日本薬理学雑誌
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101 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • ―脊髄後角を中心に―
    佐藤 公道
    1993 年 101 巻 5 号 p. 289-298
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    The roles of substance P (SP), somatostatin (SST), calcitonin gene-related peptide (CGRP), galanin and glutamic acid, which are contained in the primary afferents, in nociceptive transmission at the spinal dorsal horn are described. In the experiments using the in situ perfusion technique in a localized area of the rabbit spinal dorsal horn and radioimmunoassay, mechanical or thermal noxious stimulation of the skin, which did not produce severe inflammation like edema, selectively increased the release of immunoreactive SP or SST into the same perfusates, respectively. Intrathecal injection of synthetic SP or SST in rats selectively produced an hyperalgesia to mechanical or thermal noxious stimulation, respectively. Intrathecal injection of antibody against SP or SST in rats, particularly in rats with inflammation, inhibited the mechanically or thermally-induced nociception, respectively. These data suggest that SP and SST separately play roles in transmission of mechanically and thermally induced nociceptive information, respectively. Furthermore, it was suggested that CGRP and galanin probably act on the capsaicin-sensitive primary afferents to increase the activated release of endogenous SP from their terminals, and consequently, processing of nociceptive information induced by mechanical stimulation of the periphery is enhanced in the spinal dorsal horn. Furthermore, our data suggest that CGRP facilitates processing of thermal nociception in the spinal dorsal horn, maybe through increasing the release of SST. On the other hand, endogenous glutamic acid probably mediates the aversive responses induced by intrathecal SP in rats.
  • 大江 真弓, 浅野 潔, 芳賀 慶一郎, 瀬戸口 通英
    1993 年 101 巻 5 号 p. 299-307
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    選択的セロトニン3受容体拮抗薬Y-25130のセロトニンおよびコレラ毒素誘発腸液分泌に対する作用をラット空腸を用いて検討し,以下の成績を得た.1)セロトニン(1~10μg/min腸間膜動脈内持続注入)は用量依存的に腸液分泌を増加させた.2)セロトニン(3μg/min)で誘発した腸液分泌に対して,Y-25130(0.01~1mg/kg,i.v.)は用量依存的な抑制作用を示した.同じくセロトニン3受容体拮抗薬であるグラニセトロンおよびオンダンセトロンも同様に抑制作用を示した.3)メチサージャイドは抑制作用を示さず,アトロピンおよびテトロドトキシンも影響を及ぼさなかった.4)コレラ毒素(1~10μg/2ml空腸ループ内留置)は強い腸液分泌亢進作用を示した.5)コレラ毒素(3μg/2ml)誘発腸液分泌に対してY-25130は1mg/kg,i.v.で抑制作用を示した.グラニセトロンは抑制作用を,オンダンセトロンは抑制傾向を示した.6)メチサージャイド,アトロピンおよびテトロドトキシンは影響を及ぼさなかった.以上の成績から,セロトニンはセロトニン3受容体に作用して腸液分泌を亢進し,コレラ毒素は少なくとも一部はセロトニン3受容体を介して腸液分泌を亢進していると推察される.セロトニン3受容体拮抗薬であるY-25130はセロトニンおよびコレラ毒素誘発腸液分泌のいずれをも抑制し,臨床における分泌性下痢疾患に対する有用性が期待される.
  • 日高 寿範, 相坂 一雄, 猪俣 則夫, 古谷 真優美, 井上 照好, 小俣 貢, 吉田 真己, 宮崎 朋子, 大野 知親, 石原 高文
    1993 年 101 巻 5 号 p. 309-325
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    実験心不全モデル動物において血行動態改善作用を示すことが知られているcarperitide(ヒトのα型心房性ナトリウム利尿ホルモン)の循環器系に対する作用を各種動物を用いて検討した.carperitide(0.1-1000nM)は,KClあるいはノルエピネフリンで収縮させたイヌの摘出動静脈において濃度依存的な血管弛緩作用を示した.また,ラット大動脈平滑筋膜結合型グアニル酸シクラーゼ活性を濃度依存的に亢進させた.3.25-3250nMで,モルモット摘出灌流心臓の灌流圧および心拍数に対して殆ど影響を及ぼさなかったが,325および3250nMで心収縮力を軽度減少させた.また,麻酔ラットにおける心筋エネルギー代謝に殆ど影響を及ぼさなかった.carperitideはラット腎臓スライスにおけるレニン分泌を抑制する傾向がみられた。また,ウシ副腎皮質球状層細胞におけるアルドステロン分泌を濃度依存的に抑制した.carperitideを麻酔あるいは無麻酔イヌの静脈内に投与すると(それぞれ0.1-3.0あるいは1-100μg/kg),平均血圧および総末梢血管抵抗の低下が認められた.心拍出量,冠動脈血流量は一過性に増加した後,減少傾向がみられた.急性心不全モデルの血行動態,尿量に対する作用については,血中のatrialnatriuretic peptide(ANP)濃度(免疫活性)を測定しながら検討した.冠動脈結紮および生理的食塩液負荷により肺動脈楔入圧の上昇がみられたが,carperitideを静脈内に持続注入すると血漿中carperitide(ANP)濃度の上昇に伴い,肺動脈楔入圧を心不全作製前のレベル以下まで低下し,肺動脈圧および右房圧も低下した.また,carperitideは尿量および尿中電解質排泄も増加させ,ヘマトクリット値を上昇させた.以上のようにcarperitideは,種々の循環器系パラメーターに対して作用し,前負荷および後負荷を軽減させることにより,心不全時の血行動態を改善させることが示唆された.
