目的:徳島大学病院で使用している顎機能レポートシステム記録から受診患者の特徴と経過を把握し,さらに臨床サンプルにおけるバイアスの影響について検討を行うことを目的とした。
対象および方法:対象は徳島大学病院を顎関節症または関連疾患で受診し,顎機能レポートシステムに記録があり,なおかつ選択基準を満たした解析対象群1,083例(男女比1:2.4)と歯科診療部門をほぼ同期間に受診した一般初診患者群24,588例(男女比1:1.4)である。解析項目は年齢構成,男女比,受診期間などである。
結果および考察:解析対象群の年齢構成は15~24歳と55~59歳にピークのある二峰性を示した。一般初診患者群との比較では,解析対象群の15~34歳が多い傾向を示す一方,60歳以上では少ない傾向を示し,男女比も有意に異なっていた(
χ2検定:p<0.001)。年齢分布については,一般住民の年齢構成(総務省「平成17年国勢調査」)に対し一般初診患者群,解析対象群とも青壮年層で少ない傾向を示し,大学病院受診患者というサンプリングバイアスが見かけ上の二峰性を生じさせていた可能性が考えられた。経過としては90日以内で約80%,180日以内で約90%が診療終了となる一方,通院1年以上の長期症例が約5%存在した。
結論:大学病院における顎関節症患者の特徴および経過について明らかにするとともに,サンプリングバイアスの影響について検討を行った。
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