日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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26 巻 , 1 号
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臨床
  • 川上 哲司, 藤田 宏人, 桐田 忠昭
    2014 年 26 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/23
    ジャーナル フリー
    関節鏡視下用高周波電気メスであるVulcan Electro Thermal Arthroscopy System®(Smith & Nephew Inc., USA)は,主に整形外科領域で使用されている。本システムは,高周波エネルギーに基づいたものであり,生体に高周波電流を流すことにより分子振動が発生し,それによって生ずる抵抗や摩擦による熱が組織の蒸散・止血・切開を行うものである。灌流液の温度上昇が小さく,プローブの操作性もよく,顎関節鏡視下手術器材に適応していると考えられる。本研究は,顎関節鏡視下手術に適用し,効果的であることを検討することである。対象は,すべて保存療法や上関節腔洗浄療法に無効であった症例である。手術は,Vulcan Electro Thermal Arthroscopy System®およびモノポーラであるマイクロチゼルプローブを用いて施行した。10例11関節,男性1例・女性9例,平均年齢39歳の症例に本システムを使用した。術後開口域は,術前24.5 mmから44.6 mm,疼痛のVisual Analog Scale(VAS)は,術前58.5から2.0に改善した。American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons(AAOMS)-Parameters of Care-95の顎関節内障手術効果判定基準による手術成績では,すべて有効以上であり,プローブの操作性もよく,顎関節鏡視下手術器材に適応していた。本システムは,効果的にかつ効率的に使用可能であり,顎関節鏡視下手術に適用可能であると考えられた。
  • 佐藤 仁, 村岡 渡, 西須 大徳, 臼田 頌, 莇生田 整治, 河奈 裕正, 中川 種昭, 和嶋 浩一
    2014 年 26 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/23
    ジャーナル フリー
    目的:顎関節症・咀嚼筋痛障害の治療においては,開口訓練や認知行動療法などによるセルフケアがまず選択されるが,そのような治療では十分に症状改善が得られない症例に対して本報告ではトラムセット®配合錠(アセトアミノフェンとトラマドール塩酸塩の合剤)を処方し,その治療効果を検討した。方法:慶應義塾大学病院歯科・口腔外科の顎関節疾患・口腔顔面痛外来を受診し,顎関節症・咀嚼筋痛障害と診断された患者のうち,咬筋部,側頭部のいずれかに機能時の痛みを訴え,かつ臨床診査により咬筋,側頭筋のいずれかに圧痛を有し,罹病期間が6か月以上の患者のなかで,セルフケアや従来の薬物療法では十分な症状改善が得られず,初診時からの各診査時における疼痛がVisual Analogue Scale(VAS)で平均40 mmを超えた7例に対しトラムセット®配合錠を処方した。服用法は1, 2日目就寝前に1/2錠,3~5日目の就寝前に1錠,6~9日目の朝夕食後に1錠ずつ,10日目以降は毎食後に1錠ずつとし,症状に応じて適宜増量した。治療効果は錠処方前後の痛みの強さをVASで比較し副作用の有無も検討した。結果:トラムセット®配合錠処方前後で80%以上のVAS改善率を示した患者が2例,41~79%が3例,40%以下が2例であった。7例中2例が副作用として胃部不快感を訴えた。結語:セルフケアや薬物療法により十分な症状改善が得られない治療抵抗性の顎関節症・咀嚼筋痛障害に伴う慢性疼痛において,トラムセット®配合錠が有効である症例が存在した。
症例報告
  • 西須 大徳, 落合 駿介, 鳩貝 翔, 佐藤 仁, 臼田 頌, 村岡 渡, 莇生田 整治, 河奈 裕正, 中川 種昭, 和嶋 浩一
    2014 年 26 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2014/04/20
    公開日: 2014/05/23
    ジャーナル フリー
    ジストニアは中枢性の持続的筋緊張を特徴とする運動異常疾患である。口顎部に発症した場合,顎のずれや痛みなどの症状を訴えて歯科を受診することがある。今回,薬剤性口顎ジストニアが咬筋・外側翼突筋に発症した症例を経験したので神経学的および薬理学的考察を交えて報告する。患者は20代女性,顎関節脱臼,および顎の痛みを主訴に当院救急に搬送された。CT撮影により右側顎関節脱臼と診断され,プロポフォール鎮静下に整復するも,再度脱臼したとのことで診療要請があった。診察時,顎位は閉口,右方偏位の状態で,救急科初診時とは明らかに所見が異なっていた。咀嚼筋の触診を行ったところ左側咬筋,外側翼突筋の過緊張がみられ,開口困難を生じていた。さらに,開眼失行,眼球上転が認められたことからジストニアを疑い,改めて全身疾患や薬剤の使用について問診した。その結果,統合失調症のため抗精神病薬を2剤内服していることが明らかとなったため,薬剤性口顎ジストニアと診断した。精神・神経科と相談し,治療として抗コリン薬である乳酸ビペリデン5 mgを筋注した。投与5分後には開眼失行,眼球上転,筋過緊張,顎偏位の改善を認め,開口も容易となった。口顎ジストニアは歯科に来院することがあり,その特徴的所見を十分把握したうえで迅速に診断し,他科と連携しながら対応する必要がある。
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