日本顎関節学会雑誌
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10 巻, 1 号
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  • 森田 伸, 依田 哲也, 今井 英樹, 本問 慶, 永石 宏幸, 阿部 正人, 坂本 一郎, 塚原 宏泰, 三井 妹美, 小野 富昭, 榎本 ...
    1998 年 10 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    クローズド・ロックの臨床診断に関して, 「開口制限の自覚」とその「直前クリックの自覚」による一次診断について検討した。一次診断でクローズド・ロックと診断された症例をAタイプ, 一次診断でクローズド・ロックと診断されなかった症例をBタイプとした。さらにBタイプを3つに細分化して, 「開口制限の自覚」はあるが「直前のクリックの自覚」がない症例をB1タイプ, 「開口制限の自覚」はないが「直前のクリックの自覚」がある症例をB2タイプ, 「開口制限の自覚」がなく「直前のクリックの自覚」もない症例をB3タイプとした。
    251名の顎関節症クローズド・ロック患者について一次診断の正診率について検討した。さらに, これらの各タイプに関して, 開口量, 関節雑音, X線学的骨形態変化の初診時臨床所見と臨床成績について検討した。
    結果は以下の通りである。
    (1) 顎関節症クローズド・ロックの一次診断の正診率は80.1%であった。
    (2) 開口量が40mm以上の症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に少なかった (p<0.01), 特にB2タイプ, B3タイプよりも少なかった。
    (3) 関節雑音を認めた症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に少なかった (p<0.01), 特にB2タイプ, B3タイプよりも少なかった。
    (4) X線学的骨形態変化を伴う症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に少なかった (p<0.01)。
    (5) 関節円板の復位 (アンロック) がされた症例の割合は, AタイプではBタイプに比べて有意に多かった (p<0.01)。
    以上のことから, 「開口制限の自覚」とその「直前のクリックの自覚」という一次診断は, まずはじめに関節円板の復位を目的とした治療を行うべきクローズド・ロックに対して有用な臨床的診断であると考えられた。
  • 五十嵐 千浪, 小林 馨, 湯浅 雅夫, 今中 正浩, 駒橋 武, 山本 昭
    1998 年 10 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    私たちは, 復位を伴わない円板前方転位で関節音の認められた症例と認められなかった症例のMR画像所見について比較検討した。
    対象は, MR画像検査で復位を伴わない円板前方転位例と診断され, 下顎頭や下顎窩に著しい骨変化の見られない277関節である。MR画像所見として, 関節円板形態と円板転位程度, 下顎窩に対する下顎頭の位置を取り上げ, また下顎頭の運動範囲としては上下中切歯間の最大開口距離を用いた。
    復位を伴わない円板前方転位例の101関節 (36%) に関節音が認められた。クリック音の認められた例では, 円板変形のないbiconcaveを呈するものが55%と最も多く, 円板の転位程度では中等度の転位を示したものが66%であった。下顎頭の位置については関節音との関連性は見出せなかった。また, クリック音の認められた例の方が, 音のないものに比べて有意に最大開口距離は大きかった。
    以上のことから, 関節音の認められた復位を伴わない円板前方転位例のMR画像所見の特徴としては, 円板形態は変形のないbiconcaveであり, その前方への転位程度は中等度であり, 音のない例よりも開口距離は大きかった。
  • 五百井 秀樹, 伊藤 啓介, 名方 俊介, 中島 昭彦
    1998 年 10 巻 1 号 p. 23-35
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    下顎開閉口運動に伴う下顎頭の動きを顎関節部皮膚表面に設定した非接触変位センサ, すなわちアモルファス磁石変位センサ (アモルファスセンサ) を用いて計測するシステムを開発した。
    被験者は顎機能に異常の認められない健常者1名および雑音を自覚し触診により顎関節雑音を有する2名である。測定にあたり, コンデンサマイクロホンによる顎関節雑音, Mandibular Kinesiograph (MKG), および筋電図を同時記録した。得られた顎関節部の記録波形を顎関節変位波形とし, 雑音発生時の振動区間の2回微分波形を顎関節振動として評価した。
    健常者を用いた3回の顎関節変位の測定により, 定性および定量的に再現性が認められた。左右顎関節変位波形のリサージュ図形により, 健常者の左右下顎頭は滑らかに同期して移動していた。また, そのパワースペクトラムは, 80Hz以下の周波数帯に分布し, エネルギー値には顕著なピークを認めなかった。一方, 顎関節雑音を有する被験者において左右の顎関節の変位は同期しておらず, さらに雑音発生に一致して50Hz以下の周波数帯にエネルギー値のピークを有する振動波形を観察した。
    以上より, 本システムを用いた評価法は, MKGや節電図などと併用して有効な顎関節機能検査システムの一つになると考えられた。
  • 佐々木 英一郎, 木野 孔司, 小宮山 高之, 大村 欣章, 和気 裕之, 渋谷 寿久, 小林 淳二, 小林 明子, 佐藤 文明, 渋谷 智 ...
