日本薬理学雑誌
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94 巻, 1 号
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  • 重井 達朗
    1989 年 94 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
  • 栗山 欣弥, 廣内 雅明
    1989 年 94 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    The γ-aminobutyric acid (GABA) receptor has been classified into two receptor subtypes (GABAA and GABAAB receptors) based on their pharmacological properties. The GABAAA receptor in the central nervous system (CNS) has been found to be coupled structurally as well as functionally with the benzodiazepine receptor and Cl- channel. Purified GABAAA receptor from bovine brain consisted of both α and β subunits. The complementary DNAS encoding the GABAAA receptor α and β subunits have been cloned; and from their elucidated nucleotide sequences, the amino acid sequences of the subunits were deduced. The structure of both subunits, having four putative membrane domains, has been found to be similar to other ligand-gated receptors such as the nicotinic acetylcholine receptor α subunit and glycine receptor 48K subunit. Therefore, it has been suggested that these ligand-gated receptors comprise a superfamily. In addition, the presence of similarities in the nucleotide and deduced amino acid sequences of human brain GABAAA receptor with those of bovine brain has been noted. On the other hand, the GABAB receptor, which is insensitive to bicuculline but sensitive to baclofen, has been found to be pharmacologically distinct from the GABAAA receptor. The GABAB receptor in the brain has been found to be coupled with GTP-binding protein and generates the inhibitory transmission coupled with various intracellular effector systems such as adenylate cyclase and phosphoinositides turnover. The exact structure and function of the GABAB receptor in the CNS, however, remain to be clarified in future studies.
  • 尾崎 幸紘
    1989 年 94 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    本邦産植物のカギカズラおよびチョウジソウから得られたインドールアルカロイドの hirsutine(HS),hirsuteine(HST),rhynchophylline(RP),isorhynchophylline(IRP),dihydrocorynan-theine(DCT)および β-yohimbine(β-Y)の一般薬理作用を検討した.これらアルカロイドはマウスにおいて緩和な中枢抑制作用を,マウス摘出小腸において弱い非競合性の鎮痙作用を,またラットにおいて血圧降下作用を示した,特に,β-Yにより起こされる血圧降下作用はこれらアルカロイドのなかで最も強く,また持続した.β-Y には norepinephrine の昇圧作用に対する抑制作用が認められたので,β-Y による血圧降下作用には,一部末梢血管におけるα-adrenoceptor の抑制による血管払張作用が関与することが考えられた.HS および β-Y はマウスの水浸拘束ストレス胃エロジオンの発生を抑制した.HS はマウスにおいてアコニチンにより,またモルモットにおいてウアバインにより誘発される不整脈を抑制した.HS の抗不整脈作用の効力はインドールアルカロイドのアジマリンとほぼ同程度であった.HS には isoproterenol の降圧,頻脈作用に対する抑制作用が認められなかったことから,HS の抗不整脈作用には β-adrenoceptor の抑制作用の関与は少ないことが考えられた.
  • 金 万宝, 孫 暁東, 河田 登美枝, 今井 昭一
    1989 年 94 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    新しい β遮断薬 bopindolol(4-(2-benzoylpxy-3-tert-butylaminopropoxy)-2-methyl-indole hydrogen malonate)及びその代謝産物である 18-502(4-(3-tert-butylamino-2-hydroxypropoxy)-2-methyl indole)及び 20-785(4-(3-tert-butylaminopropoxy)-2-carboxyl indole)の β遮断作用,部分作用薬活性(partial agonist activity),膜安定化作用につき,モルモット摘出心房標本,摘出気管平滑筋標本,中枢破壊ラット(pithed rat)及びモルモット右心室乳頭筋標本を用いて検討した.bopindolol(Bop)の isoproterenol に対する拮抗の強さはモルモット摘出心房標本で propranolol(Prop)の1.1~2.8倍,気管平滑筋標本で14.1倍であり β2受容体に5.6~12.9倍の選択性を示した.一方,18-502のβ遮断作用の強さは Prop の34.7~38.0倍(心房),29倍(気管)とこれまで我々が手がけた化合物の中ではもっとも強力であった(選択性なし).又20-785のそれは Prop の0.5倍(心房)と0.1倍(気管)であった.Bop,18-502及び20-785はいずれも中枢破壊ラットにおいて用量依存的に心拍数を増加させたが,18-502の作用がもっとも強かった.ピークに達するまでの時間を 0.3mg/kgで比べて見ると Bop>18-502 及び20-785であった.作用持続も代謝産物より Bop で長かった.Prop 1mg/kg前処置により心拍数増加は有意に減少した(18-502では抑制は低用量の作用についてのみ).Bop 及び18-502はモルモット右心室乳頭筋標本の細胞膜活動電位 Vmax を有意に抑制しその作用は Prop よりも強かった.以上の結果より Bop,18-502 及び20-785はいずれも部分作用薬活性を持つβ遮断薬である事がわかる.作用発現の早さを考えると Bop は生体内で18-502及び20-785に変化した上でその作用を現わしている可能性があるが,Bop のみがβ2選択性を示すという問題もあり今後の検討が必要であろう.なお,Bop 及び18-502は Prop より強い膜安定化作用を示した.
