日本顎関節学会雑誌
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7 巻, 1 号
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  • 初診後12か月の臨床症状について
    佐藤 修一, 川村 仁, 長坂 浩, 佐藤 英明, 後藤 哲, 鎌倉 慎治, 茂木 克俊
    1995 年 7 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節腔造影検査にて復位を伴わない顎関節円板前方転位と診断されたもののうち, 各種治療法を希望せず経過観察のみを行った30例の臨床経過を12か月にわたり調査した。その結果
    (1) 最大開口量は, 初診時平均31.1mmであったが, 12か月後は平均37.1mmに増加した。
    (2) 顎関節雑音は, 初診時7例に捻髪音がみられたが, 12か月後も7例に捻髪音がみられた。
    (3) 顎関節痛がみられたのは, 初診時24例であったが, 12か月後では11例に減少した。
    (4) 咀嚼筋痛がみられたのは, 初診時14例であったが, 12か月後では2例に減少した。
    (5) 顎機能障害度分類の推移は, 初診時に比較して初診後12か月では, 著名改善が7例 (23.3%), 改善が15例 (50.0%), 不変が8例 (26.7%), 悪化が0例 (0%) であった。
    以上より, 復位を伴わない顎関節円板前方転位に対して各種治療法の選択や治療効果の評価を行う場合には, 臨床症状の自然軽減の要素も考慮にいれたほうがよいと思われた。
  • 広 俊明, 上島 真二郎, 吉川 仁育, 松田 泰明, 出口 敏雄
    1995 年 7 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    脳頭蓋を頭頂方向から見た場合の輪郭線形態すなわち水平位頭蓋輪郭線形態は, 顔面頭蓋の形態や咬合と密接な関係があることが知られている。なかでもBjörkは, 著明な片側後頭部の平坦化が見られる場合, その側の頭蓋底は反対側の頭蓋底に比べて前後的に短小化を示すと述べている。
    一方, 下顎頭の形態は, 性差, 年齢差, 咬合などによって影響されるという報告もあるが, 頭蓋のひずみと下顎頭長軸角との相関関係について考察されたものは見られない。
    そこで, 頭部軸投影X線規格写真を用いて頭蓋のひずみの方向と左右側の下顎頭長軸角との関連性について調査した。その結果, 後頭部に平坦化を有する側の下顎頭長軸角は16.74±9.9° (最大42.0°, 最小-3.0°) と, 反対側の24.09±10.8° (最大48.5°, 最小2.0°) に比べて有意に小さい値を示した (p<0.01)。
  • 自覚的無症状者における評価
    伊介 昭弘, 杉崎 正志, 田辺 晴康
    1995 年 7 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    加圧疼痛を受容した際, すなわち加圧疼痛閾値 (PPT) において, 被検者がどの程度の痛みを感じているかについてはほとんど解明されていない。そこで今回われわれは顎機能に異常を有しない自覚的無症状者 (ボランティア50名: 男性13名, 女性37名, 平均年齢29.9±5.27歳) を対象に, 顔面各部における加圧疼痛受容時の痛みの程度をVASを用いて記録し, 一定の加圧率で生じた痛みが各個人でどの程度に感じているかを検討した。方法は顎顔面に7か所の計測部位を設定し, 加圧疼痛計を用い (加圧率: 500g/cm2/・秒), 被検者が圧迫感から痛みに変わった時点のPPT, ならびにその時点での痛みの程度をVAS上に記録し, 左端からの距離をVAS値とした。
    その結果, 前額部, 側頭筋前部筋東部, 下顎枝後縁部およびLibmanの計測点では, PPT受容時の痛みの程度は他の計測部位と差があり, 部位が近接している咬筋下部, 咬筋中央部および下顎頭外側極部では, 差が認められなかった。また, 計測部位間におけるVAS値は, どの部位においても有意な相関関係が認められたことからPPT受容時のVAS値が大きい人は, 顔面におけるいずれの計測部位でもVAS値が大きく, 逆にPPT受容時のVAS値が小さい人は, どの計測部位でもVAS値が小さくなる傾向があると考えられた。
  • 鬼澤 浩司郎, 岩間 英明, 吉田 広
