福島医学雑誌
Online ISSN : 2436-7826
Print ISSN : 0016-2582
72 巻, 2 号
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原著
  • 小野寺 誠, 塚田 泰彦, 鈴木 剛, 三澤 友誉, 上野 智史, 全田 吏栄, 菅谷 一樹, 武藤 憲哉, 反町 光太朗, 伊関 憲
    原稿種別: 原著
    2022 年 72 巻 2 号 p. 57-64
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/10
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    要旨:【目的】福島市消防本部管内における照会回数5回以上の救急搬送困難事案に対して救急専従医である地域救急医療支援講座による二次救急輪番当直支援の有用性について検討すること。【方法】2017年1月より2020年12月までの4年間に福島市消防本部管内で発生した救急搬送困難事案を対象とした。対象データは,福島市消防本部で保存している救急搬送記録簿,および地域救急医療支援講座から輪番当直支援を行っている二次救急医療機関4病院(以下,A~D病院)の救急車搬送時間記録簿から抽出した。4病院別に救急搬送数を調査し,平日で地域救急医療支援講座から当直支援を行った日(以下,支援日)と行っていない日(以下,非支援日)の二群に分け,救急搬送困難事案数および比率を検討した。【結果】調査期間内に4病院へ搬送された救急車は計34,578台,そのうち搬送困難事案数は589件(1.7%)であった。支援日と非支援日を比較すると,4病院ともに支援日での救急搬送困難事案数は少なく,比率も有意差をもって支援日で少なかった(A病院6件 vs 34件:p < 0.001,B病院7件 vs 26件:p < 0.001,C病院5件 vs 35件:p < 0.001,D病院0件 vs 28件:p = 0.025)。【結語】福島市二次救急医療機関に対する当講座の輪番当直支援は,救急搬送困難事案を有意に減少させていた。救急専従医による適切なトリアージが要因と考えられ,救急専従医が不足している地域での有用なモデルになる可能性がある。

症例報告
  • 中田 敬, 熊谷 伸, 村木 修, 鈴木 修三
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 72 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/10
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    要旨:症例は82歳男性。2020年12月,右腰背部痛を主訴に近医受診。腹部CTにて右腎門部に不整形腫瘤を認め精査加療目的に当科に紹介された。当科で施行した腹部CT,逆行性腎盂造影,および尿細胞診で腎あるいは尿路由来の悪性疾患の診断には至らなかったことから,後腹膜線維症が疑われた。血清IgGおよびIgG4の高値を認めたため,診断確定をするためにエコーガイド下生検を施行した。病理組織ではびまん性のリンパ球集簇と線維化が見られた。またIgG4陽性形質細胞の浸潤を認め,IgG4/IgG陽性細胞比が40%以上に増加していたことからIgG4関連後腹膜線維症と診断した。プレドニゾロン20 mg/dayの投与を行ったところ,右腎門部腫瘤の縮小と血清IgG4値の低下を認めた。

活動報告
  • 押部 郁朗, 鎌田 一宏, 斉藤 有佳, 今野 一美, 柏木 久美子, 乳井 恵子, 管 麻理恵, 栗城 康一, 阿部 和彦, 小山田 睦美 ...
    原稿種別: 活動報告
    2022 年 72 巻 2 号 p. 73-83
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/08/10
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    要旨:新型コロナウイルス感染症への有効な対策として,全世界でワクチン接種が進められている。奥会津在宅医療センターは福島県立宮下病院の一部門であり,柳津町・三島町・金山町・昭和村の奥会津4町村において,ワクチン集団接種と巡回接種の支援を行った。これら4町村と奥会津在宅医療センターは2021年3月よりワクチン接種に関する協議を開始し,5月からワクチン接種が実施された。4町村の集団接種は2021年5月から8月にかけて計20回実施され,奥会津在宅医療センターは全ての集団接種で問診や接種,接種後の経過観察などを担当する支援を行った。のべ2,290名が接種を行い,接種後に対応を要したケースは14件だった。うち4件で抗アレルギー薬の処方を行い,2件は医療機関の受診をすめた。巡回接種では79名が接種を受け,接種後に対応を要したケースはなかった。ワクチン接種の準備においては先行して接種を実施していた会津医療センターへの視察の実施や,住民に配布する資料の作成に関する助言など,前例のない事業に取り組む各町村の負担を軽減する点にも重点をおいた。また今回の取り組みには,前年に三島町の一地区で実施されたインフルエンザワクチンの集団接種の知見と経験が生かされた。今後は今回の取り組みで深められた各町村や医療機関との連携をもとに,新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の実施も念頭に置きつつ,地域住民の健康と安心を守るための継続的な活動が4町村から奥会津在宅医療センターには期待されている。

福島医学会第491回学術研究集会抄録
第33回福島県精神医学会学術大会抄録
第492回福島医学会学術研究集会シンポジウム抄録
第493回福島医学会学術研究会シンポジウム抄録
第494回福島医学会学術研究集会シンポジウム抄録
第495回福島医学会学術研究集会シンポジウム抄録
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