小学校電気学習において,電気回路は,たいへん重要な概念の1つである,一般に電気回路とは「電源(電池)の両極を,電気を通す線(導線)で切れ目なくつないだ道すじであり, 1つの閉じた図形」として定義できる。また電流が流れるためには,回路が不可欠であり,回路が閉じていないと電流は流れない。従って,磁気作用も発熱作用も生じない。このように,本概念は,直接視覚を用いて認識でき,電気学習の中でも最も基礎的な概念といえる。本研究では,児童の回路概念の認識能力を,空間(図形)認識の立場から調査した。調査結果の分析より次のことがわかったので報告する。1. 回路(形一定)の提示される位置が,回路認識に大きな影響を与えていること。回路の位置が異っても,同一回路として同定できた者は,小2で40%,小3でもわずか55%であった。2. 導線のねじれによる回路認識のつまづきがみられた。導線のねじれ数が多いほど,回路認識は困難になる。3. 回路認識には,次の2つの空間認識能力が必要であること。 a同一回路(形一定)が異なる位置で提示された時,視点の移動を行い,両者を一致される能力 b「導線がねじれていても,閉回路であれば,豆電球は点灯する」というトポロジカル空間認識能力
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