MCI-2016(bifemelane hydrochloride)の脳エネルギー代謝に及ぼす影響を予測する為に,2-deoxy-D-[
14C]-glucose([
14C]-DG)の正常あるいは低酸素負荷下での脳内取り込み,脳内での[
14C]-glucoseからの
14CO
2産生,ならびに脳局所グルコース利用率(LCGU)に対する作用を検討した.マウス脳への[
14C]-DG取り込みはMCI-2016 25 mg/kg, i.p. ならびにCa-hopantenateloomg/kg, i.p. の6日間連投により有意に促進されたが,これらの薬物の単回投与による変化は軽度なものであった.脳内グルコース代謝の指標としての[
14C]-glucoseからの
14CO
2産生はMCI-2016 100 mg/kg, p.o. 6日間投与によりマウス及びラットで,更に,Ca-hopantenate 250 mg/kg, i.p. 連投によりラットで,それぞれ有意に促進された.一方,ラットに低酸素を負荷(O
2: 5%)することにより,脳への[
14C]-DG取り込みは有意に低下したが,MCI-2016は25~100 mg/kg, p.o.連投(6日間)により,軽度ながらこの取り込み能を改善させた.脳局所グルコース利用率(LCGU)に対しても,MCI-2016は100 mg/kg, p.o. 6日間投与により,皮質視覚野,視床内側核,小脳虫部垂で有意な促進作用を示し,MCI-2016の薬理作用との関連が推測された.以上の検討より,MCI-2016が脳エネルギー代謝系に対し緩和な賦活作用を有することが考えられる.
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