    1998 年 10 巻 1 号 p. 36-50
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    1988年1月から1989年12月に当科を受診した15歳以下の小児顎関節症患者112例のうち, 86例を対象とし, 初診から5年以上経過した症例についてアンケート調査およびリコールを行った。アンケート回収数は49例 (回収率57.0%) で, うちリコール可能数は14例 (28.5%) であった。調査項目は, 疼痛の有無と程度, 顎運動時雑音の有無と性質および通院後の変化, 開口度, アンケート時点での満足度である。疼痛では, 初診時, 疼痛を有したのは38例, アンケート時には23例であったが, 疼痛程度は18例が“弱”を選択し大多数が軽度で, リコール時の診察においても, アンケート回答に比べると疼痛はさらに軽度であったり, みられないという結果であった。雑音は, 初診時45例, アンケート時41例であったが, 初診時との比較では雑音を強く訴えたものはわずか3例のみであった。開口量では初診時, 40mm未満16例, 40mm以上33例で, アンケート時には, 48例が三横指以上, またリコール症例は全て40mm以上であった。リコール時の単純エックス線像で, 下顎頭の骨変形がみられたものは, 2例であったことを考え合わせると多くの患者は比較的良好に症状の改善を果たしていると推測された。顎機能に対する満足度でも不満を訴えるものは少なく, 項目的には雑音に対する不満が大半であった。
  • 蛭間 崇善, 菅沼 岳史, 船登 雅彦, 蛭間 有紀子, 新谷 明幸, 古屋 良一, 川和 忠治, 佐野 司, 岡野 友宏
    1998 年 10 巻 1 号 p. 51-65
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎機能異常の診査や治療において, 正確に穎頭位を測定することは重要である。この目的のためにX線撮影法が用いられており, 近年, 当歯科病院に多機能断層装置Scanora®が導入された。しかしながら, 顎関節におけるScanora®の描出能力については十分検討されていない。そこで本研究では, Scanora®により穎頭位を評価することを目的として矢状断撮影を行い, 得られた画像が目的断層部位を描出しているかを検討した。被写体には乾燥頭蓋骨2個, 左右4顎関節を使用し, 頭蓋骨を本装置の頭部固定装置に設置後, light beamを位置づけた。本装置による矢状断撮影は, プログラムナンバーの入力により行われ, そのプログラムナンバーは数種類の修正角度と関節距離および断層厚/間隔により決定される。各関節における数種類の修正角度は, 側方ゾノグラフィーおよびオトガイ下頭頂方向撮影法により決定された。画像は, 日を変えて頭蓋骨を固定装置に3回設置した場合と, light beamの位置づけだけを再施行した場合の矢状断撮影により得られた。得られた各画像は描出程度により, 著者 (T. H.) が定性的に評価を行った。結果は以下のとおりである。
    1) 頭蓋骨を再設置することにより, 得られた矢状断像は各層で異なることがあったが, 4層のいずれかに目的断層部位は描出されていた。
    2) light beamの位置づけだけを再施行した場合は, 各層の矢状断像は近似していた。
    3) 修正角度による差違はほとんど認められなかった。
    以上のことより, Scanora®は穎頭位の評価において臨床的に有用であるが, 各層の矢状断像の相違を小さくするには頭部固定装置の改良が必要であることが示された。
  • 石井 広志, 内田 貴之, 岡本 康裕, 宇田川 秀幸, 齊藤 孝親
    1998 年 10 巻 1 号 p. 66-70
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    開口障害を主訴に来院し, X線診査からKlippel-Feil症候群と思われる1例を経験した。
