日本薬理学雑誌
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87 巻 , 4 号
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  • 岡部 進
    1986 年 87 巻 4 号 p. 351-360
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    This is a review article on newly developed antisecretory drugs which are now called proton pump inhibitors. Gastric H+ is secreted from the secretory membrane of parietal cells into the lumen of the stomach, using energy obtained by destructing ATP with H+, K+-ATPase (proton pump). Various substituted benzimidazoles such as timoprazole, picoprazole, omeprazole, or NC-1300 potently inhibits this proton pump at pH 6.0, thereby resulting in a strong inhibition of gastric H+ secretion. This inhibiton of H+ secretion lasts for a long period, ie, 1-3 days after a single oral or intraduodenal administration, both in experimental animals and humans. This long lasting activity of these compounds appears to be due to their accumulation in the parietal cells because of their low pKa values (about 4.0). Proton pump inhibitors dose-dependently inhibit the development of various experimental ulcers and accelerate healing of chronic gastric ulcers in animals. Since these compounds also potently inhibit the development of HCl·ethanol or HCl·aspirin-induced gastric ulcers in animals, they are considered to have a cytoprotective activity. Some of the compounds (e.g., omeprazole) afforded a complete healing of peptic ulcers in man when it was given once daily for 2 to 4 weeks, without any adverse effects. Therefore, these proton pump inhibitors appear to be promising drugs for the treatment of peptic ulcer diseases.
  • 森下 信一, 齋藤 隆, 三島 泰宏, 水谷 睦, 平井 康晴, 川上 萬里
    1986 年 87 巻 4 号 p. 361-378
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    センソ含有製剤“救心”の2種の処方につき一般薬理作用を検討した.両処方の薬理作用に顕著な差は認められなかった.即ち,両処方60 mg/kg, p.o. より酢酸ライジング抑制作用が,600 mg/kg, p.o. より自発運動抑制,睡眠延長,正常体温降下,下熱,色素透過性抑制などの作用が認められた.先に検討したセンソ成分の1つcinobufagin(CB)の作用と比較したところ,これらの作用はCBの3および30 mg/kg, p.o. においても認められていた.そのほかCBで認められず,“救心”で認められた作用は血糖上昇および胃液分泌抑制作用であった.これらの作用はセンソにも認められることから.センソに含まれるCB以外の物質によることが示唆された.
  • 藤吉 俊夫, 池田 賢朗, 斉藤 真寿美, 山浦 哲明, 飯田 博之, 前田 悦子, 加瀬 則子, 植松 利男
    1986 年 87 巻 4 号 p. 379-395
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    新しい抗炎症剤EB-382の抗炎症作用をibuprofenおよび他の抗炎症剤と比較検討した.EB-382はマウス酢酸誘発腹腔内血管透過性亢進およびラットcarrageenin足臆浮腫に対して,ibuprofenより強い抑制作用を示したが,モルモット紫外線紅斑,prostaglandin生合成に対する抑制作用は弱かった.EB-382はラットcarrageenin胸膜炎およびzymosan空気嚢炎症に対してindomethacinとほぼ同程度の強い抑制作用を持ち,モルモットkallikreinおよびzymosan誘発皮膚血管透過性亢進においても強い抑制作用を示した.EB-382はペーパーディスク肉芽腫およびadjuvant関節炎においてibuprofenよりも強い効力を示したが,胃粘膜障害作用は弱かった.EB-382は,ラットにおけるhistamine誘発皮膚血管透過性亢進,ovalbumin,serotonin誘発足蹠浮腫,punch法,さらにin vitroにおける蛋白熱変性,赤血球熱溶血に対しては他の一般的な酸性非ステロイド性抗炎症剤と同様に作用は弱かった.以上,EB-382は一般的な酸性非ステロイド性抗炎症剤のもつ作用に加えて,新しい薬理効果をもつ抗炎症薬であり臨床的に有用であることが示唆された.
  • 松村 晴希, 寺下 善一, 西川 浩平, 今井 祥雄
    1986 年 87 巻 4 号 p. 397-404
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    10週齢の雄Sprague-Dawleyラットにペントバルビタール麻酔下でウシ皮膚III型コラーゲン1 mg/kgを静脈内投与し,I,II,およびIII誘導による心電図を1分毎に10分後まで記録した.コラーゲン投与後に顕著な心電図ST-Tあるいは不整脈を認め,中には心停止に至った例があった.トロソボキサン(TX)A2合成酵素阻害剤(E)-7-pheny1-7-(3-pyridy1)-6-heptenoic acid(CV-4151) 10 mg/kgの2時間前経口投与により,コラーゲン誘発心電図変化は著明に改善され,心停止の発生が抑制された.このCV-4151の作用はticlopidine 30 mg/kgの作用よりも優れていた.両化合物とも血小板数に影響を与えなかったが,CV-4151のみがコラーゲン投与につづく血漿TXB2値の上昇を抑制した.これらの所見は,コラーゲン誘発心筋虚血には少なくとも部分的にTXA2が関与し,その改善にCV-4151が有効であることを示唆する.
