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小澤 奏, 末井 良和, 丹根 一夫
1997 年 9 巻 1 号 p.
1-8
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
両側顎関節の変形性関節症 (Osteoarthrosis; OA) を伴った不正咬合患者に対して歯科矯正治療を行ったところ, 下顎頭に著しい骨形態変化を認めた症例を経験したので報告する。
症例: 20歳7か月の女性で, 犬歯の低位唇側転位と顎関節部の鈍痛を主訴に当科を受診した。顎関節症状は10年程前に発現し, 両側顎関節に咀嚼時のだるさを訴えていた。初診時最大開口量は34mm, 開口17mm付近で右側顎関節にクリック音を認めた。大臼歯関係は右側Angle I級, 左側Angle II級, overbiteは3.0mm, overjetは6.5mmであった。骨格系では, 下顎下縁平面の開大 (MP/SM; 40.7度, ANB; 9.1度), 下顎枝高の過小 (Ar-Go; 39.7mm) が認められた。また, 同時多層断層X線写真と磁気共鳴映像法 (MRI) 検査から非復位性円板前方転位を伴う両側性顎関節OAと診断された。
臨床症状の増悪は認められなかったため, 〓〓抜歯下でマルチブラケット装置による叢生の改善を開始した。治療中においても疼痛や開口障害の増悪は認められず, 18か月の動的処置により良好な咬合状態が得られ, 治療後の画像検査の結果, 左側下顎頭の形態がerosionからosteophyteに変化し, 歯科矯正治療中にもかかわらず下顎頭に適応性変化と考えられる骨形態変化が生じているのが認められた。
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大内 祥仁
1997 年 9 巻 1 号 p.
9-21
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
蝶下顎靭帯は成長とともに付着部位が変化するため, 種々の複雑な形態が観察されたまま現在に至っており, 見解は一致せず不明な点が多い. そこで今回, 著者は蝶下顎靭帯の起始形態を詳細に観察し分類した。
試料は当教室所蔵の成人遺体54体98側を用い, 1. 蝶下顎靭帯の起始形態, 2. 関節円板後部結合組織への付着状況, 3. ツチ骨への付着状況を観察した。方法は, 蝶下顎靭帯の起始形態を靭帯線維が蝶形骨棘に限局しているものをI型, 靭帯線維が蝶形骨棘から後方の錐体鼓室裂に及ぶものをII型, 靭帯線維が蝶形骨棘から錐体鼓室裂を経て, 関節円板後部結合組織に及ぶものをIII型とし分類した。
その結果, I型は98例中20例 (20.4%) 観察され, II型は98例中34例 (34.7%) 観察され, III型は98例中44例 (44.9%) 観察された。III型の標本に対し, 実体顕微鏡下にて靭帯線維と関節円板後部組織を詳細に分離していくと, 関節円板に直接付着する靭帯線維が観察された。これらの標本は下顎運動で関節円板があらゆる方向に移動した際, これを後内方から規制する一助を担っているのではないかと言うことが示唆された。
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前川 賢治, 山下 敦, 篠田 一樹, 窪木 拓男, 築山 能大, Glenn. T. CLARK
1997 年 9 巻 1 号 p.
22-36
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
近年, 咀嚼筋痛を慢性化させる原因として, 交感神経の緊張および血管拡張因子の不足に起因する筋組織内血流低下が推測されている。しかしながら, 交感神経の緊張とヒト咀嚼筋組織内血流の関係を検討した報告はなく, 交感神経の緊張により咀嚼筋組織内の血流がどのように変化するのかも明らかにされていない。そこで, Victorらが実験的に交感神経の緊張を引き起こすことを可能と報告したCold Pressor Test (CPT) を用い, 50% MVCレベルで噛みしめた場合の噛みしめ時およびその前後のヒト咬筋の血流動態を近赤外線スペクトル法により測定した。
実験は, CPTの有無およびCPT付加のタイミングの違いにより3条件に分け, ヒト咬筋における血流動態を10名の被験者について測定を行った。その結果, 噛みしめ終了後の収縮後充血時 (Post contraction hyperemia) におけるヘモグロビン (Hb) 濃度は, 実験条件の差の影響を有意に受け (p<0.005), CPTを加えると噛みしめ負荷から解放された際のHb濃度の増大は抑制されていた。また, 酸素飽和度については, 実験条件の差は有意な影響を示さなかった。CPTを加えた際に噛みしめ負荷から回復時のHb濃度の増大が抑制されるという現象は, 慢性咀嚼筋痛患者における血流動態異常と類似していた。
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宮本 日出, 坂下 英明, 宮田 勝, 岡部 孝一, 宮地 優子, 佐久間 久仁子, 辻 基
1997 年 9 巻 1 号 p.
