日本理科教育学会研究紀要
Online ISSN : 2433-0140
Print ISSN : 0389-9039
39 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 松森 靖夫, 雨宮 祐二
    1998 年 39 巻 2 号 p. 49-59
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/02/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,まずプリーストリの実験場面を用いて,光合成と呼吸(特に気体の収支関係)に関する高校生の認識状態について調査した。得られた主な知見は次の通りである。(1)高校生は,主に6つの要因(光合成,呼吸,水,餌・養分,温度,その他)に基づいて,プリーストリの実験結果を推測すること。(2)植物成長やその生命維持に不可欠な呼吸を判断基準として引き合いに出しながら,プリーストリの実験結果を推測した高校生は極少ないこと。(3)呼吸と光合成による気体(O2とCO2)の出入りを定景的かつ総合的に判断できた高校生は極少ないこと。さらに,このような調査結果に基づいて,光合成及び呼吸概念の認識を志向する教授学習過程を構築するための視点について,検討を加えた。

  • 稲垣 成哲, 山口 悦司, 上辻 由貴子
    1998 年 39 巻 2 号 p. 61-79
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/02/24
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,理科教育の認知論的研究やそれらの知見を参照した実践的な授業研究における社会文化的アプローチの意義について考察することであった。このために,まず,理科教育の認知論的研究における社会文化的アプローチの位置について,従来の情報処理的なアプローチに立脚した個人主義的な構成主義の研究と対比することで議論した。次に,社会文化的アプローチの諸理論を検討した。具体的には,このアプローチの背景となるL. S. ヴィゴッキーやM. M. バフチンの提案する諸概念について吟味した。さらに,バフチン理論の提案する諸概念を参照しながら,言語コミュニケーションを中心とした授業の相互行為について事例的な分析を試みた。事例とされたのは,小学校6年生の理科の授業であり,授業のVTR記録・トランスクリプト・身体配置のスケッチが分析の素材とされた。分析された相互行為の中では,教師や子どもたちは,複数の発話と接触することを通して,多種多様な声・社会的言語・ことばのジャンルと出会っていたことが例証された。以上の議論や例証の結果を考察することで,バフチンの提案する諸概念は,言語コミュニケーションの内実を詳細に議論できるという意味で,理科教育の認知論的研究ならびに実践的な授業研究に新たな知見を提供するものであることが示唆された。

  • 小関 真紀, 津留 俊介
    1998 年 39 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/02/24
    ジャーナル フリー

    空気鉄砲内部の圧力を準静的に増加し,弾が発射される直前の臨界圧力を測定した。その結果,臨界庄力は銃身の内径(弾の外径)に反比例し,弾の厚さに比例することがわかった。これらの実験結果は,弾が静止している間は銃身内部の圧力が銃身と弾の側面との間の摩擦力に等しいという考えに基づいた理論結果とよく一致する。従って,素材をそのまま型抜きした弾を用いる大口径空気鉄砲を作ることは難しいといえる。

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