日本フットケア学会雑誌
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16 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集:フットケアのチームビルディング・マネジメント
  • 〜院内から地域へ拡大するチームビルディング・マネジメント〜
    石橋 理津子
    2018 年 16 巻 2 号 p. 51-55
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】2008 年の糖尿病合併症管理料の新設に伴い,糖尿病患者の下肢救済のためにはフットケアが必要であるということは広く周知された.しかし予防的フットケアを行っていても救肢が困難な症例も未だ数多く存在する.1 人でも多くの患者の足を守るためにはチーム医療が重要である.足病変・フットケアにおけるチーム医療には,あらゆる専門性を持った医師・看護師・コメディカルが必要であり,このような多職種でチーム構成される場合には, チームビルディングが実践しやすく,且つ有効である.今回,院内でのフットケアチームを立ち上げる際の過程において,どのように多職種が関わりチームビルディングが実践されていったのか,その後どのように院内に拡がり,地域連携につながっていったのかを提示し,これからチーム構築を検討されている方々の参考になれば幸いである.

  • 〜『札幌フットケアサークル』の活動を通して〜
    菅野 智美
    2018 年 16 巻 2 号 p. 56-62
    発行日: 2018/06/30
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】近年,糖尿病性足病変やPAD(末梢動脈疾患)など下肢に対する治療は進歩し続けている.異常の早期発見・対処が地域で生活する方やそのご家族の人生に大きな影響を与えるということは,足に関わる医療職において広く周知されている.しかし,地域において異常を早期に発見し受診行動へつなげるためには医療職の力だけでは限界がある.医療現場では入院期間の短縮により患者が完治をする前に地域へ戻るケースが増えている.大切な足を護るためには医療職・非医療職が協働し「救肢」に向けた一歩を踏み出す必要があると考えた.大切な方の「立つ・歩く」を護りたい……そのような思いから,平成22 年『札幌フットケアサークル』の活動がスタートした.医療職・非医療職が協働し「立つ・歩く」を護ることを目指し定期的な活動を継続している.「救肢」という同じ目標に向けて医療職・非医療職が共に学びあい,ネットワークを広げていくことが大切な方の「立つ・歩く」を護ることへつながるものと考える.小さな一歩であってもブレない心を持ち続けることが「救肢」につながるものと信じ札幌フットケアサークルの活動を継続している.大切な方の「立つ・歩く」を護るための活動が各地で広がっていくことを期待する.

  • 竹内 一馬, 松田 拓朗
    2018 年 16 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー
    【要旨】足病変の予防や治療は広い領域に及んでいるため,病院では複数の診療科が携わることが多い.そのため,ゲートキーパーとなった担当科は自身の診療科以外で院内の他の診療科や他病院にコンサルトして,連携を取りながら診療しているのが現状である.良好な連携を築ける力こそが足病変の治癒スピードや患者の生命予後に影響を与えることになってくる.院内連携や病診連携は重要なことであるが,本稿では,足病・フットケア領域における地域啓発活動の重要性ついて,筆者が代表を務める「NPO法人 足もと健康サポートねっと」の活動を紹介し,考えてみたい.
  • 高山 かおる
    2018 年 16 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー
    【要旨】「生涯を通して自分の足でピンピン歩き続けられる社会を作る」ことを目的に2015年1月に一般社団法人足育研究会を立ち上げた.組織は医療部会,フットケア部会,フットウェア部会,運動部会,情報部会からなり,各部会の経営企画委員によって運営されている.その活動の5本柱は①足のトラブルの駆け込み寺となる,②足の健康を守るための社会啓発を行う,③他業種連携を行う,④足のスペシャリストの養育,⑤高齢化社会・要介護問題へ解決の取り組みとなっている.
原著
  • 川村 留美, 大江 真琴, 竹原 君江, 雨宮 歩, 大橋 優美子, 野口 博史, 村山 陵子, 森 武俊, 植木 浩二郎, 門脇 孝, 小 ...
    2018 年 16 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー
    【要旨】靴ずれは糖尿病性足潰瘍の発症因子の一つであることが指摘されている.そこで,糖尿病患者が着用している靴の適合性につき,サーモグラフィを用いて検討したので報告する.糖尿病患者30名を対象に,靴を脱いだ後20分間,足部のサーモグラフィを撮影し,同時に着用していた靴のサイズと幅を測定した.足のサイズと幅は過去に外来受診した際に測定した値を診療記録より収集した.データがそろった上で,靴を脱いだ後の足の温度変化と足と靴のサイズの差および足と靴の幅の差を比較検討した.対象55肢のうち,靴を脱いだ20分後の足部の皮膚温が「一部の趾のみ上昇」していたものが17肢あった.この群における靴のサイズと足のサイズの差は0.59±0.97cmであり,靴を脱いだ20分後の足部の皮膚温が「変化なし」または「足先から低下」していたものの0.87±0.84cmに比べ,有意に小さかった(p=0.029).なお,靴と足の幅の差については,有意差はなかった.したがって,靴を脱いだ後にみられる「一部の趾のみ上昇」は,履いている靴のサイズが短いことを反映していると考えた.以上のことから,サーモグラフィによる足部の皮膚温測定は足潰瘍の予防に有用である可能性が示唆された.
Case Report
  • Makoto Oe, Kimie Takehara, Suriadi, Hiromi Sanada
    2018 年 16 巻 2 号 p. 80-84
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/30
    ジャーナル フリー
    インドネシアでは糖尿病患者数が急速に増えているため,合併症である糖尿病足潰瘍の効果的な予防ケアを確立することは喫緊の課題である.我々はインドネシアで看護師に糖尿病足潰瘍の予防ケアに関する教育プログラムを提供する機会を得た.糖尿病足潰瘍の予防ケアに関する基礎知識に関する講義,サーモグラフィを用いて前潰瘍状態をアセスする方法と爪白癬と足白癬を同定するための直接鏡検に関する演習がこのプログラムに含められた.11名の看護師がこのプログラムに参加した.すべての参加者はこのプログラムの終了後,糖尿病足潰瘍の予防ケアに関する理解が深まったと評価した.このプログラムはインドネシアに糖尿病足潰瘍の予防ケアを広めるきっかけとなったであろう.今後,糖尿病足潰瘍の予防ケアを普及させ,臨床に適用することが課題であり,インドネシアに適した形での予防ケア外来を創設する必要がある.
シリーズ:元気に歩けるための足と歩行を守る靴
フットケア指導士による実践報告リレー
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