日本フットケア学会雑誌
Online ISSN : 2424-1350
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最新号
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特集:フットケアと皮膚軟部組織感染症
  • 鈴木 真澄, 森 信好
    2018 年 16 巻 3 号 p. 103-109
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】皮膚軟部組織感染症は重症下肢虚血と同様,下肢切断の主要な原因の1つである.感染による切断を防ぐには初期段階での適切なアセスメントが不可欠であり,感染を早期に発見し,軽症なうちに治療できれば大部分の症例で切断を回避できる.そのため,感染の評価・治療についての知識はフットケアに携わるすべての人に必要であると考え,本テーマについて紹介する.

  • 木下 幹雄
    2018 年 16 巻 3 号 p. 110-114
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】糖尿病足病変において,治療方針の決定や治療予後を予想する上で感染の存在・程度を把握することは非常に重要である.重症の感染症をきたすまでにはいくつかのステップがあるが,中でも近年注目されている Critical Colonization と呼ばれる感染への移行状態を見逃さないことが大切である.重症感染症を予防するためには,感染の予兆を早期に把握し,状況に応じた適切な処置を選択する必要がある.足病患者に特徴的な感染徴候について詳述し,適切な対処法や処置の選択法について考察する.

  • 綾部 忍, 姜 成樹, 延山 文美, 阿古目 健志, 元村 尚嗣
    2018 年 16 巻 3 号 p. 115-120
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】下肢の重症皮膚軟部組織感染症は,さまざまな合併症を引き起こし,場合により死に至る重篤な疾患である.治療の中ではデブリードマンがもっとも優先される.感染コントロールののちに創閉鎖が行われるが,救命に次ぐ目標として歩行の維持が挙げられる.そのためには,いかに創閉鎖するかについても熟慮する必要がある.ドレナージの皮膚切開線は,末梢への血行を温存するため長軸方向に行う.デブリードマンの際,感染組織を徹底的に除去することが重要であるが,皮膚血流には十分に配慮し,皮膚は fillet flap として利用できる可能性があるため可及的に温存する.縫合による創縁の血流低下のため壊死に至る可能性があるため開放創としておく.ベッドサイドでメンテナンスデブリードマンを行い,NPWT(negative pressure wound therapy,陰圧閉鎖療法)などを併用し,wound bed preparation を促す.創閉鎖において,足底への植皮術は荷重・摩擦に弱く,潰瘍が再発しやすい.Fillet flap を NPWT によって引き寄せ閉創する non-suture technique は新たな donor site を必要とせず,植皮術と比較して荷重・摩擦に強く,荷重面を最大限温存することができるため,歩行安定性において優れていると考えられる.

総説
  • 加藤 明彦
    2018 年 16 巻 3 号 p. 121-124
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】本邦では,サルコペニアは Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の診断基準で,フレイルは J-CHS 基準を用いて診断することが標準的となっている.末梢動脈疾患(PAD)患者は,サルコペニアがあると足病変が進行しやすくなるだけでなく,生命予後や心血管イベント発症とも関連する.同様に,フレイルがあると血管内治療後の成績が悪く,救肢率が低下する.透析患者では,2~3 人に 1 人がサルコペニア・フレイルを合併しており,生命予後や新規入院リスクと関連する,特にサルコペニアの診断項目のうち,握力や歩行速度低下などの身体機能がサルコペニアの転帰と関連する.従って,透析患者のサルコペニア・フレイルを早く気づき,栄養・食事療法や運動介入によって進行を防ぐことが,透析患者の足を守るうえで重要な治療戦略である.

  • 姫野 稔子
    2018 年 16 巻 3 号 p. 125-130
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】高齢者にとって立位・歩行は ADL の自立において不可欠な要素である.高齢者は長年にわたり,様々な環境要因や生活様式によって身体的・心理的・社会的個人を形成してきた.足部についても例外なくその影響を受けている.多様性が際立つ高齢者それぞれの足部の実態がどのようなものかという問いを解決するために実態調査を行うことから研究が始まった.また,足部の実態が立位バランスや転倒経験に何らかの関連があることを明らかにした.この結果を契機として,立位バランスや転倒に関連がみられた足部の実態を改善するフットケアプログラムを検討し,介入研究を行った.介入は,まず看護師が 6 週間のケアを行い,介入期間前後の変化を比較することにより効果を検証した.続いて,看護師の介入的指導を受けながら高齢者自身がケアを実施し,同様の方法で効果を検証した.いずれも足部の形態・機能,立位バランスや歩行能力を向上させることが明らかとなり,フットケアプログラムは足部の実態のみならず,介護予防や ADL の維持が期待できることが示唆された.

