日本顎関節学会雑誌
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21 巻, 3 号
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  • 中江 佳代, 矢谷 博文, 石垣 尚一, 内田 昌範, 角谷 誠和, 稲野 眞治
    2009 年 21 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    目的:顎関節症患者において,歯ぎしりの自覚が睡眠時ブラキシズムの臨床的判定に有効であるかどうかの妥当性を既知グループ技法により検証した。
    方法:被験者として当科を受診した顎関節症患者148名を選択した。初診時に患者質問票およびSymptom Checklist-90-Revised(SCL-90-R)日本語版に回答させ,自覚的な頭頸部の疼痛の程度はVisual Analogue Scaleを用いて記録した。筋触診を含む臨床検査は,あらかじめ信頼性を確認した2名の検者が行った。問診による過去6か月間のブラキシズムの自覚の有無により,歯ぎしり自覚群74名と非自覚群74名の2群に分類した。
    結果:年齢,性別および顎関節症の症型分布については2群間に有意差を認めなかった。自覚的な疼痛の程度(自発痛,運動時痛,頭痛),筋触診スコアおよび口腔内所見(咬耗および舌・頬粘膜の圧痕の頻度)には2群間に有意差を認めなかった。SCL-90-Rの5つの下位尺度に性別,年齢を加えてロジスティック回帰分析を行った結果,女性(オッズ比:3.15,P=.028)と不安(オッズ比:1.06,P=.003)が有意な変数であることが示された。
    結論:女性の,また不安傾向の強い顎関節症患者と睡眠時ブラキシズムの自覚には関連があることが示され,歯ぎしりの自覚の有無をもって睡眠時ブラキシズムの臨床的診断基準とすることの妥当性は低いと考えられた。
  • 五十嵐 千浪, 小林 馨, 坂本 春生, 濱田 良樹, 小早川 元博, 宮本 諭, 小佐野 貴識, 今村 俊彦, 柏原 広美
    2009 年 21 巻 3 号 p. 216-221
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    目的:若年者の顎関節症患者のうち経過観察が可能であった症例を対象として,骨変化や円板形態などの形態学的変化の有無を明らかにする。
    対象と方法:10歳代の顎関節症患者で保存療法後の経過観察のため,1年以上経過してからMR画像検査を行った37症例(74関節)を対象とした。MR画像評価は,関節円板動態と下顎頭骨形態変化とした。
    結果:治療前では円板転位なし8関節,側方転位8関節,復位を伴う関節円板前方転位26関節,復位を伴わない関節円板前方転位が32関節であった。治療前に下顎頭骨変化は15関節(20.7%)にみられ,そのうち14関節は復位を伴わない関節円板前方転位例で,erosion 11関節,osteophyte1関節,irregular surface2関節,concavity1関節であった。経過観察時には初診時に認められた骨変化15関節のうち2関節に骨変化の消失を認めたが,新たに15関節に骨変化が生じた。その結果,円板転位なし3関節,側方転位7関節,復位を伴う円板前方転位19関節,復位を伴わない円板前方転位45関節となり,骨変化はerosion12関節,osteophyte4関節,flattening6関節,deformity6関節で28関節(37.8%)となった。
    結論:若年の時期に生じる画像変化は比較的短期間に生じる可能性が高く,長期的な経過観察が必要である。
  • 兒玉 直紀, 築山 能大, 有馬 太郎, 市川 哲雄, 窪木 拓男, 佐久間 重光, 新谷 明喜, 高津 匡樹, 津賀 一弘, 坪井 明人, ...
    2009 年 21 巻 3 号 p. 222-227
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/03/29
    ジャーナル フリー
    目的:顎関節症患者に対する受診ごとの診療時間に関する報告はない。今回,大学病院顎関節症外来ならびに一般開業歯科医院を対象に顎関節症のスプリント治療に要する時間について調査を行い,その特性を明らかにすることを目的とした。
    方法:大学病院顎関節症外来14施設および一般開業歯科医院33施設にて2か月間の調査を行った。スプリント治療を選択された顎関節症患者を対象に,スプリントの種類,各診療内容および要した時間を調査項目として施設間で比較検討した。
    結果:1回当たりの診療時間に関して,大学病院顎関節症外来受診患者(以下,大学群と略す)のほうが一般開業歯科医院受診患者(以下,開業医群と略す)に比べて有意に長かった。また,初診時の診療時間についても大学群のほうが開業医群に比べて長い時間を要した。しかし,スプリント装着および調整に要する時間について有意差は認められなかった。
    結論:顎関節症患者の1回当たりの診療に要する時間は両施設ともに比較的長時間であることがわかった。スプリント装着に30分以上要する割合は大学群においては44%であり,開業医群においては22%であった。スプリント調整に20分以上要する割合は,大学群においては48%であり,開業医群においては33%であった。
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