  • 中山 貞男, 小泉 久仁弥, 飯島 宏治, 真柳 誠, 小口 勝司
    1993 年 101 巻 5 号 p. 327-336
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    シソ科和漢薬9種より熱水抽出エキス(HWE)とタンニン除去画分(DTF)を調製し,ラット肝の脂質過酸化物(LPO)形成,およびaminopyrine N-demethylase(APD)活性とaniline hydroxylase(ANH)活性に対するHWEとDTFの影響をin vitroで検討した.APD活性は6生薬のHWEで抑制され,特に黄〓の抑制作用は著明であり,また紫蘇子では促進作用が認められた.DTFでの検討で,黄〓の抑制作用に変化は認められず,一方,紫蘇子の促進作用は消失した.ANH活性は7生薬のHWEで抑制された.DTFでの検討では,〓香・紫蘇葉を除く7生薬でHWEの抑制作用が増強され,特に黄〓の抑制作用の増強は著明であった.LPO形成においては8生薬のHWEで抑制され,特に黄〓において著明な抑制作用が認められ,この活性はDTFにおいても消失しなかった.以上の結果より,APD・ANH活性とLPO形成に対し抑制作用を示した黄〓は,肝薬物代謝酵素系やLPO形成に対する作用を介して薬物,化学物質の代謝や肝機能に影響する可能性があり,in vivoにおける作用発現の可能性が示唆された.
  • 長谷川 篤司, 辻 まゆみ, 中山 貞男, 小口 勝司
    1993 年 101 巻 5 号 p. 337-347
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
    殺菌消毒薬であるm-クレゾール, グアヤコール, ホルムアルデヒド, エタノールとこれらの合剤(FC:ホルムアルデヒド+クレゾール,FCE:FC+エタノール,FG:ホルムアルデヒド+グアヤコール,FGE:FG+エタノール)のラット赤血球と単離肝細胞ならびに水の表面張力に対する影響を検討した.赤血球の低張性溶血はm-クレゾールで抑制されたが,10mMのグアヤコールとホルムアルデヒド,4~10mMエタノールでは溶血促進を認めた.合剤は低張性溶血に対して, 低濃度では溶血抑制, 高濃度では溶血促進という2相性の作用を示した.ラット単離肝細胞からの酵素逸脱において, ホルムアルデヒドは培養液中と肝細胞内のGOT,GPTを減少させた.m-クレゾールは培養液中のGOT,GPTを増加し,肝細胞内のそれらを減少した.培養液中のGOTは10mMのFC,FCEで増加,FG,FGEでは減少を認めた, 肝細胞内GOT,GPTと培養液中のGPTはすべての合剤で減少を示した.GOT,GPT活性はホルムアルデヒドとすべての合剤で抑制された.ホルムアルデヒドと合剤による培養液中のGOT,GPTの減少はホルムアルデヒドによる酵素活性の直接的抑制で起こされたと思われる.単離肝細胞の形態観察において, ホルムアルデヒドとm-クレゾール適用でトリパンブルーを取り込んだ死細胞が見られた.すべての合剤で死細胞の増加がみられた.ホルムアルデヒド,m-クレゾールとエタノールは水の表面張力を低下した.グアヤコールはこれらよりも強い低下作用を示したが,FGとFGEではこの作用が減弱された.以上の結果から, 赤血球の低張性溶血や単離肝細胞膜障害ならびに表面張力低下に対して, ホルムアルデヒド,m-クレゾール, グアヤコール, エタノールはそれぞれが他薬の作用を増強せず, 合剤における結果は各被検薬単独の相殺もしくは相加的作用であることが示唆された.
  • 赤池 紀扶
    1993 年 101 巻 5 号 p. 349-354
    発行日: 1993年
    公開日: 2007/02/06
    ジャーナル フリー
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