37-48
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
本検討では顎関節内障の術後成績を検討した。
対象は関節鏡視下前外側関節包切離術を施行したクローズド・ロック51症例57関節であった。症例はMRI, 顎関節腔二重造影断層X線写真および上関節腔鏡視所見より, 米国顎関節外科学会の顎関節内障の病期分類基準に沿って分類した。症例はstage III 18関節, stage IV 17関節, stage V 22関節に該当した。手術の奏効率はstage III 100% (18/18関節), stage IV 94.1% (16/17関節), stage V 95.5% (21/22関節) であった。
本検討の結果より, 本治療法はクローズド・ロックの各stageに対して, 有用な外科的療法であると考えられた。
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安達 聡, 覚道 健治
1997 年 9 巻 1 号 p.
49-59
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
顎関節滑液の生化学的分析は, 顎関節の器質的変化を知るために有用な手段である。本研究では, MRIおよびX線検査で顎関節症III型 (III型群) または顎関節症IV型 (IV型群) と診断された患者の顎関節, および健常なヒトの顎関節 (健常群) より顎関節滑液を採取し, 滑液中のヒアルロン酸分子量とその分解関連酵素の
N-アセチル-β-グルコサミニダーゼ (NAG) 活性を検討した。上関節腔に22G注射針を穿刺後, 1%リドカイン液1.5mlを緩圧下で5回パンピング操作を行って顎関節滑液を採取し, 滑液試料とした。滑液試料から荒木らの方法に準じてヒアルロン酸を抽出・精製し, HPLC法で分子量の分布を検索した。その結果, 顎関節滑液のヒアルロン酸分子量は健常群>III型群>IV型群の順に低分子化の傾向を示し, 顎関節症の進行の程度を反映していた。さらに, 滑液試料の一部を用いてNAG活性を測定したところ, 活性は健常群<IIII型群<IV型群の順に高く, その活性上昇はヒアルロン酸分子量の低下と逆相関していた。以上のことから, 顎関節症患者の滑液中のヒアルロン酸分子量ならびにNAG活性の測定は, 病態診断の上で重要であり補助診断となりうることが示唆された。
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地挽 雅人, 浅田 洸一, 豊田 長隆, 菊地 健太郎, 荒井 智彦, 平下 光輝, 野上 喜史, 石橋 克禮, 小林 馨
1997 年 9 巻 1 号 p.
