新規化合物MY-5116; isoamyl 5,6-dihydro-7,8-dimethyl-4,5-dioxo-4H-pyrano[3,2-C]quinoline-2-carboxylateおよびその代謝物のラットhomologous PCA(以下PCA)およびラット腹腔浸出細胞(以下PEC)からのhistamine遊離に及ぼす影響を検討した.MY-5116は,10,30および100 mg/kgの経口投与で,種々の濃度の血清を用いたPCAを有意に抑制した.また12倍希釈した抗卵白アルブミン(OVA)ラット血清を用いたPCAでは,MY-5116は30 mg/kgの経口投与で投与10分から2時間までPCAを有意に抑制し,投与30分後のED50は19.1 mg/kgであった.また,MY-5116の代謝物MY-1250,7HPQ,8HPQ,7CPQおよび8CPQの静脈内投与によるPCAの抑制作用を検討したところ,MY-1250の抑制作用が最も強かった.血中の代謝物の濃度からも7HPQ,8HPQ,7CPQ,8CPQの抑制作用の関与は少なく,主にMY-1250が生体内で作用していることが推測された.またMY-5116を静脈内投与しPCA抑制作用を検討したところ,時間経過とともに抑制作用が増加し10分で最大抑制を示した.DMSOに溶解したMY-5116のPECからのhistamine遊離抑制作用は10
-7~10
-6 g/mlで認められず,代謝物のMY-1250は10
-7~10
-6 g/mlで有意な抑制作用を示した.これらの結果からMY-5116がMY-1250に代謝を受けMY-1250が主要活性代謝物として作用していると考えられる.このMY-1250のhistamine遊離におけるIC50は1.4×10
-7 g/mlで,DSCGの2.4×10
-6 g/mlに比べ約17倍強い作用であった.また,MY-1250は静脈内投与でOVAもしくはDNP-Ascarisを抗原としたPCAを抑制し,DSCGより約10倍強かった.以上の結果から経口投与されたMY-5116は生体内で代謝されてMY-1250となりこの主要活性代謝物のMY-1250が肥満細胞からhistamine遊離を抑制する作用機構でPCA抑制作用を示すものと推察された,
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