ファンダメンタルズ レターズ
Online ISSN : 2760-1684
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巻頭言
交流報告
  • 絵画と科学の対話から
    山脇 竹生, 加藤 巧
    原稿種別: 交流報告
    2025 年2025 巻 p. 4-9
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では化粧品研究員と美術家のペアである筆者らが化粧品で使われるパール剤を媒介に行った協働プロジェクトの内容を紹介し、活動を通じて得た気づきや知見を述べる。真珠養殖現場の視察、テストピースの制作と測定、共同実験を重ね、パール剤への理解深化と絵画への応用を目指した。この過程で素材理解の実践の違い、素材の捉え方の違いに触れ、互いの捉え方の違いを内面化した。パール剤という確固たる物質を介して対話することで、捉え方は違うが捉えているものは同じという共通認識を持ち対話を深めることができ、絵画と化粧の共通点への気づきを得たり、パール剤発色向上の知見を得たりすることができた。展覧会ではこれらの協働プロセスを含めて広く知らせることで、美術と科学の2つの領域が同じ土台の上に成り立っていることを提示した。

理論研究
  • 一ノ瀬 俊明
    原稿種別: 理論研究
    2025 年2025 巻 p. 10-17
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル オープンアクセス

    長野県辰野町において6年間にわたる地域おこし(地域振興)活動への参与観察と各種ステークホルダーとの対話を通じ、旧住民とメディアで頻繁に活動を発信する行動的な移住者との、思考や態度における違いを検証した。旧住民が「利便性の向上」を望むのに対し、大都市からの移住者は「不便の中の幸せ」や自ら築いたアイデンティティを求める傾向があり、夢の実現に対するベクトルが異なる。移住者のみならず「関係人口」の増加は、将来的に経済効果やさらなる移住や起業をもたらす可能性もあるが、このような二極化や分断は地方自治を混乱させる可能性もある。以上をベースに、辰野で行われているユニークなAIRプログラムに焦点を当て、地域コミュニティと招待されるアーティストの間でのWin-Winな関係を構築する方法を提示した。

レビュー
思索
  • 中尾拓哉の展示実践と「虚構的普遍妥当性」試論
    坪井 あや
    原稿種別: 思索
    2025 年2025 巻 p. 27-39
    発行日: 2025/10/31
    公開日: 2026/07/31
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は、美術評論家・中尾拓哉がキュレーションした3展(2022-2024)を現象学的に分析し、展覧会空間が美的体験をいかに構造的に支援し得るかを明らかにする。「Liminal」「ANOTHER DIAGRAM」「Maze」での体験記述から、中尾は物理的環境の精緻な設計により鑑賞者の美的判断を間接的に支えることを示す。さらに、展覧会という虚構空間で共有され得る判断の妥当性を示す概念「虚構的普遍妥当性」と、市場・制度に並ぶ第三の軸として〈陶冶的価値〉を提案する。中尾の実践は、美的体験を偶然や個の才能に委ねず、環境設計によりアクセス可能性を高めることを示唆する。

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