    1995 年 7 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    近年の顎関節症患者数増加の背景因子を疫学的に検討するために, 1989-1993年の間, 毎年2,000人以上の大学1年生に対して顎関節症状の自覚状況を質問表により調査した。調査した5年間において, 顎関節雑音および開口制限を自覚する者の割合に有意差は認められなかった。開口時痛においても1989年度を除いて自覚率の有意差は認められなかった。1症状のみを自覚する者や低頻度に症状を自覚するものは減少する傾向を認めたが, 主な3症状を自覚する者の割合や症状を高頻度に自覚する者の割合にはほとんど変化は認められなかった。
    これらの結果より, 青年集団における顎関節症状を自覚する者の割合は, 顎関節症患者の増加傾向とは異なり, 近年ほとんど変化がないことが示唆された。
  • 坂本 一郎, 依田 哲也, 塚原 宏泰, 森田 伸, 宮村 壽一, 榎本 昭二
    1995 年 7 巻 1 号 p. 32-44
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    当科を受診し顎関節症と診断された患者で初診時にCMIテストを施行した121例に対して, CMIの結果と顎関節症症型分類とを比較検討した。
    顎関節症症型別のCMIの結果では深町の判定法によるIII・IV領域の割合は, 顎関節症I型が32例中12例 (37.5%) と最も高く, 他の顎関節症症型 (IIからIV型) よりも危険率5%で有意に高かった。次いでIV型6例中2例 (33.3%), 以下II型 (24.0%), III型 (15.5%) の順であった。
    CMIプロフィールにおいても顎関節症I型次いでIV型がその他の症型よりも多くの項目で高かった。
    回答数による評価においても顎関節症I型とIV型にその値の大きい傾向がみられた。
    以上の結果より, 顎関節症I型とIV型には心理的要因の関与が高いと考えられ, 治療に際しては特に心身医学的アプローチが必要な症例も多いと考えられた。
  • 成之坊 昌功, 高塚 茂行, 中川 清昌, 山本 悦秀
    1995 年 7 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    近年, 顎関節内障に対する外科療法は関節鏡視下剥離授動術, 関節円板整位術, 関節円板切除術の三つの術式が主体となっているが, それぞれの術式を選択するにあたりその基準は明らかではない。そこで, まず顎関節内障を米国顎関節外科学会が提唱する病期分類基準にて症例を分類し, 各stageに対する関節円板整位術と関節円板切除術の術後成績を比較検討した。症例の内訳はstage IIIが5例, stage IVが3例, stage Vが4例であった。術式はstage III, IVには関節円板整位術をstage Vには関節円板切除術および耳介軟骨移植術を選択した。評価は開口度の改善量, 開口度改善率 (改善開口量 (mm)/術前開口量 (mm)×100), 疼痛の度合は顎機能時における痛みをVAS (Visual Analogue Scale of Pain: 0-10点) で評価し, VAS改善量, VAS改善率 (VAS改善量 (点)/術前VAS (点)×100), および米国口腔外科学会の判定基準にて行った。結果は12症例とも有効以上であった。しかし, 開口量, VASの比較においてはstage IVに関節円板整位術を施行した症例が他に比較して良好とは言えなかった。したがって, stage IVの症例には関節円板の切除が必要な場合もあることが示唆された。
  • 松田 秀司, 吉村 安郎, 大谷 浩, 田中 修
    1995 年 7 巻 1 号 p. 53-62
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    ヒト胎児における顎関節の発生に関する報告は少ない。今回われわれは, 胎生期における顎運動とそれによる顎関節の発生の関連性を探究する研究の一環として, ヒト胎児8例の顎関節8関節について組織学的観察を行った。
    今回用いたヒト胎児は10%ホルマリン固定された, 頂殿長 (CRL) 158-213mm, 胎生略々19-25週のものである。標本は通常の方法にてパラフィン包埋し, 厚さ5μmの矢状断, 前頭断または水平断の連続切片を作製した。H&E染色, Elastica van Gieson染色を施した後に, 光学顕微鏡にて組織学的検索を行った。また, 同一光顕試料の隣接切片を用いて, 走査電顕 (SEM) による観察を行った。関節円板, 下顎頭は, その外側翼突筋の付着部位あるいは関節円板後方部など, その部位によって微妙な構造の違いを呈していた。また, このステージにおける関節腔の発生においても, 一部ではその形成が不完全な箇所も認められ, 今後の顎運動との関連性も示唆された。関節円板の上関節腔側では, 線維束は密であり, 細胞成分も少ない。また, 下関節腔側の関節円板は線維束は疎であり, 細胞成分も多い。このことより, 関節円板は上関節腔で, 機能的に順応が早いのではないかと考えられた。また, 下顎頭表面には皺を認め, その下層には核の濃縮も認め, 顎関節の発生における, アポトーシスの関与も示唆された。
