日本顎関節学会雑誌
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23 巻, 2 号
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  • 儀武 啓幸, 林 央子, 柴田 恭典, 天笠 光雄
    2011 年 23 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/01
    ジャーナル フリー
    顎関節症や顎関節強直症に起因する開口障害を伴う顎関節の機能障害についてはこれまで多くの報告がなされてきたが,下顎の運動障害の原因が顎関節の関節隆起過形成であったとする報告は非常にまれである。
    今回われわれは関節隆起の過形成が原因と考えられる顎関節の機能障害の1例について報告する。
    患者は22歳男性。開口障害と開口時の顎偏位を主訴に東京医科歯科大学歯学部附属病院を受診した。臨床所見および画像所見から右側顎関節の関節隆起過形成と診断し,下顎頭の可動性の回復を目的に全身麻酔下に関節隆起の形成術を主眼とした顎関節授動術を行った。
    手術では下顎頭の前方を覆うように前下方に大きく増大していた関節隆起を削除して正常な形態に即して形成術を行ったところ,下顎頭の前方への十分な可動性を獲得することができた。
    術前の画像所見および術中所見,切除物の病理組織学的所見から関節隆起の過形成が下顎頭の前方滑走運動を阻害していたと考えられる。
  • 竹内 久裕, 石川 輝明, 松本 文博, 田中 栄二, 中野 雅徳
    2011 年 23 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/08/01
    ジャーナル フリー
    目的:徳島大学病院で使用している顎機能レポートシステム記録から受診患者の特徴と経過を把握し,さらに臨床サンプルにおけるバイアスの影響について検討を行うことを目的とした。
    対象および方法:対象は徳島大学病院を顎関節症または関連疾患で受診し,顎機能レポートシステムに記録があり,なおかつ選択基準を満たした解析対象群1,083例(男女比1:2.4)と歯科診療部門をほぼ同期間に受診した一般初診患者群24,588例(男女比1:1.4)である。解析項目は年齢構成,男女比,受診期間などである。
    結果および考察:解析対象群の年齢構成は15~24歳と55~59歳にピークのある二峰性を示した。一般初診患者群との比較では,解析対象群の15~34歳が多い傾向を示す一方,60歳以上では少ない傾向を示し,男女比も有意に異なっていた(χ2検定:p<0.001)。年齢分布については,一般住民の年齢構成(総務省「平成17年国勢調査」)に対し一般初診患者群,解析対象群とも青壮年層で少ない傾向を示し,大学病院受診患者というサンプリングバイアスが見かけ上の二峰性を生じさせていた可能性が考えられた。経過としては90日以内で約80%,180日以内で約90%が診療終了となる一方,通院1年以上の長期症例が約5%存在した。
    結論:大学病院における顎関節症患者の特徴および経過について明らかにするとともに,サンプリングバイアスの影響について検討を行った。
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