60-71
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
MR画像におけるjoint effusion (以下effusion) と臨床症状との関連, 特に経時的変化について検討した。対象は1993年10月から96年4月までに撮影したMR画像のうちeffusionを認めた33例で, その臨床診断は顎関節症29例, リウマチ性顎関節炎1例, 陳旧性脱臼1例, synovial osteochondromatosis 1例, 下顎骨周囲炎に後遺する下顎頭萎縮1例であった。男性5例, 女性28例, 年齢は14-65歳, 平均38.9歳であった。effusionは矢状面SE法MR撮像T2画像で上または下関節腔に, 高信号を示し, かつT1画像で低信号を示すものとした。臨床症状, X線写真所見, 円板動態との関連と, このうち16例20関節は2か月から1年9か月後に経時的変化について検討した。その結果, 初回MR所見でeffusionを認めた部位は上関節腔37, 下関節腔2関節で, 溝口らの分類によると帯状17, 太線状7, 線状7, 点状8関節であった。主訴は顎関節部の疼痛が多かった。また復位を伴わない円板前方転位例に多く, 特に帯状の例にその傾向が強かった。開口度は16-54mm, 平均37.3mmであった。X線写真所見で骨変形を認めた例にやや多いが, 約半数の関節では骨構成体に変化はなかった。経時的にはeffusionが消失したもの7関節, 大きさが縮小したもの5関節, 変化のないもの7関節, 性状が変化しているもの1関節であった。この像は下顎頭が, 滑膜表面に大きな応力が加わることによって, 滑膜や関節構成組織より, 組織液や何らかの融解産物が滑液中に浸出した結果と考えられた。
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高信 英明, 矢島 武幸, 高西 淳夫, 大月 佳代子, 大西 正俊
1997 年 9 巻 1 号 p.
72-79
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
本論文は歯科口腔外科学とロボティクスの融合による開閉口訓練ロボット WY-1 (Waseda・Yamanashi-1) の開発およびロボットを治療へ適用した結果を述べる。開閉口障害症例に対しては機能訓練治療の一環として開口訓練がおこなわれている。しかしその際用いられる従来よりの木ネジ式・バイトブロック式・センタクバサミ式などの開口訓練器は主に開口域を拡大する単純な機構から構成されており, 駆動装置は備えられておらず, 治療は歯科医師の経験と技術に大きく依存していた。そこで筆者らは開閉口訓練装置の定量化を目指して, ロボット化した開閉口訓練装置の開発を1995年より進めている。
本論文では筆者らが1995年に開発した1自由度開閉口訓練ロボットの構成および開発したロボットを用いて治療した結果, 開口域が14 [mm] から21 [mm] に向上した成果について述べる。
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松香 芳三, 伊藤 真午, 水口 一, 窪木 拓男, 山下 敦
1997 年 9 巻 1 号 p.
80-91
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
顎関節症の診断に質問表は重要な役割を果たしている。しかし, 回答が対象者個人によって行われるため, 症状に対する注目度, 日常生活支障度, 対象者内の症状変動などにより, その記述が影響を受けるという問題点もある。
今回新たに作製した顎関節症症状に関する質問表の妥当性を調査するため, 質問表の結果と臨床診査の一致度を統計学的に検討した。
対象は順正短期大学保健科歯科衛生専攻2年生 (46名) で, まず対象者に今回作製した質問表の質問項目に回答させた。質問表への回答終了後, 回答内容を知らない3人の検者が個別に顎関節雑音, 下顎頭運動の触診, 開口量計測, 顎関節部および顎顔面筋の触診などを行った。
3人の検者の臨床診査結果に対する信頼性は, 顎関節雑音の有無9下顎頭運動制限の有無に関してはKappa値が0.6以上, 開口量計測においては相関係数が0.8以上であった。しかし, 顎関節部および顎顔面筋の圧痛の有無に関してはKappa値が0.6未満であった。
質問表の臨床徴候に対する妥当性では, 最大開口時顎関節痛, 硬固物咀嚼時痛, 大開口困難などの項目において感度>0.70, 特異度>0.75を満たしている項目が認められた。顎関節雑音に関しては特異度が低く, 顎顔面部の疹痛に関する多くの項目では感度が低いという結果であった。
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第1報 音楽学部学生と一般学部学生のアンケートによる横断的調査
羽田 勝, 布袋屋 啓子, 石川 正俊, 斎賀 明彦
1997 年 9 巻 1 号 p.
