日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
93 巻, 1 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 山下 樹三裕, 重松 和人, 前田 哲, 石田 芳英, 丹羽 正美, 尾崎 正若
    1989 年 93 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    新規 β-遮断薬 bopindolol {4-(2-benzoyloxy-3-tert-butylaminopropoxy)-2-methyl-indole hydrogen malonate}の脳卒中易発症ラット(SHRSP)に対する抗高血圧作用について検討した.雄性SHRSP 8週齢より32週齢までの24週間にわたって,bopindolol 0.002% 水溶液を随時飲用水として与えた.飲水量より算出した bopindolol の投与量は約1.4mg/kg/日であった.bopindolol は SHRSP の昇圧過程を14週齢以降有意に抑制し,心拍数も有意に減少させた.32週齢時に断頭採血し,生化学的検査を行った結果,bopindolol 投与群は尿素窒素,中性脂肪およびリン脂質の各値が,対照群に比べ有意に低値を示した.同時に摘出した主要臓器について病理組織学的検査を行った結果,対照群では実験期間中の死亡例1例を含む8例中3例にて脳卒中の発症が認められたのに対し,bopindolol 投与群では脳出血は全く認められなかった.又,対照群における心筋線維化,心肥大,大動脈壁肥厚,副腎球状帯の肥厚および腎病変が,bopindolol 投与群はいずれも著明に改善されていた.以上,bopindolol は低用量で SHRSP の血圧上昇を抑制し,かつ高血圧性二次病変の改善効果も認められ,抗高血圧薬として有用であることが示唆された.
  • 小林 正彦, 高橋 武男, 田口 和博, 平山 幸夫, 土田 園子, 山木 得生, 矢野 光夫, 内田 俊和
    1989 年 93 巻 1 号 p. 17-27
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    ラットの急性四塩化炭素(CCl4)肝障害に対する KZ-1026 の予防効果とその特徴について,組織学的,酵素組織化学的並びに超微細構造学的に検討した.KZ-1026 非投与群では50% CCl4(2ml/kg)の腹腔内単回投与の3時間後には中心帯肝細胞の RNA,グリコーゲン及び酵素活性の低下と共に微細構造の変化が生じた.この肝細胞障害は経時的に増大し,7時間後には風船様細胞が中間帯に限定して多数出現し,24時間後にはこれが壊死に向かった.KZ-1026(200mg/kg)投与群はいずれもCCl4投与の24時間後に屠殺し,観察した.KZ-1026をCCl4投与の24時間前に単回投与すると肝障害の発症はほぼ完全に阻止されたのに対し,4時間前に投与すると中心帯に弱い染色性の異常が出現した.しかし微細構造と細胞機能の障害並びに風船様細胞の形成は認められなかった。一方 KZ-1026 を CCl4 と同時又はその3時間後に投与すると予防効果が減少し,3時間後投与時の効果が最も弱かった.KZ-1026 は CCl4 投与による肝のグリコーゲン,RNA 並びに Mg2+-ATPase 活性の減少を選択的に抑制し,特に RNA 減少に対する予防効果が最も顕著であった.
feedback
Top