  • 柴田 学, 大久保 つや子, 高橋 宏, 工藤 照夫, 猪木 令三
    1986 年 87 巻 4 号 p. 405-415
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ホルマリンテストを改良した新しい炎症性疼痛モデルを作製した.マウス後肢足臆下にformalin(0.5%, 25 μl/paw)を投与し,その際に起るlickingとbitingを指標として疼痛反応を測定した.注入直後より5分内に出現して消失する一過性の強い疼痛反応(第1相: F相)がまず得られ,その後15~20分をピークとする持続時間の長い反応が再出現する(第2相: S相),極めて特徴ある二相性のパターンが得られた.morphine,ethylketocyclazocine,ketocyclazocine,pentazocineなどの中枢性鎮痛薬は,このF,S両相を用量依存的に抑制した.aspirin,oxyphenbutazone,dexamethasoneのような末梢に作用する薬物は,S相のみを,またaminopyrine,mefenamic acid等の中枢,末梢双方に作用点をもつとされる薬物では,両相を抑制するものの,S相をより強く抑制する傾向を示した.(D-Arg1, D-Pro2, D-Trp7,9, Leu11)-substance P(SP拮抗薬)投与は,F相のみを特異的に抑制した.Des-Arg9-(Leu8)-bradykinin(BK拮抗薬)は,F,S両相を有意に抑制した.またcompound48/80前処置やindomethacinはS相のみを抑制した.これらのことから,F相ではSPとBKが,S相ではhistamine,BK,PGが,それぞれ関与しているであろうと考えられた.またnaloxoneにより疼痛過敏が,bestatinにより鎮痛が,それぞれS相において観察されたことから,formalin刺激により内因性オピオイド活性が高まり,特にS相において疼痛制御に働いていることが示唆された.またnaloxone(muタイプ)とWin 44,441-3(kappaタイプ)のmorphine拮抗作用の違いを調べた実験から,疼痛制御機構において,F相にはmuタイプ,S相ではkappaタイプのオピオイド受容体が主体的に関わっていることが考えられた.以上のことから,F相は主としてformalinによる神経終末の直接刺激に起因するsubstance P由来の疼痛であり,S相は続発する炎症反応に由来するものと仮定して,種々の考察を行なった.
  • 堀井 大治郎, 原 祐司, 花塚 光男, 西 広吉
    1986 年 87 巻 4 号 p. 417-426
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    抗アレルギー薬MY-5116およびその主要活性代謝物であるMY-1250の心臓血管系に対する作用を,麻酔イヌを中心にDSCGと比較検討した.麻酔イヌおよび無麻酔・無拘束ラットでのMY-5116300 mg/kg経口投与では,血圧,心拍数に対し影響は認められなかった.麻酔イヌでの静脈内投与でMY-1250は3 μg/kg,DSCGは10 μg/kgから,用量依存性の血圧下降ならびに徐脈作用を発現し,呼吸運動に対しては両者とも一時的な呼吸数の抑制作用を示したが,心電図波形に対しては特に影響を与えなかった.MY-1250の10 μg/kgおよびDSCGの30 μg/kgを2~3分間隔で静脈内投与すると,両薬物の血圧下降作用は著しく減弱した.このtachyphylaxisには,相互に交叉性が認められた.MY-1250およびDSCGによる血圧下降作用は,atropine処置により軽度に抑制されたが,両側迷走神経切断によりほぼ完全に消失した.麻酔イヌにおいてMY-1250は血圧下降を起す3 μg/kg静脈内投与から,総頸動脈血流量を減少させ,腎血流量を減少後増加,大腿動脈血流量を増加後減少という二相性変化を示した.これら各部位の血流量変化は,両側迷走神経切断によってほぼ完全に消失した.従って,MY-1250はDSCGと同様Bezold-Jarisch反射を介して心臓血管系の変化を誘発することが示唆された.MY-1250の10 μg/kg静脈内投与はイヌの瞬膜収縮に影響を及ぼさなかった.モルモット摘出心房標本においてMY-1250は10-5g/mlから収縮力の軽度増強を,10-4g/mlでは拍動数の軽度増強を認めた.これらの心臓興奮作用は,reserpine処置によって影響を受けなかった.ラット摘出血管標本においてMY-1250 10-4 g/mlの前処置は,norepinephrineの収縮反応曲線に影響を与えなかった,以上のごとくMY-5116は300 mg/kg経口投与で心臓血管系に対する影響が認められず,その主代謝物MY-1250の心臓血管系に対する作用はDSCGの作用と極めて類似していることが判明した.
