工法を用いた湿式外断熱工法の仕様について、変形性能の確認を行った。その結果、ALC帳壁の挙動を阻害することなく、取付構法として適していることが分かった。
  • 梅津 晃庸, 曽我 元昭, 河辺 寿正, 小俣 一夫
    p. 20
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    建築ストックの増加に伴って、建築用仕上塗材の外壁改修工事においては、既存塗膜の表面に微弾性フィラーなどと称される塗材を塗り付け、さらに上塗材で仕上げる塗装システムが多用されてきている。しかし、この塗装システムについては、材料が標準化されておらず、材料のJIS化が望まれていた。そこで、日本建築仕上材工業会では、2003年のJIS A 6909(建築用仕上塗材)改正にあたって、前述の塗装システムを可とう形改修用仕上塗材として規格に追加する案を検討した。本報告は、可とう形改修用仕上塗材の規格化にあたって、塗材の品質及び試験方法について検討した結果を報告するものである。
  • その1 屋外暴露初期の引張接着強さ
    熊谷 慎祐, 本橋 健司, 近藤 照夫, 藤本 効, 若原 直樹, 北澤 英宏, 伊藤 秀治
    p. 21
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    既存建築物の外壁仕上材はく落防止工法として多くの外壁複合改修工法が提案されているが、その耐久性について詳細に検討した例は報告されていない。本研究は、外壁複合改修工法を適用した大型試験体の屋外暴露を行い、引張接着強さの測定を行って耐久性評価を試みるものである。その結果、屋外暴露初期において、いずれの試験体についても充分な引張接着強さが得られた。新規タイル張り仕上げに有機系接着剤を用いた試験体は、そのほとんどが改修層での破壊を示したが、タイル張り付けモルタルを用いた試験体は、その破壊状態および引張接着強さに大きなバラツキが認められた。
  • その2 屋外暴露初期の押抜き強さ
    北澤 英宏, 本橋 健司, 近藤 照夫, 藤本 効, 若原 直樹, 伊藤 秀治, 熊谷 慎祐
    p. 22
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    既存建物の外壁仕上材剥落防止工法として多くの外壁複合改修工法が提案されているが、その耐久性について詳細に検討した例は報告されてない。本研究では、外壁複合改修工法を適用した試験体の屋外暴露を行い、日本道路公団試験研究所規格「連続繊維シート接着の押抜き試験方法」に準じて押抜き試験を行って、耐久性評価を試みるものである。その結果、屋外暴露初期において、いずれの試験体についても、日本道路公団の「コンクリート片剥落防止対策マニュアル」に定める基準値に近い値を得た。又、凍結融解加熱作用を受けた試験体についても、充分な剥落防止効果が維持されていることを確認している。
  • その1 ひずみ追従性
    名知 博司, 久住 明, 小笠原 和博, 鳥山 信治
    p. 23
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    薄塗りモルタルで補修された下地タイル張りを行い、サーマルムーブメントを再現した熱冷繰り返し(ランプ照射)養生を行い、ひずみ追従性試験を実施した。その結果、現場調合モルタルでタイル張りした場合、ひずみ追従性に影響を及ぼす要因は,タイル>ランプ照射≒目荒らし>薄塗りの順となり、薄塗りモルタルの影響は、相対的に小さかった。一方、弾性接着剤でタイル張りした場合、目荒らしと薄塗りモルタルは、ひずみ追従性には殆ど影響しなかった。弾性接着剤でタイル張りした場合、ひずみ追従性試験ではタイル張りの中央部まで破壊に至らず、現場調合モルタルと比較して、ひずみ追従性に優れている。
  • その2 引張接着強度
    久住 明, 名知 博司, 小笠原 和博, 鳥山 信治
    p. 24
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    薄塗りモルタルで補修された下地にタイル張りを行い、標準養生の他にサーマルムーブメントを再現した熱冷繰り返し養生やひずみ追従性試験後のタイル引張り接着試験を評価した。その結果、熱冷繰り返し養生後の引張り接着強さは、標準養生と比べ現場調合モルタルでは33から138%、弾性接着剤では101~121%になった。現場調合モルタルでは、若干強度が低下し、弾性接着剤では、増加する傾向が見られた。また、ひずみ追従性試験後の浮き音が確認されなかった箇所を対象に引張り接着試験を実施した。弾性接着剤の場合、ランプ照射面で70%以上、非照射面で85%以上の接着強度が保持されており、優れた剥落防止性を有していることが確認できた。
