日本フットケア学会雑誌
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17 巻 , 2 号
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特集:一から始める糖尿病フットケア
  • 家城 恭彦
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】糖尿病足病変の成因は,糖尿病神経障害,血流障害,易感染性の 3 つである.糖尿病神経障害のため,足は変形し皮膚も脆弱化することで,軽微な外因でも傷がつきやすくなるが,知覚鈍麻のため発見・処置が遅れ,潰瘍・壊疽にまで進展する.一方,動脈硬化症に伴う血流障害のため,虚血性潰瘍ができやすく治りも悪い.さらに,易感染性のため傷は容易に感染し,治りが遅れるどころかむしろ悪化して,下肢切断の可能性も高まってしまう.足病変の発症・悪化を予防し,下肢切断を回避するためには,この 3 要因を中心にその他のリスクも含めた評価と管理を定期的に行うことが重要である.そうした予防的なフットケアを実践するためには,診療科間,多職種間の垣根を越えて連携するチーム医療の構築が望ましい.

  • 桑原 京子
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】糖尿病医療におけるフットケアの目的は,足のハイリスク疾患をもつ患者の下肢切断を回避し,より快適な日常生活を送れるように援助することである.そのためには,患者と医療者が糖尿病足病変の特性を理解し,足病変のリスクへの対策を行い,足病変を早期に発見し,適切にケアすることによって,患者が最後まで自分の足で歩けるように,大切な足を守ることが必要である.患者と医療者が足の状態に合わせたケアを行うためには,アセスメントが重要である.大切なのは,「足」だけをアセスメントするのではなく,「その足をもつ人」として全人的に捉えアセスメントを行い,大切な足を守るために必要なケアについて患者と一緒に考えていくことである.ここでは,糖尿病患者の予防的フットケアにおけるアセスメントの実際について述べる.

  • 吉田 多紀
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】糖尿病患者への予防的フットケアは,患者自身がセルフケアを行い,足病変をつくらないだけに留まらず,療養行動についてもセルフケアにつなげていくことが目標となる.対象は「足」だけではなく,糖尿病をもつその人自身なのである.足のケアを通して患者の思いや生活,即ちその人自身に対する理解を深めていく.そのためには,足だけを焦点化するのではなく,「足の状況」「全身状態」「生活状況」「セルフケア状況」の 4 つの視点で患者を捉え,関連性をアセスメントしたうえでケアを行うことが必要である.また,フットケアがもたらす心地よさや足の状態の良い変化が患者のセルフケアの変化を促進しているといえ,糖尿病患者に対するフットケアが,足病変の治療や予防的行動に向けた指導だけに留まっていないことが示されているといえる.以上のことを踏まえ,フットケアに関する知識や技術を高めるだけに終始することなく,患者に対して関心を向け続け,患者の思いを大切にし,そして,患者のことを大切に思い,その人それぞれにあわせた支援を行っていきたい.

  • 栩川 綾子
    原稿種別: 特集
    2019 年 17 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】近年,糖尿病足病変患者が増加していることに加え,透析患者や患者の高齢化も伴い,重度の虚血性足病変患者が増加している.それにより,再発を予防することや治癒の難しさ,さらに切断の可能性が高くなることが推測できる.そこで入院治療を受ける足病変患者がどのような体験をし,どのような支援が求められているのか考察した.入院治療を受ける足病変患者は,それまでの緩い糖尿病療養や甘い考えを持っていた自分を責め,身体を失うことへの寂しさなどから苦しみ,自分の生活や未来を守るために踵が残せることに関心を寄せている.さらに,長い入院生活でストレスフルな状況にある.そのため足病変患者は,医療者とのかかわりを通して自ら置かれた状況を変化させようと主体的に動き出すのである.このような患者の体験であるからこそ,医療者は動き出そうとする患者を後押しすることが求められるのであり,それにはまず,足病変患者とかかわり,理解することが必要になる.その際に,身体に触れるフットケアは,双方の身体交流を生むことで,かかわりを促す装置として機能する可能性がある.

症例・実践報告
  • 小松 美奈子, 永田 茂樹, 森川 勝義, 笠井 史人, 門松 香一
    原稿種別: 症例・実践報告
    2019 年 17 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】2008 年に糖尿病合併症管理料が設置され,全国各地でフットケア外来が開設されるようになり,2016 年には下肢末梢動脈疾患指導管理加算が設置され,フットケアへの関心は益々高まり,チームで関わるフットケアの大切さが広まりつつある.私たちは 2016 年 6 月に糖尿病足病変の患者だけでなく,下肢にトラブルを抱える患者に関わり下肢救済の一助になればと,足外来という名称でフットケア外来を開設した.当院では足にトラブルを抱えた患者の受診先は糖尿病・代謝・内分泌内科,腎臓内科,リウマチ・膠原病内科,心臓血管外科,形成外科,皮膚科と多岐にわたっていたため,診断・治療の集約化を目的に 2017 年 4 月から皮膚科医師,形成外科医師,リハビリテーション科医師,義肢装具士,皮膚・排泄ケア認定看護師など多職種で構成するフットケアチームを potluck party 形式で構築し,活動を開始した.その開設の経緯と方法,活動内容を紹介するとともに,多職種で構成するフットケアチームによる介入開始後,約 1 年で治癒した症例を合わせて報告する.

  • 高井 佳菜子, 駒井 宏好, 大久保 縁, 山本 暢子, 深山 紀幸, 坂下 英樹
    原稿種別: 症例・実践報告
    2019 年 17 巻 2 号 p. 96-99
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/06/30
    ジャーナル フリー

    【要旨】閉塞性動脈硬化症重症下肢虚血患者の救肢のためには重症下肢虚血の早期発見,早期治療介入が重要であるが,いまだ確固たるエビデンスを持つ有効な戦略はない.当院では 2013 年から主に看護師による足病変早期発見・報告システムを確立しているが,このシステムにより発見され下腿動脈バイパス術により救肢しえた症例を経験したので報告する.症例は 72 歳,男性,糖尿病患者で,緑内障手術のため眼科入院中に当システムにより足病変が発見され,当科紹介受診となった.右第 5 趾潰瘍に対し重症下肢虚血の診断で膝下膝窩-後脛骨動脈バイパス術を施行し,212 日目に完全治癒を認めた.術後 4 年 9 ヶ月,新たな潰瘍の発生はなく独歩で外来通院している.看護師を中心としたメディカルスタッフによる入院患者の足病変スクリーニングと,フットケアチームを介しての医師への早期報告による救肢と考えられ,メディカルスタッフの組織的関与が適切な治療に有用であることが証明された.

シリーズ:スキンケアと外用薬
フットケア指導士による実践報告リレー
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