  • 新冨 敬一, 板倉 正, 吉本 謙一, 小川 洋里, 福島 登美子, 松岡 雄三
    1986 年 87 巻 4 号 p. 427-434
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    ICR系マウスとスナネズミを用い,実験的な虚血性脳障害に対するnicergolineの作用をdihydroergotoxine(DHE)と比較検討した.両側総頸動脈(BCA)永久結紮によるICR系マウスの脳虚血モデルにおいて,nicergoline(16 mg/kg, i.p.)はDHEと同程度に脳虚血後の累積死亡率を有意に低下させた.BCA閉塞(30分間)―再開通によるスナネズミの脳虚血モデルにおいてもnicergoline(32 mg/kg, i.p.)はDHEと同程度に血行再開通後から虚血性痙れん発作発現までの時間を有意に延長させた,また,ICR系マウス脳虚血モデルで著明な脳エネルギー代謝障害が生じていることを確めた.このBCA結紮2分後の虚血脳においてnicergoline(16 mg/kg, i.p.)は増加したlactate量と上昇したL/P比を有意に低下させると共に,減少したcreatine-PおよびATP量を回復させる傾向を示した.さらに,ラット脳ホモゲネートを用いたin vitro系でnicergolineはα-tocopherolおよびDHEよりも2.5~3.5倍強い過酸化脂質生成抑制作用(IC50: 31 μM)を示した.これらの成績から,nicergolineは虚血性脳障害に対して保護作用を有し,その作用発現には脳エネルギー代謝改善作用に加え,過酸化脂質生成抑制作用が一部関与しているものと考えられた.
  • 辻 泰喜, 大庭 忠弘, 中山 貞男, 坂本 浩二
    1986 年 87 巻 4 号 p. 435-443
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット(SHR)を用い,生体内アミン代謝に関与する酵素,monoamine oxidase(MAO)活性の週齢による変動およびβ1遮断薬であるアテノロールのMAO活性に及ぼす影響について検索した.実験動物は5週齢,90 g前後の雄性sHRを用い,アテノロールは20 mg/kg,100 mg/kgを1日1回10週間経口投与し,投与2週間毎に各種臓器内MAO活性を測定した.アテノロールは週齢による血圧の上昇を投与量に応じて有意に抑制した.心拍数は8週齢で最大値を示したが,アテノロール投与によりいずれの時期においても,コントロールに比し低値を示し,特に,100 mg/kg投与で著明であった.また,アテノロール投与により心重量/体重比は低下した.実験に使用したすべての臓器においてMAO活性は5週齢に比し15週齢で上昇が認められた,アテノロール投与により心臓では投与2週で,肝臓では投与4,6週でMAO活性の増加がみられたが,投与後期ではいずれの臓器においても活性は抑制された.この抑制は,特に心臓において著明であった.アテノロール投与10週の心臓内MAOのVmax値は有意に減少したが,Km値には差はみられなかった.また,in vitroではアテノロール10-6~10-3Mで臓器内MAO活性に変化はみられなかった.アテノロールは,in vitroではMAO活性に影響を及ぼさないが,in vivoでは実験に用いたすべての臓器内MAO活性に対して増加,あるいは抑制の変化を示した.以上のことより,アテノロールはSHRにおいて血圧下降,心拍数低下等のβ-受容体遮断作用を介し,臓器内MAO活性に間接的な影響を与えているものと考えられる.