  • 近藤 健介, 田中 正司, 秋本 雅人, 久住 明
    p. 25
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    弾性接着剤とモルタルを用いた外装タイル張りRC造実建物で、ひび割れ発生状況と弾性接着剤張り12年経過後のタイル接着強さを調査した。モルタル張りのひび割れ発生率0.87%に対し、弾性接着剤張りのひび割れ発生率は0.07%と少ない結果であった。更に、タイルを剥がしタイルひび割れと下地ひび割れの関係を調査した。その結果、モルタル張りでは下地ひび割れと同じ形でタイル表面ひび割れが発生しているのに対し、弾性接着剤張りでは下地に0.2mmのひび割れがあってもタイル表面にひび割れが認められず、下地のひび割れを緩衝することが確認された。また、弾性接着剤張り12年経過後のタイル接着強さに大きな変化がないことも確認された。
  • その1 下地処理及び下地モルタルの影響
    許 永東, 松井 勇, 逸見 義男, 湯浅 昇
    p. 26
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    コンクリート躯体へのタイル仕上げは、躯体コンクリート、下地モルタル、張り付けモルタル、タイルと異なる材料が互いに隣接して構成されている。躯体コンクリートに荷重を加える際、それぞれの材料内、材料間には、引張り・せん断応力が発生し、その挙動の繰り返しにより材料やその接着力がこれらに耐えられず、剥離にいたると考えられる。本研究では、下地コンクリートに瞬時に衝撃的に生じるせん断破壊に対して、タイルが容易に剥落しない下地処理方法、下地モルタルの調合、下地モルタルの塗り厚などについて検討することを目的としている。
  • 林 映里, 中村 明史
    p. 27
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    ステンドグラスは、不純物の多く入ったガラスが色ムラや変形があることにより、深みのある素晴らしい色調を表す。明治政府は、ステンドグラスの製造を日本で普及させるために専門官を欧州に留学させ、これを持ち帰り普及につとめた。そしてステンドグラスの製造や色彩構成、ガラスの割り付けの方法などが伝授された。ステンドグラスは耐久性が高く、ゴシック建築では、教会の高窓から差し込む光によって様々な美しい姿を演出する。ノートルダム大聖堂はその代表といえる。本調査は、日本にステンドグラスの技術が欧州から導入されてから、現在に至るまでに、どのような変遷をとげたのか、また、関東地区における代表的な建築に使用されたステンドグラスについて色彩調査を行った結果を報告する。
  • 高橋 理子, 高橋 梢
    p. 28
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
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    世界的に有名な建物を生み出しているガウディの建築物は、タイルの使い方が特徴的で、多くの建物に影響を与えている。本報告は、ガウディ建築の色彩に対する考え方やタイルの使い方のパターンを調べることを目的に、タイルの歴史と関係する建物も調査した。その結果、ガウディ建築は、イスラム建築から多く影響を受けているということが分かった。さらに、イスラム建築のタイルのパターンや色彩などの傾向を把握し、ガウディ建築の色彩傾向も推定できた。
  • 岡部 由梨子, 橘高 義典, 田村 雅紀
    p. 29
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年、景観に対する人々の意識が高まっており、自治体が美しい景観づくりへ誘導するような動きも見られる。一方で、スクラップアンドビルドを繰り返してきた我が国でも、建築の長寿命化が望まれるようになってきた。このような背景のもとで、色彩が印象評価に及ぼす影響の大きさを考慮すると、建築物の外装材の色彩の選定を慎重に行うことが重要であると思われる。本研究では、傾斜屋根を持つ団地型集合住宅を対象とし、その屋根面の色相・明度・彩度の違いがどの程度、景観の印象評価に影響を与えるのか、その特性を明らかにすることを目的とする。
  • 千葉 圭子, 白石 友美, 狩野 雄一
    p. 30
