日本顎関節学会の「顎関節症に対する初期治療ガイドライン」作成委員会は歯科医療者からの臨床における疑問(Clinical Question(CQ))収集を目指すことを目的とする予備調査として, 2007年7月14, 15日に開催された, 第20回日本顎関節学会総会・学術大会において, 大会参加者を対象に質問紙に回答する形での無記名アンケートを実施した。質問内容は所属, 認定医資格の有無, 顎関節症治療経験年数, 回答方法例を例示した形でのCQ, ガイドラインに関連する自由記載意見である。
集計結果では, 回答者は61名にとどまり, 今後の調査実施での広報活動の必要性が考えられた。回答者のうち学会員は54名(89%)で, 日本顎関節学会認定医は24名(39%)であった。顎関節症治療経験年数は, 11年以上が31名(51%)であった。
CQにおいて記載された症状は, 疼痛, 雑音, 開口障害が最も多く, 治療ではスプリント療法, 開口練習, 薬物療法の順であった。症状と治療との組み合わせでは疼痛に対するスプリント療法への疑問が最も多かった。これらの回答には疑問の定式化がよく理解されていない例がみられ, 今後のCQ収集における考慮が必要と考えられた。
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