著者らは顎関節症スクリーニングのための質問票を開発し, 抽出された4質問が感度0.746, 特異度0.811で最も高値であることを報告した。
目的: この4質問票を用い, 東京都内就労者に対し2005年と2006年に顎関節症に関するスクリーニングを実施し, 就労者の顎関節症有病率とその寄与因子を検討することである。
方法および対象: 東京都歯科医師会による2005年 (412名, 有効解析対象者396名 (96.1%)) と, 2006年 (795名, 有効解析対象者679名 (85.4%)) の2次資料を用いて解析した。
結果: 東京都内就労者では男性の顎関節症は20歳代19.5%, 30歳代35.1%, 40歳代27.3%, 50歳代14.3%, 60歳代3.9%と30, 40歳代に多く, 女性の顎関節症は20歳代32.2%, 30歳代38.3%, 40歳代23.5%, 50歳代6.1%と20, 30歳代に多くみられた。顎関節症者と非顎関節症者でのロジスティック回帰分析の結果, 顎関節症男性では疲労持続感がオッズ比1.55で選択され, 女性では抑うつ感 (オッズ比1.37) と疲労持続感 (オッズ比1.30) が選択された。
結論: この結果は2次資料の結果であり, 直接的な関係を示唆するとはいえないが, 今後, 勤務内容, 就労時間および睡眠と顎関節症発症との関連性を調査する必要性が示された。
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