福島医学雑誌
Online ISSN : 2436-7826
Print ISSN : 0016-2582
75 巻, 2 号
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総説
  • 佐藤 勝彦
    2025 年75 巻2 号 p. 33-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/23
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    要旨:近年になり高齢者の増加に伴って骨粗鬆症性骨折患者が増加している。骨粗鬆症性骨折は,介護が必要になる主な要因の一つで健康寿命を損なうばかりでなく生命予後にも悪い影響を与え,医療経済的損失が大きいと言われている。骨折予防の取り組みとしては骨粗鬆症検診がある。しかし,検診受診率の全国平均が5.5%(2022年度)と極端に低く,骨折患者の殆どが骨粗鬆症の診療を受けることなく骨折している実態がある。社会全体で骨粗鬆症性骨折を予防し健康寿命を延伸させるための骨粗鬆症リエゾンサービスOsteoporosis Liaison Service(O L S)を確立させることが急務である。

    そこで,福島市におけるOLSを確立するために,自治体,医師会,そして医療機関の協力を得て骨粗鬆症検診制度の改革を行った。その結果,受診率が向上し,骨粗鬆症予備群であるハイリスク者の選別が可能となり,精密検査で骨粗鬆症と診断された者に対しては即座に治療を開始することができるようになった。さらに検診で診断された骨粗鬆症患者の地域連携診療を推進するために各医療機関の診療意向や治療可能薬を表示できる骨粗鬆症診療マップを作成し公表した。骨粗鬆症に対する治療の目的は骨折予防である。従って,一旦治療が開始されれば将来に渡って治療の継続が不可欠であるため,高齢者の場合はかかりつけ医において生活習慣病とともに骨粗鬆症診療を継続し,骨折予防を達成する必要がある。この診療マップを活用することで適正な患者紹介が可能となり,連携診療が活性化してきた。

    また,骨粗鬆症性骨折を予防するためには地域住民の骨の健康に関する認識を高める必要がある。そのため骨粗鬆症教室を開催するなど啓発活動に取り組んできた。本稿では,骨粗鬆症性骨折の実態,骨粗鬆症検診から骨折予防を達成するための一連の取り組みの内容を概説した。

症例報告
  • 石橋 真輝帆, 三潴 忠道
    2025 年75 巻2 号 p. 41-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/23
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    要旨:小建中湯は,主に虚弱児の腹痛などの消化器症状に使用される。今回消化器症状と異なる症状を呈した姉弟が小建中湯で良好な結果を得たので報告する。症例1は癇癪,嘔吐反射,鼻出血が主訴の4歳男児である。抑肝散では効果が不明で,小建中湯に変更したところ,主訴に加え皮膚疾患も改善した。症例2は下肢痛で歩行不可の7歳女児である。器質的問題はなく3か月のリハビリでも改善ないため小建中湯を与えたところ,3週間で歩行可能となり5週間で完治した。漢方薬は証に従い治療を行う随証治療で,異なる症状でも証が合えば同様の漢方薬が適応となる異病同治を行う。古典の条文から小建中湯の使用目標は,腹部の筋肉が突っ張り痛む,動悸,鼻出血,手足疼痛などとされ,要点は脾胃虚(消化器機能の虚弱)である。虚弱の判定が困難なときは,便秘などの胃腸障害,細い体形,また,腹壁の緊張,四肢冷感,擽感がみられるなどの所見を参考に小建中湯を考慮し,脾胃虚に端を発した様々な症状に効果が期待できる。症例1の初回に処方した抑肝散は肝気が亢進し頭に血が上って憤怒するが,しかし顔面,身体は蒼白であり,腹部は虚弱で怒りが性急である症例に適応がある。構成生薬は,白朮,茯苓,甘草で体力や胃腸機能を補い(補気),当帰,川芎で補血し,柴胡,釣藤鈎で肝気旺盛を収めると理解でき,症例1の症状に合致する。一方,小建中湯は桂皮が気をめぐらせ,芍薬が補血,腹部の鎮痙作用,生姜が消化機能を助け,膠飴で元気をつける処方である。症例1は脾胃強弱であり,まず脾胃を補う処方(小建中湯)が肝要なのではないかと考えた。また,一見虚証に見えない症例2 では腹直筋攣急や擽感から虚証と捉え,腹部の状態を立て直し元気をつける建中湯(小建中湯)を服用することで四肢疼痛が改善したと思われた。小建中湯は虚証や脾胃虚に端を発した虚弱児の症状の改善に寄与できる可能性がある。

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