目的:多施設にて咬合違和感を訴える患者に関するデータ収集を行い,その実態を調査することを目的とした。対象および方法:各施設を受診した咬合違和感を訴える患者202症例中,調査票で転帰が明らかな180症例を対象とした。患者調査票を作成し,受診までの項目(性別,年齢,病悩期間,主訴の分類,咬合違和感を感じる歯,咬合違和感を感じる部位,咬合違和感を感じる歯の状態,前医でこれまでに受けた治療法)について分析した。結果:性別では男性37名,女性143名で女性に多かった。年齢の中央値(25パーセンタイル,75パーセンタイル)は55.0(42.0,65.0)歳であった(18~86歳)。また病悩期間の中央値は5(1,13)か月で発症後6か月未満が著明に多かった(発症直後~360か月)。主訴は「咬頭嵌合位の歯の接触状態に関する訴え」が最も多かった。咬合違和感を感じる歯は大臼歯が多かったが前歯にも認められた。咬合違和感を感じる部位では片側だけでなく,両側の場合などさまざまであったが,全体的に感じる患者も多かった。咬合違和感を感じる歯の状態は金属の補綴装置を装着されている場合が多かったが,天然歯の場合も多かった。前医で行われた治療は補綴歯科治療が多かった。結語:性別,年齢などはいままでの報告と同様であったが,病悩期間はやや異なっていた。また患者は,さまざまな部位で治療後の歯だけでなく天然歯にも違和感を感じていた。
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