日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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ISSN-L : 0915-3004
27 巻, 1 号
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症例報告
  • 藤原 正識, 山村 倫世, 本田 公亮, 安田 恵理子, 長谷川 陽子, 奥井 森, 名取 淳
    2015 年 27 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2015/04/20
    公開日: 2015/05/22
    ジャーナル フリー
    関節リウマチ(以後RAと略す)は,慢性炎症が徐々に進行し持続する重篤な自己免疫疾患であり,顎関節においても病変の後期に影響を受けることが少なくない。しかし顎関節痛が実際にRAに起因するかについては診断が難しい。今回われわれは同時期に顎関節を含む多関節に疼痛を認め,リウマチ内科で超早期RAと疑われた患者に対し,臨床所見と画像所見について他関節と対比しながら診断した顎関節炎の1例を報告する。患者は,22歳の女性で右側顎関節痛を主訴に当院を受診した。初診時の開口量40 mmで,膝関節,足関節,手関節に有痛性の腫脹とこわばりを併発していた。当院リウマチ内科での検査の結果,手関節のX線像では,全体的に骨の萎縮と軟骨皮質のびらんが,MRIにて左側膝関節・足関節に滑膜の増殖と,関節水腫が認められた。ただし,血液検査では,抗核抗体は陽性,RA因子は陰性,抗環状シトルリン化ペプチド抗体の濃度も正常範囲内であった。一方,顎関節では,MRIにて右側にjoint effusionが観察され,下顎頭の骨髄浮腫が疑われた。顎関節痛に対して上関節腔洗浄療法を施行し,症状の消退に伴って開口量は42~46 mmにまで改善した。現在,抗リウマチ薬を服用しているが,顎関節を含め他関節の痛みは再燃していない。
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