本研究は, 第1報の臨床第II相試験に引き続き, 筋緊張異常ないし筋痛を呈する顎関節症に対する中枢性筋弛緩剤NK-433 (塩酸ランペリゾン150mg: NK群) の臨床的有用性を検討するため, その低用量 (5%) 製剤を対照薬 (7.5mg: CT群) とし, 無作為割付けによる二重盲験法により群間比較試験を実施した。なお, 本研究は12施設にて実施した。
(1) 総登録症例数241例 (NK群121例, CT群120例) のうち, 217例 (NK群108例, CT群109例) を解析対象例とした。なお, 両群の患者背景はほぼ均衡していた。
(2) 最終改善度において「中等度改善」以上の改善率は, NK群56.5% (61/108例), CT群39.4% (43/109例) であり, NK群は有意に優れていた。
(3) 安全度ではNK群で「安全である」85.2%,「ほぼ安全である」以上92.6%で, CT群で「安全である」86.2%,「ほぼ安全である」以上92.7%であり, 両群に有意差は認められなかった。
(4) 有用度において「有用」以上の症例はNK群55.6% (60/108例), CT群38.5% (42/109例) でありNK群が有意に優れていた。
(5) 患者の背景により最終改善度の層別解析を行った結果, 女性, 20歳代, 初発, 既往歴および合併症なし, 症型分類I型および罹病期間が1カ月以上1年未満の項目において, NK群はCT群に比べ, 有意に高い改善率を示した。
(6) 週別の改善効果を検討したところ, NK群では2週後においてCT群よりも有意に高い改善率を示した。
以上より, NK-433の1日用量150mg (分2) 2週間投与は顎関節症に対して優れた治療効果を有し, かつ安全性が高いことから有用な薬剤であることが示された。
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