    症例は18歳男性で, 口唇裂の既往があり, 1987年から5年間歯科矯正を行い, 1992年の3月に矯正医の紹介により当院を受診し, 左右上顎第二臼歯ならびに左右下顎埋伏智歯の抜歯を行い, その後, 右顎関節部に開きづらい感じを認めるが, 開口訓練指導を受け, 症状は改善する。1996年6月突然開口障害を認め, 歯科開業医を受診, 鎮痛剤を処方され, 数日後に症状は改善する。6月30日頃再び, ガム咀嚼後, 右顎関節部に痛みを認め, その後も起床時に開口障害を認めるが, すぐに症状は消失した。7月13日来院。開口量は33.0mmで最大開口時に右側顎関節に疹痛を認めた。X-ray所見では, 側方セファロにおいて, 第2頚椎と第3頚椎の癒合を認めた。
    Klippel-Fell症候群は, 頚椎の2個またはそれ以上の頚椎の先天的癒合の存在する疾患で, 軽微な外傷でも容易に脊髄損傷を起こし易い傾向にあり, 顎関節症の治療上も頚椎に負担をかけない対応が必要であった。本症候群の約7%には唇顎口蓋裂がみられることから, 唇顎口蓋裂を有する顎関節症患者においては本症候群の存在に留意することが必要と考えられた。
  • 性別, 年齢, 関節可動性について
    加藤 嘉之, 五十嵐 一吉, 檜山 成寿, 黒田 敬之
    1998 年 10 巻 1 号 p. 71-80
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節症の発症には様々な因子が関与しているとの認識が近年広まってきている。一方, 全身関節の可動性の高い患者では, 顎関節症, 特に顎関節内症がより多く認められると報告されている。本研究では, 顎関節症に性別, 年齢, 関節可動性のそれぞれの因子が及ぼす影響を統計学的に検討した。
    被験者として, 無作為に抽出した矯正治療中の患者, 女性78名, 男性32名, 計110名 (平均年齢22.1歳) を用いた。患者の性別, 年齢, 関節可動性の診査を行った後, 関節雑音, 疼痛, および開口障害の顎関節症状について現症あるいは既往の有無について診査を行った。三つの症状の内, 現在あるいはこれまでに一つでも認められたものを有症状者, 認められなかったものを無症状者とした。統計解析にはロジスティック回帰分析を用い, 性別, 年齢, 関節可動性のそれぞれの因子が及ぼす影響を検定した。
    女性78名中50名, 男性32名中17名が有症状者であった。全ての有症状者に関節雑音を認めた。ロジスティック回帰分析の結果, 各因子はそれぞれ他の因子の影響を取り除いたときに, 年齢が0.001%のレベルで, スコアが5%のレベルでそれぞれ顎関節症の有症率を高める方向で有意に影響を及ぼしていたが, 性別は有意な因子ではなかった。年齢あるいは関節可動性が増加するごとに, 関節雑音を伴う顎関節症の有症状者の割合が増加することが示唆された。
  • 玉利 秀樹, 北條 陽太郎, 松本 吉生, 東 和生, 高島 史男, 丸山 剛郎
    1998 年 10 巻 1 号 p. 81-92
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究では, 3次元6自由度の測定が可能な顎運動測定装置ナソヘキサグラフシステムを用いて個性正常咬合を有する20名の被験者の下顎限界運動を下顎切歯点, 下顎頭点にて測定を行った。その結果,
    1. 下顎切歯点において代表的運動パターンを示す者は20名中11名に見られ, その他のパターンを示す者が9名であった。
    2. 下顎頭点において代表的運動パターンを示す者は20名中14名に見られ, その他のパターンを示す者が6名であった。
    3. 下顎切歯点, 下顎頭点の運動パターンの関係を見ると, 下顎切歯点, 下顎頭点共に代表的運動パターンを示した者は7名であった。
    以上より下顎切歯点, 下顎頭点の運動パターンは1対1の関係ではないことが明らかとなり, 今後顎口腔機能異常の病因を明らかにするためには, 下顎切歯点に加え下顎頭点の運動パターンについても詳細に検討する必要があることが示唆された。
  • 日本人男性顎関節の形態変化と咬合状態との関連
    中村 俊弘, 石川 晴夫, 佐藤 亨
    1998 年 10 巻 1 号 p. 93-107
