今回, 著者らは最近経験した顎関節症患者139例について, 治療後の臨床症状の推移について検討を加えた。
方法は, 顎関節症患者を症型分類案 (顎関節研究会1987年) に則して分類し, 各症例ごとに治療を行い, 治療前, 治療後における自覚的評価および他覚的評価により, 症状の推移について比較検討した。
結果, 各症型ごとの治療奏効率は, I型では64.7%, II型では84.2%, III型クリック群では77.3%, III型クローズドロック群では85.4%, III型間欠的ロック群では75.0%, そしてIV型では57.1%であった。また奏効症例における臨床症状の改善度で有意差がみられたものは, 疼痛度では, I型, II型, III型クローズドロック群で, 疼痛点数では, II型, III型クリック群およびクローズドロック群で, 顎機能障害度では, I型, II型, III型クリック群およびクローズドロック群で, また日常生活障害度では, III型クリック群とクローズドロック群であった。一方, 他覚的評価での開口度においては, III型クローズドロック群のみに有意差がみられた。
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