日本顎関節学会雑誌
Online ISSN : 1884-4308
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29 巻, 1 号
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依頼論文
  • ―特にパーキンソン病進行例の頸部後屈症例との関連性―
    堀川 博誠, 中室 卓也
    2017 年 29 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2017/04/20
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー

    パーキンソン病では他の神経疾患に比べ顎関節脱臼が多いことが示唆された。症例検討から,進行例で頸部後屈を伴った場合にみられ,運動学的に頸部後屈は顎関節脱臼を助長すると考えられた。パーキンソン病以外の神経疾患においても,頸部の姿勢や筋緊張異常を考慮することにより,顎関節脱臼の発生に関与する神経学的病態が明らかになる。

症例報告
  • 李 康広, 神農 悦輝, 金城 真, 新崎 章
    2017 年 29 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2017/04/20
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー

    患者は33歳の女性で,閉口障害を主訴に当院救急診療部を受診し,右側顎関節前方脱臼の診断で脱臼の整復処置が行われた。再度脱臼が自然発生したため,当科へ対診となった。初診時,仮面様顔貌が認められ,下顎が左側に偏位し,さらに小刻みに振戦していた。最大開口量の測定は困難であった。パノラマ顎関節4分割モード撮影を行ったところ,右側の下顎頭は関節結節の前方にわずかな逸脱を認めた。一方,左側の下顎頭は下顎窩の中央部に位置していた。既往歴に関しては,統合失調症,不眠症,パーキンソン症候群および悪性症候群があり,服用薬は非典型抗精神病薬および睡眠薬であった。顎口腔ジストニア(下顎偏位型)と診断した。外側翼突筋下頭の持続的な過緊張を一時的に緩和させる目的で,Gow-Gates下顎神経伝達麻酔を施行した。続いて,下顎偏位および再脱臼の防止策として,顎間および顎外固定を施行した。翌日,固定は解除され,その後,患者の通院している診療内科で内服調整が行われた。6か月を経過した現在まで下顎偏位および再脱臼は認められない。Gow-Gates下顎神経伝達麻酔は下顎の偏位抑制に有効であった。顎間および顎外固定は下顎偏位および脱臼の再発防止に役立った。

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