WinJaw
®システムは,超音波を使用した軽量で非接触式の下顎運動解析装置である.機能時の顆頭運動は通常1mm以下の小さな運動量で発現するため,顆頭運動解析装置は,微小な運動を解析する性能が必要とされる.本研究の目的は,WinJaw
®EPA の精度を確認するとともに,3Maker+3Microphone(3MK)と新たに開発された4Maker+4Microphone(4MK)の2種類のセンサーの比較を行うことである.
本研究では,顆頭運動を再現するシミュレーターを製作し,測定精度と分解能を求めるとともに,2種類のセンサーの比較を行った.また,分解能を改善する信号処理についても検討した.結果は次のとおりである.
平均分解能は3MKが51.9~53.9μm,4MKが44.9~45.6μmであった.平均誤差は3MKが-0.45~5.31%,4MKが0.46~4.27%であった.空間精度は3MKが98.9μm,4MKが90.9μmであった.3MK-4MKセンサー間の比較では,平均分解能と誤差で有意差は認めないが,測定方向間の差は4MKが少なかった.計測後6ポイントの移動平均を適用することで最終的な空間精度は3MK=68.6μm,4MK=71.0μmに改善した.これらの値は顆頭運動の評価には十分であり,Win jaw
® EPAは診療室での顆頭位の客観的な評価に適していると判断された.
抄録全体を表示