脳神経外科, 整形外科, 耳鼻咽喉科領域において使用されている高周波バイポーラ電気メスであるアースロケア・マルチエレクトロードシステム2000
TM (ArthroCare Multi Electrode System2000) を顎関節鏡視下手術へ臨床応用した。その結果, 生体侵襲が少なく, 効率的に鏡視下手術を行いえたのでその概要を報告する。
顎関節内障クローズドロック症例10例12関節 (男性1例, 女性9例, 平均年齢47.3歳) に対して, 本システムを用いて鏡視下手術を施行した群 (A群) と, 同じく顎関節内障クローズドロック症例に対してホルミウム・ヤグレーザーおよびパワーシェーバーシステムを併用した群 (HP群) (32例37関節, 男性2例・女性30例, 平均年齢34.9歳) の比較検討を行った。平均開口域は, A群で術前26mmから41mm, HP群で30mmから42mm, 顎運動時痛のVASスコアは, A群で71から0.5, HP群で68から0.3, さらに, アンケートによる定量的評価でも, 両者間に差は認められなかった。しかし, A群では, 剥離や切離の際の出血による術野の妨げはなく, 手術時間が短縮でき, 効率的に施行可能であった。本システムを応用したことにより手術が効率的に行え, 今後も顎関節鏡視下手術への適応が可能であると考えられた。
抄録全体を表示