日本フットケア学会雑誌
Online ISSN : 2424-1350
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15 巻, 2 号
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特集:下肢の浮腫を視る
  • 浦山 博
    2017 年 15 巻 2 号 p. 43-45
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】下肢の浮腫は頻度の高い症状であり,疾患別に治療が異なる.浮腫の成因として血管と組織のそれぞれの内圧と膠質浸透圧によるとの説がある(Starling).全身性浮腫と局所性浮腫で疾患が大きく分けられ,診断方法や治療に違いがある.問診や身体所見に加えて血液検査や画像検査が重要となる.エコーと CT は有力な検査であるが,それぞれ短所長所がある.全身性浮腫には疾患別の治療がなされる.局所性浮腫には,感染であれば抗生剤,炎症であれば抗炎症薬,リンパ浮腫であれば圧迫療法が用いられる.

  • 佐藤 文
    2017 年 15 巻 2 号 p. 46-49
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】高齢者の下肢の浮腫は,全身疾患の臨床症状として出現する浮腫と,加齢によって起こる多様な要因によって出現する浮腫が混在する.また,浮腫の有病率も高い.特に,自立度の低下,座位時間の延長などにより浮腫は下肢に認めることが多い.浮腫の評価方法には,脛骨前面末梢側 1/3 付近あるいは足背を母指で圧迫した後の圧痕の深さを 4 段階で評価する方法と,AFTD-pitting テストにて圧痕の形状および非圧痕性浮腫を評価する方法がある.特に後者は浮腫有病率調査において有用な方法とされている.下肢の浮腫は,日内変動し時間の経過とともに増大する.自立度の低い高齢者の浮腫の前向き調査によると,浮腫が継続することにより重症化し,圧痕性浮腫から非圧痕性浮腫へと移行していた.また,浮腫の範囲が足趾・外果・下腿遠位後面へと拡大することがある.このように下肢浮腫が重症化すると下肢の関節可動域が縮小し,活動性の低下,転倒リスクが高まる可能性がある.以上から,下肢浮腫を少しでも軽減・緩和できる介入プログラムの確立と,高齢者が安全に自分で動ける足・脚を維持できるような援助が必要である.

  • 徳丸 季聡
    2017 年 15 巻 2 号 p. 50-54
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】浮腫を考える上で必要となる体液移動と,水・ナトリウムおよび膠質浸透圧維持に関連した栄養管理について概説する.水・ナトリウムに関連した栄養管理は減塩が基本である.膠質浸透圧維持に関連した栄養管理は病態に見合った栄養管理内容の違いを踏まえた上でエネルギー・たんぱく質等を補給するが,近年は量だけでなく,その質にも注目が集まっている.両者の栄養管理は共通して必要量と摂取量の評価,そして実践的な指導が求められる.

総説
  • 中神 啓徳, 森下 竜一
    2017 年 15 巻 2 号 p. 55-60
    発行日: 2017/06/30
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】我々が同定した新規機能性ペプチド AG30 は,血管新生促進作用等による創傷治癒効果と膜透過性変化による抗菌作用を併せ持つユニークな特性を有する.近年ヒト由来の抗菌ペプチド LL-37 の皮膚潰瘍を標的とした治験が行われ,治療効果が期待できる結果も得られている.そこで我々はこの新規ペプチドの皮膚潰瘍外用治療薬の開発を目指し,改変型ペプチド AG30/5C を用いて臨床研究を計画した.臨床研究の目的は,これまで治療法に苦慮していた MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を保菌している難治性皮膚潰瘍を対象に,AG30/5C を創部に局所投与したときの安全性および有効性(創サイズ・抗菌活性)を探索的に検討することである.2 例の皮膚潰瘍患者に対して AG30/5C を投与した結果,安全性評価としては特に因果関係のある有害事象は認めなかった.有効性については潰瘍面積の縮小効果,投与期間中の菌量の減少効果が認められた.現在,さらなる改変型ペプチド SR-0379 を用いた医師主導治験に向けた準備を進めており,糖尿病性潰瘍・下腿潰瘍などの慢性皮膚潰瘍への適応を視野に入れて研究開発を進めている.

研究報告
シリーズ:フットケアと栄養管理
シリーズ:フットケア指導士による実践報告リレー
学会報告
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