92-107
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
楽器演奏が顎関節症の原因となるか否かについては, 必ずしも明らかでない。そこで, 本研究では音楽学部 (366名) と一般学部 (191名) の全学生を対象に演奏楽器の種類と顎関節症の臨床症状の有無や各種既往歴などについて横断的なアンケート調査を行い, 楽器演奏と顎関節症との関連について検討した。
アンケート結果の分析に際しては, 音楽学部学生を声楽や管楽器などの演奏に口を使用する口使用群 (116名) と, 鍵盤楽器, 弦楽器や打楽器などの口を使用しない不使用群 (250名) に分けて検討した。
その結果, 以下のような知見が得られた。
1. 顎関節症の主要3徴候の発生頻度には, 各被験群間で差がなく, 何れの群でも関節雑音の発生頻度が最大であった。
2. 口使用群では, 2つ以上の症状を保有する複症者の割合が3年生までは低かったが, 4年生で著しく増加し, 他の被験群よりも有意に高い頻度であった。
3. 口使用群の複症者の割合は, 声楽を専攻する学生で有意に高く, リード楽器では複症者や3徴候を全て保有する重症者の発生がなかった。
4. Bruxismについては, 各被験群の複症者や重症者において自覚するものが比較的多く, 症状を持たない無症者では少なかった。
以上の結果から, 楽器演奏全般が顎関節症と関連を持つ訳ではなく, 声楽において関連性の高いことが示唆された。また, 口使用群ではBruxismがあると顎関節症を誘発する可能性の高いことが示唆された。
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布袋屋 啓子, 羽田 勝, 石川 正俊, 斎賀 明彦
1997 年 9 巻 1 号 p.
108-119
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
臨床診査によって顎関節内障が疑われた患者の病態を当科専用のプロトコールを用いて診査し臨床診断を行った。さらに臨床診断とMRIによる確定診断の関連性を検討した結果, 以下のような知見が得られた。
(1) 臨床診断と確定診断が一致したのは正常で56%, 復位性円板転位で62%, 非復位性円板転位で70%, 全体では61%であった。
(2) 閉口時の円板位置に関する臨床診査の正確性を表す値は以下のようであった。
sensitivity 0.87, specificity 0.79, accuracy 0.72, positive predictive value 0.86, negative predictive value 0.56
(3) 臨床的片側例のうち円板転位が実際に片側性であった者は51%, 実際には両側性であった者が42%に及んだ。臨床的両側例では67%で実際に両側性の円板転位が生じていた。
以上より臨床診断の正診率はかなり低く, 治療にあたってはMRI等の診査が必要であることが示唆された。
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左右下顎頭の滑走率差と回転率の経時的変化について
池田 洋子, 木本 克彦, 遠藤 ゆかり, 玉置 勝司, 青木 英夫
1997 年 9 巻 1 号 p.
120-129
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
本研究の目的は, Cadiax, ver2.0 (GAMMA社製) を用いて下顎頭の動態を測定し, その変化を客観的に評価することにある。
被験者は, 顎関節雑音を主訴とし, 当教室の顎関節雑音計測システムおよびMRIにて復位性の関節円板転位と診断された顎機能異常者20名と顎関節に異常を認めない正常者20名を対象とした。そして今回は, 比較的再現性の高い習慣性最大開閉口運動について, 左右下顎頭の滑走運動における滑走率差と回転率の経時的変化について動態グラフを作製し, 比較検討を行った。
その結果, 下記の結論を得た。
(1) 顎機能異常者群では, 左右下顎頭の最大滑走量に差が認められないものを選出したが, その左右下顎頭の滑走運動における滑走率差は, 正常者群に比べて有意に乱れていた。
(2) 回転率の変化では正常者群と顎機能異常者群との間では, 異なった傾向を示し, 特に開口相に著明に現われた。
(3) 左右下顎頭滑走率差および下顎頭の回転率の動態グラフは, 下顎頭の動態を客観的に知る評価法の一つであり, その臨床応用の可能性が示唆された。
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造影所見と治療効果との比較
樋田 京子, 由良 晋也, 穴沢 敏行, 佐藤 淳, 佐藤 千晴, 小林 隆, 井上 農夫男, 戸塚 靖則
1997 年 9 巻 1 号 p.