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    海外の設計者による建築が多く建設されるにあたり、ガラスや外装設計はインパクトを与える大きなデザイン要素をもっている。特に、表参道、渋谷、銀座などは、世界の著名なトップデザインの会社と海外の建築家のコラボレーションで成立している。こうした建築家の建物は、デザインやノウハウ、ブランドのイメージに関して厳しい制約に縛られていて、公表は大きな制限を受けている。本調査は、建築学科の学生の目を通して素材の使い方、建物の芸術性やオリジナリティー、外観について昼と夜の見え方の差がどこにあるか、また、デザインのこだわりから生まれる問題点を考察したものである。世界的に有名な建築家の建物から受ける外装の設計、意匠性、文献など現地調査を含めて比較検討した。
  • 土屋 潤, 橘高 義典, 田村 雅紀
    p. 31
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    耐久性や意匠性の観点から近年多用されている仕上材料に石材があげられる。しかし、石材について視覚的特徴に関する研究が少ないため、本研究では石材仕上表面の視覚的評価に影響を及ぼす要因の分析データを蓄積することを目的に検討を行っている。特に人間の視覚的評価に影響を及ぼす要因として観察条件があり、そのうち大きな影響を及ぼす照明に着目して、種類と表面仕上げの異なる砂岩を用いて、照射角度を変化させた際の印象の違いを検討した。検討の結果、陰影の影響が大きいと考えられる凹凸感などに関しては、照明照射角度との対応が見られ心地よさなどについては照射角度との明確な関係は見られず、砂岩種類や表面形状の影響も見られた。
  • 松村 崇司, 浦 憲親, 後藤 正美, 永野 紳一郎
    p. 32
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年、山林から出る間伐材、公園や街路樹で剪定された枝葉などが有効な活用方法もなく廃材として処置されている。本研究では、主に山林から出る間伐材を木材二次破砕機で細かく砕きオガ粉状にしたものを、壁土材料及び工業製品としての利用を目的にしている。その結果、オガ粉を混入した壁土の調合表を提示した。その調合表を用いた曲げ、圧縮及びせん断強度はオガ粉土比(0⁄C)及び砂土比(S⁄C)の増加に伴い減少するが、内装用土壁建材及びパネル化による工業製品として製造可能であることを示唆した。
  • その2 ホルムアルデヒドの吸着性状
    車 園子, 橘高 義典, 田村 雅紀
    p. 33
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    近年、住宅では省エネルギーを目的として、高断熱化、高気密化が図られているが、一方で室内環境の悪化が問題となっている。建物の気密度が高くなっているため、湿気が外に出て行かず結露を引き起こしたり、反対に、窓を閉め切り冷暖房を行うと過度の乾燥状態を引き起こすといった問題が発生している。また、建材や家具などから発散される化学物質によるシックハウス症候群も問題視されている。このような背景から、室内環境の悪化を緩和する仕上材料が今後重要になってくると考え、その1では調湿作用を付加した土壁系仕上材料の吸放湿特性の検討を行った。その2では、吸着性能を付加した土壁系仕上材料に関して、ホルムアルデヒドの低減効果の検討を行うことを目的とする。
  • 大塚 秀三, 高橋 宏樹, 中田 善久
    p. 34
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    コンクリート表面の仕上がり状態を規定する要素は肌合い(テクスチャー)に関するもののほか、仕上がり面に現れる表面の密実さの度合いなどが挙げられる。これらは、調合や材料に起因するだけでなく、打込み・締固めなどの施工方法の影響が大きい。そこで、本報告は、施工方法の違いによるコンクリート表面の仕上がり性状に関する研究の一環として、打込み方法および養生方法の違いによる表面色への基礎的な傾向を把握することを目的とした。ここでは、壁および床状の模擬試験体により、L*a*b*表色系による表面色および光沢度を測定した。その結果、明度、彩度および光沢度について顕著な傾向の見られる条件として、バイブレーターの挿入時間、型枠の種類、水セメント比および剥離剤の塗布となった。
  • 昇 愛華, 近藤 照夫
    p. 35
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    日本には、建築用金属材料の焼付け塗装に関する公的な標準仕様書は現存しない。したがって、焼付け塗装が採用される場合には、設計図書において詳細な塗装仕様が特記されなければならない。しかし、現状では塗装仕様に関しては製造者に一任されており、外観的な製品検査のみが設計者や監理者によって実施されることが、一般化している。このような状況において、実際の施工に採用される内装用鋼板の実部材に対する標準的な仕様による試験塗装を実施して、実測された硬化塗膜の厚さから設計仕様及び製造仕様の詳細を検討したケーススタディを紹介する。その結果から、焼付け塗装の仕様を決定する具体的な方法や標準化に関する提案をする。
