福島医学雑誌
Online ISSN : 2436-7826
Print ISSN : 0016-2582
73 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
症例報告
  • 佐藤 敦也, 中田 敬, 守屋 怜香フローラ, 高野 栄亮, 岩崎 剛史, 渡辺 秀平, 田中 健一, 風間 順一郎
    2023 年73 巻2 号 p. 29-35
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/05
    ジャーナル フリー HTML

    要旨: 2021年9月に抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody : ANCA)関連血管炎の治療薬として補体C5a受容体阻害薬のアバコパンが日本で承認された。しかし,日本のANCA関連血管炎で多数を占める急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis : RPGN)の臨床像を呈する顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis : MPA)に対するアバコパンの使用経験は乏しく,文献的報告も少ない。我々は3 例のRPGN を呈したMPA 患者に対してアバコパン・プレドニゾロン併用療法を施行した。3例すべての患者において治療開始から1ヶ月から3ヶ月間の観察期間で腎機能および尿所見,炎症反応の経時的な改善を認めた。この結果からアバコパンを併用した治療がMPA によるRPGN の改善に有用であることを示唆している。ただし疾患の寛解維持率や有害事象の発生率などを確認するために,今後も長期にわたるフォローアップが必要である。

  • 矢澤 里穂, 髙橋 俊文, 古川 結香, 高梨子 篤浩, 飯澤 禎之, 武市 和之
    2023 年73 巻2 号 p. 37-44
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/05
    ジャーナル フリー HTML

    要旨: 子宮頸部に発生する中腎管腺癌は中腎管の遺残組織から発生する稀な子宮頸部腫瘍である。今回,初回治療から6年経過後に肺転移にて再発した子宮頸部中腎管腺癌の一例を経験したので文献的考察を加え報告する。症例は初発時年齢69歳女性,3妊2産。腰痛を主訴に近医産婦人科を受診。子宮腫大を認め,子宮頸部細胞診は異常を認めず,子宮内膜細胞診が陽性(腺癌)のため当科紹介となった。経腟超音波断層検査で子宮頸部に4cm大の充実性腫瘤を認め,子宮鏡検査では腫瘍は頸管内に突出していた。この部位から生検したところ,中腎管腺癌が疑われた。子宮頸部中腎管腺癌の診断にて広汎子宮全摘術と両側付属器切除を施行した。術後の病理組織検査でも中腎管腺癌であることが確認され,腫瘍は子宮頸部から腟壁に及び,右傍子宮組織にも浸潤していた。進行期は子宮頸部中腎管腺癌IIB期であり,術後補助療法として同時化学放射線療法を行った。子宮頸癌手術より6年目に左肺野の病変とCA19-9の上昇を認めた。左肺上葉部分切除を行ったところ中腎管腺癌の再発であった。左肺上葉部分切除18か月後に,右肺野腫瘤の増大を認め中腎管腺癌の再々発の診断となった。これに対してCPT-11の単剤治療3コース実施したところ,右肺野の腫瘤は縮小した。現在,子宮頸癌術後108か月時点でパフォーマンスステータス0の担癌生存の状態である。子宮頸部中腎管腺癌はその発生学的な特徴より術前診断が困難であり,子宮頸部細胞診に異常を認めない場合でも,子宮頸部に充実性病変を認める場合には,本疾患の存在を念頭に置く必要がある。また,本症例のように術後6年経過しても再発する場合があり,長期間のフォローアップが必要である。

  • 仲野 宏, 齋藤 桂悦, 阿部 香居, 叶多 諒, 金澤 匡司
    2023 年73 巻2 号 p. 45-49
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/05
    ジャーナル フリー HTML

    要旨: 症例は72歳男性。直腸癌に対して腹腔鏡下低位前方切除術が施行された。病理検査結果はpT3(SS), pN2b, M0, pStageIIIcで,高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instabilityhigh: MSI-High)を有する直腸癌であった。その後,多発肺転移を来したためPembrolizumabを開始した。11コース投与後4日目から食欲不振,腹痛,頭痛を自覚し,改善しないため発症3日後に当院を受診した。直腸癌術後で腹部症状を呈していたが,血液検査,画像検査からは腸管の器質的疾患は否定的であった。一方で,随時血糖値は334mg/dLと高値でHbA1c 7.1%と今まで指摘されていなかった耐糖能異常を認めた。精査加療目的に入院としたが,その後も高血糖が持続し,尿中ケトン体の出現,インスリン分泌能の著しい低下が確認されたことにより,Pembrolizumabによる免疫関連副作用(immune-related adverse events : irAE)として急性発症1型糖尿病を発症していると診断した。迅速に十分な輸液とインスリン補充療法を開始したことで重症化することなく経過し,入院16日目に退院とした。退院後もインスリン頻回注射療法を継続しながら,Pembrolizumabによる治療を行っている。irAEは全身のあらゆる臓器で発現する可能性があり,発症頻度は0.7%とまれではあるが1型糖尿病もその一つとして知られ,劇症1型糖尿病に至ることもあり迅速な診断と治療が重要である。今回我々は,Pembrolizumab投与中に急性発症1型糖尿病を発症したMSI-High直腸癌の1例を経験した。免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpointinhibitors : ICI)使用中に急激な血糖値の上昇や消化器症状を認めた際には,本疾患を疑い迅速に診断し治療を開始することが重要である。

福島医学会第500 回学術研究集会抄録
第34 回福島県精神医学会学術大会抄録
第34 回福島県小児外科研究会抄録
feedback
Top