  • 竹内 誠, 笹栗 健一, 杉下 珠美, 佐藤 貞雄, 鈴木 祥井
    1995 年 7 巻 1 号 p. 63-74
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究は, 下顎頭運動の中でも特に開口運動に伴う下顎頭の回転運動と滑走運動が, 顎機能異常の診断に有用であるか否かを検討することを目的として行われた。対象は神奈川歯科大学付属病院矯正科に来院した女性不正咬合患者のうち両側顎関節に機能異常がない顎機能正常者27名と, 片側あるいは両側顎関節において復位性関節円板完全前方転位が確認された顎関節内障患者20名である。下顎頭運動の解析は, コンピュータアキシオグラフ (CADIAX, GAMMA社製, Version2.0) を用いて開口運動における下顎頭運動を記録し, 回転運動量と滑走運動量, ならびに回転運動に対する滑走運動の発現様相を調べることによって行った。
    その結果, 復位性顎関節内障患者と顎機能正常者とで, 回転運動量には差が認められなかったが, 滑走運動量は復位性顎関節内障患者で有意に多かった。また, 顎機能正常者では開口終末を除いて回転運動と滑走運動が同調して行われていたが, 開口終末においては回転運動量に対して滑走運動量が抑制される現象が観察された。これに対し, 復位性顎関節内障患者では開口初期に滑走運動が抑制される現象が認められ, さらに開口終末における滑走運動量が顎機能正常者に比べて有意に多く, 開口終末で滑走運動が抑制される現象は認められなかった。
    以上のことより復位性の関節円板転位を伴う顎関節内障患者では, 下顎頭の滑走運動を規制する要因が障害され, 運動範囲が拡大されていると同時に, 回転運動に対する滑走運動の発現様相も異なっており, 特に開口運動の初期と終末での運動パターンは病態の進行様相と密接な関連があることが示唆された。
  • 鈴木 和彦, 木野 孔司, 渋谷 智明, 大村 欣章, 小林 淳二, 天笠 光雄
    1995 年 7 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    1987年Isbergらは, 解剖により舌神経が外側翼突筋の筋腹間を通る個体が52例中3例あることを見いだし, そのような個体が顎関節症になり顎関節痛をもつと, 外側翼突筋にスパズムが発生し筋が舌神経を圧迫するために, 舌の知覚異常が発現すると報告した。この報告では, 円板転位がある患者208例中, 舌の半側知覚異常と発音障害があったものが7例存在していたとされている。そこで, 顎関節症患者に知覚異常があり得るのか否かを調査するために, 1992年1月-12月に東京医科歯科大学歯学部第一口腔外科を受診した顎関節症患者911例中, 患者質問表を回収しえた503例から舌症状の有無を検索した。その結果, 18例に舌の知覚異常が存在するとの回答が得られた。これら18例を中心に臨床的検討を行った。
    上記18例中円板前方転位症例12例では, 顎関節と舌の症状側の一致が5例みられ, そのうち2例は両症状期間が一致していた。また同時に発音障害の自覚もあった。
    円板前方転位があると認められない6例では, 顎関節と舌の症状側の一致は1例で, 症状期間が一致している例はなかった。
    Isbergらが報告した症例に相当すると思われる2例の病態を調べるために検査を実施した。すなわち顎関節の知覚を支配している耳介側頭神経を麻酔し顎関節痛をとり除くと, 外側翼突筋のスパズムが消失し, 舌神経への圧迫がなくなるため, 舌の知覚が改善するというもので, Isbergらは7例全例に舌の知覚改善を確認したと報告している。
    2例の症状側顎関節の耳介側頭神経領域に2%キシロカインを注射し, 10分後の舌の知覚を2点識別法により測定した。1例は知覚改善し1例は変化がなかった。したがって, 顎関節症由来の舌症状は, Isbergらが報告したものよりもさらに稀なものと考えられた。
  • 第1報: effusion像の出現頻度とその局在
    溝口 智子, 柴田 考典, 安川 和夫, 柴田 肇, 吉澤 信夫
    1995 年 7 巻 1 号 p. 81-94
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    顎関節症患者251名 (502関節) について, 1.5TMR撮像装置を用いてプロトン画像, T2画像および脂肪抑制T2画像を撮像し, 閉口位におけるjoint effusion像の大きさ, 出現頻度および関節腔内における局在について検討した。