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎口腔系機能障害と咬合異常の関連性をより明確にする目的で, 顎関節を解剖学的に観察し, 顎関節の形態変化に影響を与えると考えられる年齢, 咬合状態と下顎頭, 関節円板の形態変化について検討した。
    試料は, 男性献体103例の左右側206顎関節の下顎頭と関節円板を用いた。形態変化の評価は, 下顎頭, 関節円板の構造変化の程度をGrade 0, 1, 2の3段階で示した。咬合状態は, 上下顎の咬合関係を4型に 分類した。A型は上下顎の前歯, 左右側臼歯ともに咬合しているもの, B型は上下顎の一部, つまり前歯のみ, または臼歯のみで咬合しているもの, C型は上下顎の咬合接触のない, つまりすれちがい咬合, あるいは残根のみのもの, D型は無歯顎のものとした。その結果, 下顎頭の形態変化と年齢の関係は, C型を除き, A型, B型, D型では有意な相関関係は認められなかった。関節円板の形態変化と年齢の関係は, すべての咬合型で有意な相関関係は認められなかった。下顎頭の形態変化と咬合型の関係では, A型とD型, B型とD型, C型とD型において有意な差が認められた。関節円板の形態変化と咬合型の関係では, A型とC型, A型とD型, B型とD型において有意な差が認められた。以上より, 下顎頭の形態変化は加齢による影響よりも歯および歯根の存在に影響を受けること, また, 関節円板の形態変化は, 加齢による影響は少なく, 咬合状態の変化に伴い変化することが示唆された。
  • 佐藤 真弥子
    1998 年 10 巻 1 号 p. 108-117
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    中高齢者の顎関節症では関節に変形を伴う症例が多く, その傾向は女性においてより顕著である。また, 骨粗鬆症は全身性の骨代謝疾患であらゆる部位の骨に影響がおよぶとされており, 下顎骨もその例外ではない。そこでこれらの2つの疾患の関連性を検討するため, 当科を受診した閉経後の顎関節症患者22名を対象として, DEXAを用いた全身骨の骨塩量の測定と腰椎側方X線写真による骨萎縮度を評価した。その結果, 半数以上の患者が骨粗鬆症に罹患していることが判明した。そこで, さらに下顎頭の形態変化の程度を観察し, 全身骨の骨塩量, 欠損歯数および口腔習癖との関連性を検討し, 以下の結果を得た。
    (1) 22例中20例に下顎頭の骨変化がみられ, 断裂9例, 骨棘3例, および平坦化, 皮質骨の肥厚, 骨硬化, 形態異常が2例ずつであった。
    (2) 腰椎骨塩量は, 下顎頭の変形が高度な群で低値を示す傾向がみられた。
    (3) 1人当たりの平均欠損歯数は, 下顎頭の変形が高度のものの方が少ない傾向にあった。
    (4) 21名中7名にはぎしり, 14名にくいしばりの習癖があり, 下顎頭の変形が高度な群ほどくいしばりの習癖を有する率が高くなる傾向にあった。
  • 千葉 雅俊, 高橋 哲, 熊谷 正浩, 幸地 省子, 越後 成志
    1998 年 10 巻 1 号 p. 118-127
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    クローズドロック患者の臨床症状が改善しても, 関節円板は依然として転位していることが治療後の画像診断から明らかになった。このような顎関節では, 円板後部組織 (PA) が偽円板化していると病理組織学的研究を背景に想定されてきた。しかし, この偽円板に関する臨床的データはほとんどない。
    本研究の目的は, 関節円板が転位したまま予後が良好な顎関節において偽円板化が起きているか否かについて検討することである。対象は保存治療が奏効した23症例25関節である。治療はロックが解除されるまで段階的に, 1) マニピュレーション療法, 2) パンピングマニピュレーション療法, 関節腔洗浄療法または前歯接触型スプリント併用マニピュレーション療法, 3) スタビリゼーション型スプリント療法を行った。閉口位で撮像した矢状断のスピンエコー法T1強調画像 (1.5 Tesla) でPAの信号強度を評価した。治療前後でPAの信号強度を比較した。