  • 佐藤 正巳, 今田 和則, 飯田 茂生, 大橋 清和, 山口 和夫, 小雀 浩司, 澁谷 靖義, 国広 靖之
    1989 年 94 巻 1 号 p. 35-47
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    5,8,11,14,17-eicosapentaenoic acid ethyl ester(EPA-E)の一般薬理作用を検討した.EPA-E 3,000mg/kg を経口投与(p.o.)しても一般症状,自発運動量,pentobarbital 睡眠ならびに正常および発熱体温に及ぼす影響は認められず,抗痙攣作用,鎮痛作用および筋弛緩作用も認められなかった.また,3,000mg/kg を十二指腸内投与(i.d.)しても,急性自発脳波に及ぼす影響は認められなかった.EPA-E lO-4M の濃度においても,モルモット回腸および気管ならびにラット胃条片および輸精管の筋緊張あるいは各種アゴニストによる収縮に対し,いずれも影響は認められなかった.ウサギ回腸およびラット子宮自動運動に対しても EPA-E の影響は認められなかった.さらに,EPA-E 3,000mg/kg,p.o. あるいは i.d. まで,ネコ瞬膜収縮,マウス腸管輸送能およびラット胃粘膜に及ぼす影響は認められず,抗潰瘍作用も認められなかった.幽門結紮ラットの胃液分泌においては,EPA-E 1,000mg/kg,i.d, まで胃液分泌量,総酸排出量および pepsin 活性に及ぼす影響は認められなかった.一方,3,000mg/kg,i.d. では胃液分泌量および総酸排出量の有意な抑制が認められたが,pepsin 活性に対しては有意な抑制は認められなかった.ラット呼吸,血圧,心拍数および心電図に対しては,EPA-E 3,000mg/kg,i.d, まで影響は認められず,EPA-E 10-4Mの濃度においてもモルモット摘出心房の収縮力および心拍数に及ぼす影響は認められなかった.その他,EPA-E 2.0%をモルモットに皮内投与しても局所麻酔作用および局所刺激作用は認められなかった.また,EPA-E 10-4Mの濃度においても溶血作用は認められなかった.さらに,EPA-E 3,000mg/kg,i.d.あるいはp.o. まで,神経筋伝達,尿および電解質排泄あるいは浮腫形成に及ぼす影響も認められなかった.以上,EPA-Eは中枢神経系,自律神経系,呼吸および循環器系などに対しほとんど影響を及ぼさないものと考えられた.
  • 田中 覚, 石原 正直, 芝村 誠一, 関口 富士男, 広橋 正章, 白崎 康文, 明石 章
    1989 年 94 巻 1 号 p. 49-60
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット(SHR)に1.5%の食塩水を負荷することによって発症する脳血管障害に及ぼす抗高血圧薬,budralazine の影響を検討した.本病態モデルでは食塩負荷によって負荷40日目をピークに収縮期血圧の急激な上昇(253±8mmHg)を来し,それに伴って脳軟化および梗塞巣が60%,脳実質内出血が40%の動物にそれぞれ発生するとともに脳細動脈の血栓および壊死を併発した.また,腎臓においても血管系に硬化性病変が90%の動物に認められるとともにこれに付随して間質性変化が観察され,いわゆる悪性腎硬化症の病像を呈した.食塩負荷と同時に budralazine(1,4 および 15mg/kg/day)を連続経口投与すると,対照群でみられた血圧の急激な上昇は用量依存的に抑制され,40日目の収縮期血圧値はそれぞれ238±7,208±7(P<0.01)および 189±4mmHg(P<0.01)であった.また,組織学的検索において 4mg/kg/day以上の投与では対照群で観察された脳および腎臓における病変の発生がほぼ完全に抑制された.さらに,本薬剤は脳および心臓の重量増加を有意に抑制するとともに,病態発生に伴う血清コレステロールおよびトリグリセライドの上昇も有意に抑制した.また,実験期間中に対照群では半数の動物が死亡したが,budralazine 投与群では死亡例を認めなかった.一方,hydralazine(1,4 および 15mg/kg/day)投与群では,脳および腎障害あるいは血清生化学的変化に対して budralazine と類似した予防効果を認めたにもかかわらず,実験期間中に3匹の動物が死亡した.以上の成績より,budralazine は本病態モデルにおける脳血管障害および腎病変の発症を予防することが明らかとなった.また,この予防効果は主として本薬剤の抗高血圧作用にもとづくものと推察された.