  • 新冨 敬一, 江郷 秀世, 田中 隆司, 板倉 正, 吉本 謙一, 松本 守, 松岡 雄三
    1986 年 87 巻 4 号 p. 445-456
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    実験的な低酸素性脳障害に対するnicergolineの作用をdihydroergotoxine(DHE)およびphentolamine(PTA)と比較検討した.1) マウス減圧致死に対してnicergoline(16 mg/kg, i.p.)は保護作用を,DHEおよびPTAは増悪作用を示した.2) マウスKCN致死に対してnicergoline(1~16 mg/kg, i.p.および16~64 mg/kg, p.o.)はDHE同様に用量依存的な保護作用を示したが,PTAは本作用を示さなかった.3) KCN低酸素時のラット脳波平坦化に対してnicergoline(8~128 μg/kg, i.v.)は著明な軽減・阻止作用を発現し,その効力はDHEより10倍程強かった.一方,PTAは本作用を示さなかった.4) nicergoline(1~16 mg/kg, i.p.)はDHE同様に非致死量のKCN処置時の神経症状に対して回復促進作用を示した.また本薬はKCN低酸素時マウス脳エネルギー代謝障害に対しても用量依存的な改善作用を示した.5) KCNによる脳チトクロームナキシダーゼ活性阻害に対してnicergoline(100 μM)はDHEより強い拮抗作用を示したが,PTAは拮抗作用を示さなかった.6) なお,マウスadrenaline致死に対するnicergoline,DHEおよびPTAの保護作用のED50はそれぞれ1.18,0.27および0.35 mg/kg(i.p.)であった.7) これらの成績から,nicergolineの低酸素性脳障害に対する保護作用は,α-受容体遮断作用とは関連せず,むしろ脳チトクロームオキシダーゼ活性賦活作用による脳エネルギー代謝障害改善作用に基づくものと考えられた.
  • 成松 明博, 中尾 健一郎, 江川 三生, 原 啓人, 喜多田 好, 山崎 智志, 三宅 基義, 田中 唯司, 片山 創太, 橋本 紀子, ...
    1986 年 87 巻 4 号 p. 457-478
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    肝機能改善剤tritoqualine(TRQ: (±)-(R)-7-amino-4,5,6-triethoxy-3-[(R)-5,6,7,8-tetrahydro-4-methoxy-6-methyl-1,3-dioxolo[4,5-g]isoquinolin-5-yl]phthalide)の一般薬理作用を検討し以下の結果を得た.中枢神経系に対する作用として,TRQは100 mg/kg, p.o. 以上でhexobarbital睡眠およびmethamphetamine常同行動の軽度な増強作用を示したが,一般行動脳波あるいは運動系に対しては顕著な影響を示さなかったことから,中枢神経系に対する全般的な影響は少いものと推定された.一方,呼吸循環器系に対する作用として,TRQは0.1~3 mg/kg, i.v. まではSBP,HRおよびFAFなどに軽度な変化を来たしたにすぎないが,10 mg/kg, i.v. 以上の高用量ではSBPの明らかな下降,HR,FAFおよび呼吸数の増大を来たした.摘出心臓の収縮力あるいはペースメーカーに対するTRQ,の作用は軽度であったが,乳頭筋標本においては冠血流の増加が認められた.すなわち,呼吸循環器系に対する全体的な影響も少いものと推定された.摘出平滑筋に対するTRQ,の抑制作用は高濃度で認められる非特異的なものであり,さらに自律神経系全般に対する影響も軽度であった.消化器系の中で胆汁分泌量の増加がTRQ 1 mg/kg, i.v. 以上で認められた.その他の消化器系ならびに血液系に対する作用は殆んど認められなかった.以上のように,TRQ,の一般薬理作用は軽度なので,主作用発現にあたり特に問題になる副作用はないものと推定された.
  • 鎌田 紘八, 等々力 英美, 楠本 昌子, 古見 耕一, 大石 幸子, 赤松 隆
    1986 年 87 巻 4 号 p. 479-485
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    薬物の毒性評価,特に発癌性の評価の短期試験法を開発することを目的としてマウスの受精卵の培養を行った.受精卵を2細胞期または8細胞期に採取し,それぞれの卵を1-104pM 4-nitroquinoline-l-oxide(4-NQO)と1-104nM N-methyl-nitro-nitrosoguanidine(MNNG)に24時間,曝露しさらに胚盤胞期まで清浄な培養液内で発育させた.4NQOの曝露後,2細胞卵の発育率は曝露期間中および曝露後共にほぼ正常な発育率を示したが,死亡率は濃度依存的に増加する傾向を示した.また,8細胞卵の発育率は曝露後,初期胚盤胞および胚盤胞が濃度依存的に増加し,発育遅延の傾向を示した.2細胞卵由来の胚盤胞(2胚)の染色分体交換頻度(SCE)や分裂指数は濃度依存的な増加を示した.8細胞卵由来の胚盤胞(8胚)ではSCEや分裂指数の増加を認めなかった.MNNGへの曝露期間中,2細胞卵の発育は104nM群で停止し,他の曝露群では8細胞卵への発育率が若干減少する傾向を示した.しかし培養開始後48時間では1~100 nM群で発育促進の傾向がみられた.死亡卵は1 μM以上で発現し,経時的にも増加した.曝露後は10~100 nM群で濃度依存的な増加を示し,分裂指数も1~100 nM群で高率を示した.しかし,SCEは増加しなかった.8胚では,細胞数および分裂指数は殆ど変化しなかったが,SCEは濃度依存的に著しく増加した.したがって,受精卵の培養法を用いた評価法はSCEの誘発が可能なことから変異原性試験として,また分裂指数の増加に伴なう細胞数の増加は細胞増殖能の促進とみなされることから癌原性試験としても有効な手段になり得るものと考えられる.