    治療前にPAが高信号を示した19関節中, 治療後, 1関節が偽円板化を示唆する信号強度の低下を示したに過ぎず, 他の18関節は依然として高信号を示した。治療前にPAが低信号を示した6関節中, 治療後, 2関節で低信号を示し, 4関節で高信号を示した。PAの信号強度の変化と関節の疼痛や機能障害の改善との間に有意な関連はなかった。
    以上の結果から臨床症状が改善しても必ずしもPAの偽円板化を伴うとは限らないことが示唆された。
  • 青村 知幸, 船水 哲也, 八幡 智恵子, 工藤 啓吾
    1998 年 10 巻 1 号 p. 128-134
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 保存療法が奏効しないクローズドロック症例に対して顎関節洗浄マニピュレーション法を一回施行し, その臨床的効果について検討した。対象は13歳から63歳 (平均29.5歳) の男性3例, 女性23例で, 平均ロック期間が14.2か月であり, 保存的治療を平均2.6か月間施行したが奏効しなかった。方法は上関節腔に22ゲージと18ゲージの注射針を刺入し, 手指にて加圧し200-400mlの生理食塩水で洗浄した。洗浄後, ピアルロン酸ナトリウム (アルツ®) とベタメタゾン (リンデロン®) を注入し, 抜針後マニピュレーションを行なった。術後1週, 1か月, 3か月の臨床症状について検討した。また全例に対し施術前にMRI検査を行い, 特に円板形態に着目した。結果は以下の通りであった。 (1) 開口量, 疼痛とも経時的に改善し, 術後3か月の26症例の奏効率は69.2%であった。(2) 開口量は, 関節円板変形例が, 正常例に比べて有意に増大した。
  • 福田 敏博, 大月 佳代子, 中野 佳央, 大西 正俊
    1998 年 10 巻 1 号 p. 135-140
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    下顎頭縦骨折の治療に鏡視下手術を適用した報告は, 未だみられない。今回我々は, 下顎頭縦骨折症例を経験し顎間牽引, 顎関節鏡視下手術により, 良好な結果が得られたのでその概要を報告する。症例は, 68歳男性で, 整形外科より当科を紹介され受診した。顎関節二重造影CT像で両側下顎頭縦骨折とともに円板内側転位と腔狭窄が認められた。処置は, 顎関節鏡視下円板縫合・固定術に準じた方法で円板周囲組織を関節隙に縫縮, 梱包して関節隙内軟組織の厚みを増し, それとともに偏位した骨折片を引きよせる手術を施行した。術後1カ月目には, 開口域38mm, 下顎の咬合の安定が得られ, 牽引を終了した。1年4カ月現在, 咬合不全, 開口障害なく, また, 画像所見より下顎頭骨折片の癒合とともにリモデリングが観察され経過良好である。
  • 片側性咬筋痛症例のsilent periodについて
    小笠原 利行, 北川 善政, 岩佐 昌典, 山田 哲史, 山本 祥子, 石井 保雄
    1998 年 10 巻 1 号 p. 141-150
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究は塩酸エペリゾンとマイオモニターの服用施行の短期効果について客観的治療効果判定法を確立する目的で, 片側性咬筋痛を主体とする顎関節症患者11例に対し, 筋電図学的に患側, 健側, 咬筋, 側頭筋の服用施行前および後のsilent period (SP) を比較検討した。
    1. SPの潜時は服用施行前後, 患側, 健側間に差はみられなかった。
    2. 健側のSPの持続時間は服用施行前後で変化はみられなかった。
    3. 患側のSPの持続時間は, 咬筋および無症状である側頭筋ともに服用施行前, 健側より有意に短縮しており, 服用施行後は延長し, 患側, 健側間の差は消失する傾向を示した。以上より, SPの持続時間はγ系の緊張状態を反映すると考えられ, 片側性咬筋痛症例では無症状の側頭筋も不顕性の筋緊張状態の存在が示唆された。また, 健側は服用施行前後で変化を示さなかったことより, 本療法は筋緊張が存在する患側のみ作用し, γ系の緊張亢進を緩和したものと推測された。
  • 宮村 壽一, 依田 泰, 坂本 一郎, 塚原 宏泰, 田中 久雄, 依田 哲也, 榎本 昭二