    (1) 前頭断画像および矢状断画像において, 上関節腔および下関節腔のjoint effusion像を, 点状, 線状, 太線状および帯状に分類し, それぞれの出現頻度を調べた。その結果, 上関節腔におけるjoint effusion像の出現頻度は, 下関節腔のそれよりも有意に高かった。しかし, 前頭断画像と矢状断画像の間ではその出現頻度に差はみられなかった。
    (2) 前頭断および矢状断画像におけるjoint effusion像の大きさの判定は, 上関節腔の353関節 (70.7%) および下関節腔の396関節 (79.4%) における画像で一致した。
    (3) 前頭断あるいは矢状断画像において太線状以上と判定されたjoint effusion像は, 上関節腔で96関節の画像 (19.2%) に認められた。それらの性別および年代別出現頻度では, 女性および若年層で有意に高い値を示した。
    (4) それら96関節の画像におけるjoint effusion像の部位別出現頻度および量的分布において, いずれも上関節腔前方の関節隆起稜部の中央から外側にかけての部位に, joint effusion像の集中が認められた。
  • 第1報: 下顎頭の肉眼的観察
    菅原 千恵子, 柴田 考典, 高橋 章, 上村 修三郎, 吉澤 信夫
    1995 年 7 巻 1 号 p. 95-109
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    日本人高齢者96遺体より摘出した174下顎頭を対象に, 大きさの計測, 外形および表面の形態変化を観察し評価を行った。検体は男性59体 (左54, 右52), 女性37体 (左35, 右33) であり, 平均年齢は男性が72.0歳, 女性83.8歳で女性の年齢が有意に高かった。下顎頭の前後径の平均は男性11.2±1.21mm, 女性10.8±1.41mm, 内外側径は男性で22.0±2.28mm, 女性で20.1±2.97mmであり, ともに男性が女性より有意に大きな値を示した。高径については男女差はみられなかった。下顎頭外形は, 上方観では楕円形が55.2%, 後方観では弧状型が62.6%, 側方観では弧状型が73.6%と, それぞれ過半数を占めた。いずれの観察方向においても, 各型の分布に男女間, 左右側間で差はみられなかった。下顎頭表面の形態変化としては段差, 陥凹, 突起, 小孔などが観察され, 顕著な変形により表面の観察を行うことができなかった6検体を除く168検体中66 (39.3%) に変化が認められた。また, 表面の形態変化における出現率は, 女性において有意に高かったが, 左右差はなかった。
    今回の研究によって, 日本人高齢者の下顎頭の標準的な大きさ, 形態, 関節表面に生ずる形態変化の出現率を把握できたと考えられた。
  • 第1報: 臨床第II相試験
    石橋 克禮, 柴田 考典, 吉澤 信夫, 岡 達, 佐藤 公治, 木野 孔司, 天笠 光雄, 村上 賢一郎, 飯塚 忠彦, 覚道 健治, 白 ...
    1995 年 7 巻 1 号 p. 110-127
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    咀嚼筋等の筋緊張異常ないし筋痛を伴う顎関節症に対する中枢性筋弛緩剤NK-433の臨床至適用量を検索する目的で, 1日量50mg, 100mgおよび150mgの3用量について, 電話登録法により無作為割付けを行い, それらの臨床的有効性, 安全性および有用性を評価し, 比較検討した。なお, 本研究は12施設にて実施した。
    (1) 全登録症例189例のうち, 最終改善度の解析対象例は50mg群51例, 100mg群54例および150mg群50例の計155例であり, 安全度の解析対象例は50mg群58例, 100mg群64例および150mg群58例の計180例であった。また, 有用度の解析対象例は50mg群53例, 100mg群60例および150mg群53例の計166例であった。
    (2) 最終改善度における「中等度改善」以上の改善率は3群間に有意差は認められなかったが, 150mg群が74.0%と最も高い改善率を示した。
    (3) 副作用症状は32例, 臨床検査値の異常変動は7例, 計37例に認められた。安全度の「ほぼ安全である」以上の安全率は, 3群間に明らかな差を認めず, ともに比較的高い安全性が認められた。
    (4) 有用度における「有用」以上の有用率では, 3群間に有意差は認められなかったが, 150mg群が71.7%と最も高い有用率を示した。
    以上より, 顎関節症に対するNK-433の臨床至適用量は150mgが妥当と考えられた。
  • 第2報: 臨床第III相試験
    石橋 克禮, 柴田 考典, 吉澤 信夫, 岡 達, 木野 孔司, 天笠 光雄, 村上 賢一郎, 飯塚 忠彦, 覚道 健治, 白数 力也, 小 ...