  • 田島 雅道, 丸山 七朗, 佐藤 精一
    1986 年 87 巻 4 号 p. 487-495
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    acetyl glyceryl ether phosphorylcholine(AGEPC)によるラット足浮腫形成作用の特徴について調べた.その浮腫の形成はAGEPC注入後45分の時点に最大を示し,最大浮腫反応を惹起する濃度は1 μg/siteで,さらに高濃度では逆に浮腫は抑制された.cyproheptadine(cH)の全身投与(10 mg/kg, s.c.)はserotonin浮腫を顕著に抑制したが,AGEPC浮腫は抑制されなかった.しかしながらCHの局所適用をすることによって,用量依存的にAGEPC浮腫の部分的な抑制作用が認められた.またpyrilamineとmethysergideの局所併用によっても本浮腫は一部分抑制された.indomethacin(IM)の全身投与(10 mg/kg, s.c.)はcarrageenin浮腫を強く抑制したが,AGEPC浮腫は抑制されなかった.ところがIMの局所適用によっては部分的な抑制作用が認められた.lipoxygenase阻害剤であるcaffeic acid並びにesculetinに,またSRS-A拮抗剤であるFPL55712にも局所適用によって,軽度ながらAGEPC浮腫を抑制する作用が認められた,さらにIMとlipoxygenase阻害剤の局所併用を行うことによって,本浮腫は相乗的に抑制された.またdexamethasone(DM)は,全身投与と局所適用のいずれも3時間前処置によってAGEPC浮腫を強く抑制したが,phospholipase A2(PLA2)阻害作用を有するmepacrine,p-bromophenacyl bromide,chlorpromazineそしてtetracaineにはDMと同様の効果は認められなかった.以上の結果から,AGEPCによるラット足浮腫形成作用には一部分histamineとserotoninの両作用の関与が,またcyclooxygenase代謝物とlipoxygenase代謝物の相乗作用が関与している可能性が示唆されたが,DMはPLA2阻害作用以外の機序によって本浮腫を抑制している可能性がある.
  • 今村 直人, 三澤 美和, 北川 晴美, 柳浦 才三, 石曽根 博之
    1986 年 87 巻 4 号 p. 497-505
    発行日: 1986年
    公開日: 2007/03/02
    ジャーナル フリー
    浅田飴は咳,疾,喉の炎症の治療に広く用いられ,キキョウ根(P),トコン(I),マオウ(E),ニンジン(G)の4種類の生薬エキスが配合されている.今回,浅田飴の上記4種類の配合エキス(AE; 重量比P:I:E:G=94.5:40.5:40.5:67.5)の鎮咳作用および気道分泌活性に及ぼす影響について検討した.AEの鎮咳活性は無麻酔モルモットを用い,刺入電極法により測定した.その結果,AEには有意な鎮咳効果があり,その50%鎮咳用量は,76 mg/kg(i.p.)および500 mg/kg(p.o.)であった.in vlvoにおける気道分泌活性は麻酔犬を用い,stopper法により評価した.その結果,AEの30 mg/kg(p.o.)投与では,投与後2時間で気道液量の40%の有意な増加を示し,6時間後には対照値にほぼ回復した.100および300 mg/kg(p.o.)投与においては,それぞれ53.2および71.9%と用量依存的に有意な増加を示した.ガラス板法による粘稠度測定において,投与2時間目において30および100 mg/kg投与で6.9%および8.9%の粘稿度の減少を,また,300 mg/kg投与では10.7%の有意な減少を示した.in vitroにおける気管分泌細胞活性に及ぼす影響は,イヌの摘出気管をAE(10-7~10-3 g/mlを含むHanks液中で30分間)処理後,気管組織標本の150倍顕微鏡写真を作製することにより,組織学的/組織化学的指標に従い解析した.その結果,AEは杯細胞に対してほとんど影響を与えなかったが,10-7g/mlから濃度依存的に気管粘膜壁の厚さに対する気管腺腺房内径の比率(AIWR)を増加し,また腺房の厚さを減少し,明らかな気管分泌促進像が認められた.また,分泌細胞内の酸性糖タンパクの溶解も認められた.以上の結果から,AEは鎮咳作用並びに,in vivoおよびin vitroの実験いずれにおいても去疾作用を有することが明らかとなった.
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