  • 加藤 律子, 菊池 雅史, 小山 明男
    p. 36
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    現在、我が国のGDPの約10%は、建設業が占めている。地球環境に多大な影響を与えている建築行為について考える場合、いかに環境負荷を低減するかが課題となっている。そのためには、建物の長寿命・高耐用化が有効であるとされている。また、循環型社会形成推進基本法、建設リサイクル法等の循環型社会の形成に関わる法令が施行されている。建設資材廃棄物の発生量を低減するためにも建物の長寿命・高耐用化を図る等の対応が求められている。本研究では、各種外装材における3,500枚の写真から得られる情報をもとにデータベースの整備を行った。本研究の目的は、「欧米における建築生産について分析を行い、長寿命・高耐用化を推進するための建築外装材について研究を行う」「設計者が、建築外装材の選定を行う際の基礎的資料を作成する」ことである。この結果、欧米における耐用性向上評価は、我が国の建築外装材においても適用が可能であり、有効な評価手法であることが窺えた。
  • 雪松 大作, 松井 勇, 篠崎 幸代, 湯浅 昇, 許 永東
    p. 37
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    建築外装材料の美観性は、自動車等の排気ガスや大気中の塵埃等が材料表面に付着することによって低下していく。近年、汚れ対策として、酸化チタンによる光触媒効果を利用した低汚染型材料が開発されている。本研究は、塗料、プラスチックおよびタイルの従来型と低汚染型材料を36ヶ月間屋外暴露し、これらの材料のよごれの経時変化、洗浄効果、洗浄後の経時変化について述べたものである。この結果、低汚染型材料の有効性は材料の種類によって異なる事が明らかになった。
  • 花木 茂
    p. 38
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    日本は、多くの熱帯の木材を伐採して建築に使用しており、国際社会から批判を受けている。本研究は、熱帯で廃棄物になっているヤシ材の有効利用に関するものである。ヤシは建築用には適さない。理由は木材の比重の差にある。木材の下は重く、上は軽いためで強度が不安定になるからだ。ヤシの実は、果汁を採取したあとは廃棄物となる。そこで、堅い殻の部分を炭化することで備長炭に似た良質な炭をうることができた。製造方法と特性を報告する。
  • 石井 幸男
    p. 39
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    利用率20%以下のゴムの木、利用されることなく焼く・埋めるなどされているヤシの樹のように厄介物として処分されている樹木は多い。限りある森林資源を有効活用することは地球レベルの環境問題に直結している。そこで、(1)伐採される樹木の利用率をアップさせる事(2)多くの未利用材を建築材や家具材として蘇らせること、を目指して開発されたのが、木材改質技術EDSである。EDSは熱燻式原理を基に、木材として利用価値の低い間伐材、低質材、未利用材、早生樹をプログラム化された熱処理工程を経る事により、成長応力を緩和し、木材の欠点(反り、割れ、変形、腐敗、虫食い、ヤニなど)の少ない市場性の高い木材に転換する技術である。しかもその工程で化学薬品などを一切使用せず、熱源として化石燃料の代わりに、建築・林地廃材などを利用できる資源リサイクル型技術として環境問題に充分配慮している。
  • 清水 一人, 服部 栄治, 中村 武彦, 広谷 俊彦, 上片平 俊之, 飛田 圭之
    p. 40
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    環境問題に対する取り組みとして、シーリング材メーカーとしては脱鉛、シックハウス対策など配合される化学物質の安全性の検討や包装容器の廃棄量削減などが進められている。2成分形シーリング材の容器は耐久性、作業性、保管・運搬性などから金属缶が用いられ、使用後は混合産業廃棄物として安定型産業廃棄物最終処分場に埋設処理されている。この廃棄物容量を削減するため、金属缶に替わるラミネートフィルム製シーリング材容器を開発した。新容器は、ブレンダーを使用することにより金属缶と同様の作業性を確保しながら、使用後の容器容量を簡単かつ安全に約1⁄6に圧縮でき、廃棄物容量としては金属缶に比べ最大37%減となった。また、保管・運搬時の荷姿もコンパクトになっている。今後は、リサイクルシステムを構築し、さらなる環境負荷低減を図る。