130-138
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
慢性のクローズド・ロック症例に対するパンピング・マニピュレーション法を主体とした治療法の効果ならびに適応を明らかにする目的で, 31名36関節 (男性4名, 女性27名, 年齢16歳から69歳) を対象として, 各症例を関節造影所見からWilkesの顎関節内障の病期分類を参考にStageIII-Vに分類し, Stage別に本法の治療成績を検討した。さらに年齢, 性別, ロック期間と治療成績との関係についても検討を加えた。治療成績は本療法後3か月以内に無痛開口度が38mm以上となり, 顎関節ならびに周囲組織の疼痛が日常生活において支障とならない場合に有効と判定した。患者の性別, 年齢と治療成績の間には明らかな関連はみられなかった。また, ロック期間によらず, 本法は60%以上の有効率を示した。関節造影所見との関連では円板の穿孔のないStage IIIおよびStage IVの症例で64%, 穿孔を伴うより病態の進んだStage Vにおいては55%で, Stageの進行とともに治療効果は低下していた。以上より本法は慢性のクローズド・ロック症例に対しても症例に応じ行ってみる価値のある治療法であることが示唆された。
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今村 英夫, 大石 和代, 後藤 昌昭, 久保田 英朗, 香月 武
1997 年 9 巻 1 号 p.
139-151
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
1994年1月から1995年10月末までの1年10か月間に当科を受診した顎関節症患者116名を対象に, マイクロコンピュータ利用顎関節症評価法 (lnteractive Microcomputer Patient Assessment Tool for Health; IMPATH/TMJ) を用いて, 患者の生活習慣, 心理状態, 社会的・家庭的背景など, 顎関節症の発症と増悪に関する寄与因子を分析した。
その結果, 顎関節症患者における寄与因子の中では, 情緒不安レベルのスコアが高い傾向にあった。また, 各寄与因子のスコアは男女間で有意な差を認めなかった。罹病期間が3年を越える患者では, 3年未満の患者よりも回復を目指す姿勢の問題のスコアが有意に高値を示した。心身医学的な治療を行った顎関節症患者では, それ以外の患者に比べ, 複雑レベルのスコアが有意に高かった。
以上の結果より, 顎関節症患者が有する寄与因子を的確に把握することは, 顎関節症の治療において重要であると考えられた。
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田中 栄二, 菊池 一晃, 柴口 竜也, 丹根 一夫
1997 年 9 巻 1 号 p.
152-159
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
本研究は, 成犬の新鮮顎関節円板を用いて圧縮試験を行い, 顎関節円板の圧縮力に対する生体力学的反応を明らかにすることを目的とした。
試料として, 成犬10匹より採取した16個の顎関節円板を用いた。圧縮速度0.002mm/secで, 徐々に圧縮力を加えたところ, 応力-歪み曲線は三次関数Y=17.4X
3-18.1X
2-5.5Xとして, きわめて高い精度 (決定係数0.83) で近似された。また, 歪み量が1.0%以下の領域においては, 歪み量が増加しても応力値がほとんど変化しなかったことより, 不応期の存在が示された。一方, 歪み量が1.0-2.5%の領域においては, 歪みに応じた応力変化が見られ, 顎関節円板の弾性係数は5.36kgf/mm
2であった。
さらに, 約100gf/mm
2および150gf/mm
2の圧縮力に相当する強制変位を顎関節円板に瞬時に加えた後, 応力値を経時的に測定した結果, 圧縮応力値が収束するまでに30秒以上を要した。また, 顎関節円板の弾性係数については圧縮直後で最も大きく, その後は経時的に減少するものの, 初期変位が大きいほど大きな応力値に収束した。
以上より, 顎関節円板の弾性係数は骨組織よりもきわめて小さく, 軟骨よりも大きい値を示した。また, このような機械的性状が顎関節における応力, とりわけ咬合負荷による圧縮応力を緩衝し, 顎関節を構成する硬軟両組織の形態保持にきわめて重要な役割を果たすものと考えられる。
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岩佐 昌典, 北川 善政, 小笠原 利行, 石井 保雄
1997 年 9 巻 1 号 p.