    1998 年 10 巻 1 号 p. 151-162
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 高齢者における顎関節の状態と口腔内状態 (咬合支持を含めた歯牙欠損状態) との関係を検討することである。今回われわれは, 東京都文京区に在住する80歳以上の高齢者で残存歯20本以上を有する, いわゆる『8020運動』目標達成者61名に対し, 顎関節の状態ならびに口腔内状態の実態調査を行う機会を得た。そこで, 顎関節の状態と性差および口腔内状態との関係について統計学的に検討を行い, 以下の結果を得た。
    (1) 顎関節雑音の認められた者は男性8名, 女性14名の合計22名 (36.1%) であった。しかし, 顎関節雑音の自覚が認められた者はいなかった。
    (2) 下顎頭の骨形態変化の認められた者は男性5名, 女性10名の合計15名 (24.6%) であった。
    (3) 開口障害の自覚が認められた者は男性1名, 疼痛の自覚が認められた者も男性1名であった。
    (4) 顎関節雑音について, 多変量解析の前進法による判別分析を行ったところ, 女性であること, 大臼歯咬合支持歯数が少ないこと, 両側性第2大臼歯欠損が多いこと, の順に高い関連を認めた。
    (5) 下顎頭の骨形態変化について, 多変量解析の前進法による判別分析を行ったところ, 女性であることに高い関連を認めた。
  • 水谷 英樹, 千賀 勝広, 朝比奈 たまき, 瀬古 和秀, 兼子 隆二, 上田 実
    1998 年 10 巻 1 号 p. 163-169
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    高齢者顎関節症患者について, その臨床像, 治療および効果を明確にすることを目的に, 65歳以上 (平均年齢69.8歳) の顎関節症患者28症例を対象に, その臨床所見, X線所見, 治療内容を調査した。なお, 開口量, 雑音, 残存歯数, X線所見について同時期に顎関節症状を自覚してない同年齢 (平均年齢70.3歳) の他疾患患者28症例を対照とし, 比較した。
    主訴は, 疼痛が71%, 雑音と開口障害がそれぞれ14.5%であった。長期に渡り雑音を放置し, 疼痛を契機に受診する傾向が見られた。主訴による疼痛部位と他覚所見に差がみられた。臨床的にはクローズドロック症例が多くを占めた。多数歯の残存がみられた。X線所見では下顎頭の扁平化が多くみられたが, 病態との関係は解明できなかった。治療は顎運動の積極的矯正や咬合関係の改善により, 86%に症状の改善をみた。自覚症状のない対照群でも雑音, 残存歯数, X線所見においては有症者群と大差がなかった。
  • Sigvard F. O. Kopp
    1998 年 10 巻 1 号 p. 171-172
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 林 絋三郎
    1998 年 10 巻 1 号 p. 173
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 10 巻 1 号 p. 174-188
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 10 巻 1 号 p. 189-213
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 10 巻 1 号 p. 214-239
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 10 巻 1 号 p. 240-267
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 10 巻 1 号 p. 268-326
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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