その他
  • 藤井 恵, 西山 睦子, 小林 茂, 阪田 茂宏
    2018 年 16 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】2008 年よりフットケアサロンを持たずに関西地域の靴店,クリニック,自宅訪問の『出張フットケア』と,その他「靴と足」に関連する啓発活動を行ってきた.『出張フットケア』の特徴は,フットケアが必要とされる人のところへ直接行きサービスができることや靴店,クリニックとの連携でさらにトラブルの改善ができることにある.一方,1987 年に設立された「プロフェッショナルシューフィッティングを読む会」が現在大阪,東京,名古屋,広島,北海道,北陸など各地域で,「靴と足」に関係する集まりの中で勉強会を開催している.この専門知識や横のつながりを深める『靴を考える会』の活動と,『出張フットケア』と関連する啓発活動の,2 つの活動を紹介し,今後の課題を報告する.

  • 松本 健吾, 古川 雅英, 佐藤 精一, 石原 博史, 石川 敬喜, 立川 洋一, 迫 秀則, 浜野 真里菜, 中村 結希, 桃田 めぐみ, ...
    2018 年 16 巻 3 号 p. 137-140
    発行日: 2018/07/12
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】第 16 回日本フットケア学会学術集会シンポジウム13 のセッションタイトルは『透析室のフットケアを極める』であったが,これは透析室が単独で施設完結型の足の管理を行っていくことをめざしたものではない.2016 年度の診療報酬改定にて下肢末梢動脈疾患指導管理加算が新設され,透析施設と血管治療・創傷治療の専門施設が連携して重症化予防に取り組むこととなり 2 年が経過した現状をふまえて,更なる進化を目指したセッションであった.実際に,本学会においてもこの加算の規定にのっとり,専門病院を受診したことにより早期に血管病が発見され,治療により重症化予防された事例が多数報告された.一方で,当初設定された下肢末梢動脈疾患をスクリーニングする検査値等の基準については,本学会の様々なセッションにおいても議論が続けられており,どのような症例を,どのようなタイミングで専門施設に紹介受診させるべきかについて再検討する時期にあると考えられた1).我々は医療施設間で患者医療情報を共有するために,遠隔連携ソフト「足ケアナビ」を活用して地域医療連携に取り組んでいることを本誌 15 巻 4 号で報告させていただいた.このセッション13 においても論点となった,透析室と血管治療・創傷治療施設の間での適切な医療連携のあり方について発表させていただいたことをまとめた.

実践報告
  • 柿花 隆昭, 古澤 義人, 館 正弘, 橋本 彰, 由浪 有希子, 伊藤 雅子, 佐藤 加代子, 上月 正博
    2018 年 16 巻 3 号 p. 141-144
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/09/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】72 歳,男性.2012 年に糖尿病足潰瘍のため右第 2 趾切断術が施行された.その後当院フットセンターでフォローされていたが,間歇性跛行と下肢筋力低下があり,2015 年 10 月に運動療法目的にリハビリテーション科へ紹介された.足関節上腕血圧比は右 0.44,左 0.82 で,右足関節は幼少期の骨折による内反変形を認め,右小趾球に胼胝を形成していた.インソールが義肢装具士によって作製され,運動療法を外来で週 1 回,3ヵ月間継続した.自転車エルゴメーターと筋力増強訓練を実施し,自宅では歩数を目標とした歩行訓練を指導した.また,新たな傷がないかを運動療法を行う前に毎回チェックした.月に 1 回フットセンターの医師による足の診察,看護師によるフットケアを並行して実施した.介入の結果,新たな傷は認めず,歩行距離,膝伸展筋力,1 日の歩数,運動機能の指標である short physical performance battery に改善がみられた.末梢動脈疾患を伴う糖尿病足病変患者においても多職種が関わることによって傷を発生することなく歩行距離や筋力,運動機能の改善が得られることが示唆される.

シリーズ: 元気に歩けるための足と歩行を守る靴
フットケア指導士による実践報告リレー
学会報告
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