160-171
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
顎関節内障 (非復位性関節円板前方転位例) 30例30顎関節に対し, 顎関節磁気共鳴映像法 (MRI) と上下顎関節腔二重造影コンピューター断層撮影法 (CT) を併用し検討した。17例が変形性関節症と診断され, また, 13例には骨変形のないことが示された。MRIは関節円板の転位や形態変形の把握ばかりでなく, 下顎頭の虚血性壊死の診断にも有用であった。顎関節二重造影CT法は, 骨皮質の粗造性や骨棘のような硬組織の変化同様, 関節円板あるいは円板後部組織の穿孔, 関節腔内の変化及び線維性癒着の検索に特に有用であった。MRとCT両検査の併用は, 互いの欠点を補完し, 顎関節症の総括的な診断を行う上で有用であった。骨変形群の関節円板は, 骨変形なし群よりも激しい形態変化を現していた。また, 軟組織の穿孔は骨変形群にのみ認められた。これらのことから硬組織の変化は, 顎関節内障の病態の進行を示唆していると思われた。
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谷口 亘, 依田 哲也, 阿部 正人, 依田 泰, 宮村 寿一, 森田 伸, 坂本 一郎, 塚原 宏泰, 三井 妹美, 小野 富昭, 榎本 ...
1997 年 9 巻 1 号 p.
172-179
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
疼痛を伴わない関節雑音を主訴として来院した患者に, 関節雑音に対するわずらわしさの程度, ならびに治療に対する希望の程度についてアンケート調査を施行し以下の結果を得た。
(1) 関節雑音を非常にわずらわしい, またはわずらわしいと自覚している患者は全体の54.2%を占め, さらに気になる時もある患者も含めると92.9%であった。(2) どんなことをしても治したいと希望した患者は38.7%で, さらに通院での治療を希望していた患者を含めると84.6%であった。
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米本 和弘, 鷲見 裕子, 中村 美保, 佐藤 公治, 桑原 未代子, 日比 五郎
1997 年 9 巻 1 号 p.
180-185
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
Hunter症候群の1症例を報告する。症例は19歳, 男性, 開口障害と睡眠時呼吸障害を主訴に当科初診した。4歳時に頭囲の異常と手指関節の運動異常を指摘されHunter症候群と診断された。現症として身長122cm体重30kgで, 鞍鼻, 太い眉毛などのガルゴイリズム様の顔貌を呈し, 開咬状態で, 最大開口で上下中切歯間距離は約10mm増加した。下顎の前方, 側方滑走運動はほとんど不可能であった。X線所見では, 下顎骨の劣成長, 下顎枝の短縮, 下顎頭の形態異常が認められた。スプリント治療により開口障害と呼吸障害の改善がみられた。本症例にみられた顎顔面骨格異常, 顎関節機能異常などの病態が, 酸性ムコ多糖の代謝障害による軟骨性骨化障害, 関節軟骨障害, 軟組織への酸性ムコ多糖沈着により, 生後徐々にあらわれるものとすれば, 早期からの当科的関与により顎機能異常, 呼吸障害を軽減させる可能性があると考えられた。
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Christian S. Stohler
1997 年 9 巻 1 号 p.
187
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
188-197
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
198-209
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
210-224
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
225-233
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
234-243
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
244-253
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
254-261
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
262-271
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
272-281
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
282-285
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
286-289
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
290-294
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
295-298
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
299-304
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
305-307
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
フリー
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1997 年 9 巻 1 号 p.
308-312
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
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1997 年 9 巻 1 号 p.
313-317
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
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1997 年 9 巻 1 号 p.
318-321
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
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1997 年 9 巻 1 号 p.
322-325
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
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1997 年 9 巻 1 号 p.
326-329
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
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1997 年 9 巻 1 号 p.
330-334
発行日: 1997/06/20
公開日: 2010/08/06
ジャーナル
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1997 年 9 巻 1 号 p.
e1
発行日: 1997年
公開日: 2010/08/06
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