  • その1 コケ植栽の基礎的測定実験
    加治屋 亮一, 臼倉 拓人, 村本 和浩, 久保 隆太郎, 藤原 佑美
    p. 41
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    屋上緑化は、夏季の焼け込み低減効果や冬季の断熱効果などによる建物室内の環境改善に寄与するだけでなく、照り返し低減効果によるヒートアイランド現象の緩和効果などの効果も見込まれる。また、蒸発潜熱による屋上環境の冷却効果も期待できる。本研究では、コケ植栽による屋上緑化に関する研究を行う。コケは根が浅いので必要な水分、養分は空気中から吸収し、生育に土壌を必要としないため軽量で、施工も容易なため、初期費用が少なくて済む。また、施工後も水や肥料等の面倒な手間もかからないという利点がある。また、コケ植え付け材としてリサイクル材を使用した。そこで、緑化効果の定量的評価を加えるために、基礎的な実験である熱伝導率測定実験、各種貼付け材によるコケ表面温度測定及び、蒸散量測定実験を行った。その結果、コケ表面の蒸散量と全天空日射量とは高い相関が見られたが、風速、相対湿度との相関は低くなることがわかった。
  • その2 コケ植栽の測定実験
    臼倉 拓人, 加治屋 亮一, 村本 和浩, 久保 隆太郎, 藤原 佑美
    p. 42
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    ヒートアイランド現象の緩和効果に着目し、比較的低コストで軽量なコケ植栽による屋上緑化の照り返し防止・焼け込み防止効果に関する研究を行い、緑化効果の定量的評価を加えるため屋上実験を行った。なお、屋上緑化システムは明治大学理工学部5号館屋上に設置した。これらのシステムは気象データ及び、各種試験体の表面温度を熱電対により計測している。本研究の各実験で明らかになったように、夏季日中の断熱焼け込み防止効果では十分な効果がみられた。また、コケ植栽は、保水時の方が断熱性は高く、全天空日射量と蒸発潜熱によるコケ植栽表面及び下部への冷却効果は、ほぼ比例関係にある。したがって、今後、屋上のコケ植栽による熱的性能を、より効果的に発揮させるためには、各種コケ植栽の下地に、断熱性・保水性に優れるエコマテリアルやリサイクル材を使用することが不可欠であると言える。
  • その8 真空脱水締固め工法の炎天下環境の影響
    畑中 重光, 村松 昭夫, 和藤 浩, 三島 直生, 山口 武志
    p. 43
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らは、真空脱水締固め工法による床スラブコンクリートの品質改善効果に関する詳細な検討を行ってきた。しかし、これまでの一連の実験は、実験室内で行われており、実際の施工現場の環境条件を想定した実験は行われていない。そこで本研究では、夏季の炎天下にさらされたコンクリートに対する真空脱水処理の効果を検討した。その結果、夏季の炎天下環境では、ブリーディングほぼ終了時には、試験体表面がこわばったため真空度は上昇せず、真空脱水処理による排水量は極端に少なくなり、圧縮強度分布は無処理試験体と比較して上層のみが若干強度が大きくなる程度あり、真空脱水処理による改善効果は小さいことがわかった。
  • その9 真空脱水締固め工法の真空度低下対策
    村松 昭夫, 畑中 重光, 和藤 浩, 三島 直生, 山口 武志
    p. 44
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    施工現場では、真空処理時の真空度(=吸引圧⁄大気圧)は、60~80%程度で行っている。しかし、現場の状況によっては、この真空度を確保できない場合もある。すなわち、施工現場においては、真空度をいかに下がらないようにするかが極めて重要な問題となる。そこで、本報では、真空度低下の原因とその防止対策について、現場の事例をもとに整理するとともに、一部の事例に対する改善策について実験的な検討を行った。その結果、本実験の範囲では、現場でスラブ表面が乾燥して真空度が上がらない場合には、比較的容易にできる散水およびセメントペーストを散布する方法により、スラブ表面の品質を確保することができる。
  • 今本 啓一, 石井 寿美江
    p. 45
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    コンクリートは、乾燥収縮によってひび割れを生じる。乾燥収縮に関する研究は古くより行われているが、多くはコンクリート自体の収縮に関するもので、仕上げが施された状態での研究は極めて少ない。建築物は一般に躯体に仕上げが施される場合が多い。よって、建築構造物の収縮ひび割れ制御を図るためには、仕上げが施された状態での収縮挙動を把握する必要があると考えられる。そこで、本研究は、30cm×30cm×18cmのコンクリートの試験体に種々の仕上げを施し、仕上げ材がコンクリートの乾燥収縮性状に及ぼす影響を調べた。その結果、仕上げ材の種類によってはコンクリートの乾燥収縮性状に著しく影響を及ぼすことが明らかとなった。