    1995 年 7 巻 1 号 p. 128-146
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    本研究は, 第1報の臨床第II相試験に引き続き, 筋緊張異常ないし筋痛を呈する顎関節症に対する中枢性筋弛緩剤NK-433 (塩酸ランペリゾン150mg: NK群) の臨床的有用性を検討するため, その低用量 (5%) 製剤を対照薬 (7.5mg: CT群) とし, 無作為割付けによる二重盲験法により群間比較試験を実施した。なお, 本研究は12施設にて実施した。
    (1) 総登録症例数241例 (NK群121例, CT群120例) のうち, 217例 (NK群108例, CT群109例) を解析対象例とした。なお, 両群の患者背景はほぼ均衡していた。
    (2) 最終改善度において「中等度改善」以上の改善率は, NK群56.5% (61/108例), CT群39.4% (43/109例) であり, NK群は有意に優れていた。
    (3) 安全度ではNK群で「安全である」85.2%,「ほぼ安全である」以上92.6%で, CT群で「安全である」86.2%,「ほぼ安全である」以上92.7%であり, 両群に有意差は認められなかった。
    (4) 有用度において「有用」以上の症例はNK群55.6% (60/108例), CT群38.5% (42/109例) でありNK群が有意に優れていた。
    (5) 患者の背景により最終改善度の層別解析を行った結果, 女性, 20歳代, 初発, 既往歴および合併症なし, 症型分類I型および罹病期間が1カ月以上1年未満の項目において, NK群はCT群に比べ, 有意に高い改善率を示した。
    (6) 週別の改善効果を検討したところ, NK群では2週後においてCT群よりも有意に高い改善率を示した。
    以上より, NK-433の1日用量150mg (分2) 2週間投与は顎関節症に対して優れた治療効果を有し, かつ安全性が高いことから有用な薬剤であることが示された。
  • 地挽 雅人, 浅田 洸一, 豊田 長隆, 角原 雅人, 永盛 孝, 菊地 健太郎, 石橋 克禮, 小林 馨
    1995 年 7 巻 1 号 p. 147-157
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
    1988年10月から1992年12月までに当科を受診し, MR撮像を施行した413人のうち, 下顎頭に低信号域を認めた9例について経時的に検討した。症例は左下顎骨周囲炎1例, 左下顎頸部骨折1例, 変形性顎関節症7例 (大腿骨頭壊死合併例1例) であった。
    感染症例ではパノラマX線写真で下顎頭の腐骨分離像が観察され, MR画像でそれに一致した低信号域が認められた。1年6か月後, 下顎頭部の高信号化が認められた。外傷例ではX線写真で左下顎頸部に骨折線が認められ, MR画像では下顎頭内部に低信号域が認められた。治癒後, 骨髄の信号強度は上昇していた。変形性顎関節症では下顎頭の矮小化が2例に, 5例に平坦化などを認め, MR画像で骨髄部の低信号域を認めた。1年半から2年半後, 症状は消失していたが, 下顎頭内部は変化のないものと, さらに低信号なものがみられた。大腿骨頭部にも低信号領域を認めた症例では1年3か月後, 症状の改善を見たが, 低信号域は改善されなかった。これらの結果からMR画像で下顎頭の低信号領域を示す病態には, 外傷や炎症などによる一過性の虚血性変化と思われるもの, 萎縮下顎頭, 顎関節症における退行性変化における一過程と思われるもの, また全身的, 体質的要因の関与も考えられた。
  • 亀山 洋一郎
    1995 年 7 巻 1 号 p. 159-160
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 渕端 孟
    1995 年 7 巻 1 号 p. 161-162
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 船越 正也
    1995 年 7 巻 1 号 p. 163-165
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 井出 吉信
    1995 年 7 巻 1 号 p. 166-167
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 7 巻 1 号 p. 169-208
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 7 巻 1 号 p. 209-247
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 7 巻 1 号 p. 248-280
    発行日: 1995/05/20
    公開日: 2010/08/06
    ジャーナル フリー
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