  • 田中 雄四郎, 檜森 憲夫
    1989 年 94 巻 1 号 p. 61-71
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    tenoxicam を含む thienothiazine 系誘導体20化合物の抗炎症,鎮痛作用,prostaglandin 生合成阻害作用及び,潰瘍惹起作用の評価試験を行ない,その構造活性相関についての検討を行なった.その結果,(1)thiophene ring の6位に -Cl または -CF33の導入によりその作用が増大したが-OHの導入によりむしろ減弱する.(2)thiazine ring の4位に -OH または ester 結合の導入は活性増強をもたらすが,ether 結合や amide 結合の導入は,その効力を減弱させる.(3)carboxamide 側鎖には2-aminopyridyl 基が必須であり,その活性は5位への -OH 基の導入(5-hydroxy-2-aminopyridyl)で著しく減弱される,(4)抗炎症作用,鎮痛作用及び prostaglandin 生合成阻害作用の3試験系間で各々非常に高い相関性が得られたのに対し,潰瘍惹起作用と,抗炎症作用並びに鎮痛作用との間の相関性は低かった.また,これら化合物の安全係数(潰瘍惹起作用 UD50/抗カラゲニン足浮腫作用 ED30 または抗熱湯性足浮腫疼痛作用 ED30)を求めたところ,特に tenoxicam は高値を示し,実験動物モデルにおいてのみならず臨床の場においても安全性が優れていることと一致した.
  • 石川 敏三, 前川 剛志, 篠原 耕一, 坂部 武史, 武下 浩
    1989 年 94 巻 1 号 p. 73-80
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    ラットの両側総頸動脈結紮及び低血圧による不完全脳虚血モデル(前脳虚血,15分間)を用い,以下の項目について isoflurane(ISOF)と笑気の影響を比較した.実験Iでは,虚血時及び再灌流時の水素クリアランス法による局所脳血流量(rCBF,2ヵ所)と皮質脳波(ECoG)を測定した.実験IIでは,再灌流60分時の 14C-iodoantipyrine 法による局所脳血流量(LCBF)と 14C-deoxyglucose 法によるブドウ糖代謝率(LCGU)を測定した(局所14ヵ所).実験Iでは,笑気群の rCBF は虚血前に比べ,虚血時大脳皮質,海馬で10%以下となり,再灌流後10分で約170%に増加し,60分では50%に減少した.ECoG は,虚血時平坦となり再灌流後21分で再発現した.ISOF 群の rCBF は虚血時25%に低下したが,再灌流後は虚血前と比べ差がなかった.ECoGは,虚血時平坦となり再灌流後14分で再発現した.実験IIでは,再灌流60分時,笑気群の LCBF は,虚血前に比べ前脳のすべての部位で40~50%,他の部位で50~80%と低値であった.LCGUは,虚血前に比べ前脳のすべての部位で30~50%,他の部位で20~50%と低値であった.一方再灌流60分時,ISOF 群の LCBF は,虚血前に比べ前脳のみ60~80%と低値であったが,他の部位では差はなかった.LCGUは,虚血前に比べ視床及び手綱核のみ80%と低値であったが,他の部位では差はなかった.以上から,ISOF は笑気に比べ,虚血後の反応性充血,低灌流・代謝及び脳電気活動の抑制が軽度であった.これらの結果は,不完全脳虚血に対する ISOF の脳保護作用を示唆する.
  • 中村 千葉, 生駒 幸弘, 木村 貴代, 仲田 行恵, 小林 佐和子, 山口 基徳, 中川 英彦
    1989 年 94 巻 1 号 p. 81-89
    発行日: 1989年
    公開日: 2007/02/20
    ジャーナル フリー
    強力な中枢 dopamine 及び serotonin 作用を有する麦角アルカロイド誘導体,lisuride の抑うつ状態改善効果についてマウス reserpine 体温下降,嗅球摘出(OB)ラットの muricide 及びラットの強制水泳の3種の実験的動物モデルを用いて desipramine,mianserin 及び rolipram と比較検討した.lisuride(0.5~5.0mg/kg,i.p.)は desipramine,mianserin 同様 reserpine 体温下降に用量依存的に拮抗した.lisuride は OB ラットの muricide を用量依存的(ED50=0.16mg/kg,i.p.)に抑制した.また 0.25mg/kg の lisuride の反復投与により muricide 抑制の増強効果がわずかに認められた.ラットの強制水泳実験においても lisuride(0.05~0.25mg/kg,i.p.)は desipramine 同様用量依存的に無動時間を短縮し,その無動時間短縮作用は haloperidol で拮抗された.また lisuride の無動時間短縮作用は反復投与により運動量増加を伴って増強された.無動時間に影響を与えない低用量(0.025mg/kg,i.p.)の lisuride は desipramine あるいは rolipram との併用によって強制水泳時の無動時間を著しく短縮した.これらの結果より lisuride は他の抗うつ薬と同様抑うつ状態改善に有効であること,また特に低用量の lisuride は併用により desipramine などの抗うつ効果を増強させることが示唆された.
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