  • 中野 剛夫, 守 明子, 馬場 明正, 渡部 嗣道
    p. 46
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、骨材に軽量骨材として炭カル発泡粒を用いた軽量モルタルによる塗り仕上げ材の乾燥収縮ムーブメントを評価した実験的研究である。フローの異なる4種類の調合について、板状試験体の上面および下面の乾燥収縮ひずみを測定し、伸縮、反りおよび質量変化率を評価した。その結果、以下の知見が得られた。(1)乾燥収縮ひずみは塗り層上面よりも下面において大きくなり、外に凸となる反りを示した。(2)伸縮はフローによる差異は見られないものの、いずれの調合においても28日放置後では1500μ程度の値を示した。(3)質量変化率は大きいフローにおいて小さくなる傾向を示したが、伸縮への影響は認められなかった。
  • 安達 和男, 高橋 泰一
    p. 47
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    彰国社刊「建築文化臨時増刊 デザイナーのための内外装材チェックリスト」誌において、1964年から2004年までの間に特集の対象となったテーマ項目をみることにより、高度成長期から現在まで40年間の建築材料界の変遷を分析した。その結果、材料設計、性能チェックリストの役割変化がおこなわれてきたことを確認し、技術論のみでなく総合性のある材料設計論の必要性を確認した。
  • 田辺 弘子
    p. 48
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    厳島神社の配置計画は、世界的にも独自性の高い設計として認められ世界遺産に登録された。本研究では、厳島神社の両部鳥居に着目し、海上という最悪の建築条件のなかでなぜ、これほど健全に維持されて現在に至ったのかを建築的に検証を行った。鳥居の構造は、両部鳥居という耐震性の高いものであり、海上にあっても浮き上がらない設計が行われている。さらに、鳥居の素材は水に強い楠が採用され、伝統的な表面保護材である丹塗りが施された。昭和の大修理における鳥居の接合部の補修は、継ぎ木という日本の独特の仕口の技術を駆使している。
  • 土地 高志, 坂下 満雄, 辻 正人, 川本 祐二
    p. 49
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    軽金属製品協会建材表面処理規格委員会では一般家庭でのアルミ建材のメンテナンスに使用する洗剤として、従来から中性洗剤を推奨してきた。しかし、一般家庭で入手できる洗剤が最近多様化しており、アルミ建材には不適切な洗剤を使用して、ごく希にではあるが“しみ”や“変色”が発生した事例が報告されている。そこで委員会では17種類の家庭用洗剤を用い、清掃時の現象を想定した3種類の実験を行い、アルミ建材の表面に及ぼす影響について調査した。その結果、液性が中性以外のものは塗膜表面あるいは切断小口に異常が発生し、中性であっても研磨剤を含む洗剤等で異常の確認できるものが存在した。中性以外の洗剤を使用する場合には十分な水洗いを行う等の注意が必要である。
  • 杉島 正見, 添田 智美, 滝澤 俊樹, 竹本 喜昭, 千葉 文彦, 小野 正, 山田 人司
    p. 50
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/02/25
    会議録・要旨集 フリー
    日本建築学会接合部防水小委員会耐久設計検討WGでは、平成13年度より建築物の接合部に使用される建築用シーリング材の耐久設計法確立と、それに必要な評価法検討を進めてきた。本報では、塗装パネルにおける各種シーリング材汚染に関し、屋外曝露試験による汚染状況の検証と促進評価法について検討した結果を報告。5種のシーリング材を打設した塗装パネルの屋外曝露試験結果から、シリコーン系シーリング材は1液、2液とも著しい汚染を生じたが、変性シリコーン系、ポリサルファイド系、ポリイソブチレン系シーリング材では顕著な汚染は認められなかった。汚染性の促進評価方法として、サンシャイン・ウェザォー・メータ試験でシーリング材から溶出成分を溶出させ、カーボンブラックを含むマーキング剤で可視化する方法を考案した。
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