われわれは顎関節症患者300例を筋肉型, 顎関節型, 混合型の3型に分類し, 一部の症例についてはMKG検査を行いながら保存的治療を行った。そして, その効果を検討し, 以下の結果を得た。
1. 顎関節型は最も頻度が高く (158例), 他の2型は共に71例とやや少なかった。
2. 症状別には, 疼痛は最も治療により消失しやすい (筋痛: 85.2%, 関節痛: 68.6%) のに対し, 関節雑音は著効: 38.2%と, 治療困難であった。
3. 総合的な症状の改善からみた筋肉型, 混合型, 顎関節型の著効 (症状消失) 率は各々59.2%, 31.0%, 32.9%であり, 有効 (症状の改善) は各々35.2%, 59.2%, 50.6%であった。筋肉型ではスプリントを必要としない初期の保存療法によって消失をみた例が多く, 一方, 混合型, 顎関節型の大多数はスプリントも含めた治療を必要とした。
4. 治療効果と一致して, 下顎運動は運動速度の上昇と共にスムーズになり, ズレ幅も減少した。
以上の結果から, 各症型に対する適切な保存療法がその限界を考慮されたうえで選択されるならば, 保存療法は顎関節症に対し有効な手段であると考えられる。
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