日本顎関節学会雑誌
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連載解説
  • 雨宮 俊彦, 本田 和也
    2018 年 30 巻 3 号 p. 237-242
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/02/04
    ジャーナル フリー

    顎関節のエックス線を用いた画像検査には,パノラマエックス線撮影法やパノラマ4分割撮影法がある。これらのエックス線撮影法を組み合わせることで2方向からの画像が得られ,おおよその顎関節の形態を診断することが可能であるが,これらの撮影法で得られる情報は二次元(平面)であり,三次元(立体)である顎関節を正確に評価するためには必要に応じて医科用CTや歯科用コーンビームCT(CBCT)を用いた診断が求められる。

    医科用CTやCBCTは空間分解能が高く,変形性顎関節症や関節リウマチ,顎関節強直症,骨折などの診断に最も適している。特にCBCTは硬組織に対して非常に高い分解能を示し,微細な骨梁構造や解剖学的構造を明瞭に描出することが可能である。MRIが普及するまでは造影剤を用いた顎関節造影法が関節円板の転位や形態を診断する唯一の方法であったが,いまでもMRIでは判別しづらい関節円板の穿孔や癒着などの診断に用いられている。

    CBCTは形態学的診断以外にも,顎関節症の外科的治療法のパンピングマニピュレーションや関節腔洗浄療法における穿刺部位や穿刺角度,穿刺深度を決定するために術中で利用されている。

    本稿では,顎関節部のCBCT撮影の注意点とその撮影手技について記載した。また,その解剖学的内容(造影像を含む)と,代表例として変形性顎関節症,骨折,顎関節強直症,滑膜性骨軟骨腫症の4例についても記載した。先生方の日常臨床に役立てば幸いである。

依頼論文
  • 矢吹 省司
    2018 年 30 巻 3 号 p. 243-248
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/02/04
    ジャーナル フリー

    腰痛と肩こりは男女ともに有する頻度が高く,国民を困らせている2大症状である。腰痛と肩こりの病態の共通点は,頻度の多い症状である,椎間板変性だけが症状の原因ではない,ストレスなどの心理社会的要因が深く関わっている,そして,症状は局所であっても脳も含めた全身疾患として捉える必要がある,という点である。腰痛と肩こりの治療の共通点は,保存療法が基本である,運動の種類とは関係なく運動療法を行うこと,それ自体が有効な治療である,そして,全身運動は最も勧められる運動療法である,という点である。

    運動により痛みが軽減する(exercise-induced hypoalgesia:EIH)メカニズムには内因性疼痛調節系が関与していることが報告されている。現時点で最も有力なEIHメカニズムは,カンナビノイドが関連しているというものである。カンナビノイドはマリファナ類似作用を示し,EIHを引き起こす。

    慢性痛にはさまざまな要因が関与しているため,病態の解析や治療には多職種が関わる集学的診療が推奨される。われわれが行っている集学的治療の中心となるのは,運動療法と心理療法である。私が考える慢性痛に対する認知行動療法のポイントは,痛み0だけの生活を目指さない,元々の痛みの原因を追究するより“今”の症状をどうするか,そして「痛みがあってもなんとかなる」という自信が大事,の3点である。

原著
  • 松香 芳三, 西山 暁, 湯浅 秀道, 水口 一, 髙野 直久, 羽毛田 匡, 鈴木 善貴, Junhel C. DALANON, 久保田 ...
    2018 年 30 巻 3 号 p. 249-254
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/02/04
    ジャーナル フリー

    後期高齢者において顎関節脱臼が繰り返し発症すると,摂食・嚥下機能が大きく障害され,体力が低下するフレイルに陥る可能性がある。しかしながら,現時点では要介護高齢者における顎関節脱臼の発症頻度や状態などが不明であることから,特別養護老人ホームにおける顎関節脱臼の実態調査を実施した。

    公益社団法人全国福祉施設協議会の了解を得て,無作為に特別養護老人ホームを抽出し(東京都:176施設中20施設,名古屋市:42施設中10施設,岡山市:39施設中10施設,徳島市:10施設中10施設),顎関節脱臼に関するアンケート調査を実施した。アンケート項目は,施設名,回答者職種および氏名,回答日,過去1年間における利用者総数(通所者,入所者),往診歯科医あるいは歯科の存在,過去1年間における顎関節脱臼患者総数(通所者,入所者),顎関節脱臼の整復が困難だった症例数,および他施設に顎関節脱臼の治療依頼をした症例数とした。

    アンケートに回答した施設数は50施設中39施設(78%)であった。特別養護老人ホームにおける過去1年間の顎関節脱臼患者数は通所者が0人/1,653人(0%),施設入所者が12人/3,240人(0.4%)であった。顎関節脱臼の整復困難症例は5人/12人(41.7%)であり,脱臼に対する治療を依頼した症例は6人/12人(50%)であった。

    特別養護老人ホーム入所者における顎関節脱臼患者の割合は高くはないが,一定数が存在することが理解できた。また,顎関節脱臼患者の整復が困難であったものは高い割合を示した。

  • 藤田 温志, 永易 裕樹
    2018 年 30 巻 3 号 p. 255-260
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/02/04
    ジャーナル フリー

    今回,脳神経外科手術後に生じる開口障害の臨床的特性について検討した。札幌禎心会病院脳神経外科において手術を施行した114例を対象として,手術アプローチ,術前の開口量,術直後の開口量の変化,開口訓練後の開口量の変化,開口訓練期間について解析した。術後の開口量の変化は術前と術後の比で表し,開口訓練後の開口量の変化は術前と開口訓練後の比で表した。待機手術を受けた114例について側頭部に切開を加える手術群(以下,側頭切開群:前頭側頭開頭法63例,側頭開頭法2例,前頭側頭開頭法+頸部切開3例,計68例),側頭部に切開を加えない手術群(以下,非側頭切開群:前頭開頭法25例,外側後頭下開頭法17例,頸部切開4例,計46例)の2群に分けて,術直後からの開口量の変化,開口訓練後の開口量の変化,開口訓練期間について比較検討を行った。その結果,術直後の開口量の変化は,側頭切開群が非側頭切開群に比較して有意に減少していた。開口訓練後の開口量の変化は,側頭切開群が非側頭切開群に比較して有意に低下していた。開口訓練期間は,側頭切開群が非側頭切開群に比較して有意に長かった。

    検討の結果,脳神経外科手術によって開口障害が生じる可能性があり,なかでも側頭部に切開を加える手術アプローチにおいて開口障害が増悪した。

症例報告
  • 細木 真紀, 西川 啓介, 前田 直樹, 細木 秀彦, 松香 芳三
    2018 年 30 巻 3 号 p. 261-265
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2019/02/04
    ジャーナル フリー

    患者は68歳の女性であり,初診約10年前に自律神経失調症の診断を受けた。同時期より頸部の違和感のために週2回程度,カイロプラクティックで施術を受けていた。4~5年前から嚙みにくさを自覚し,右側で嚙めなくなったため,2013年に開業歯科医で下顎右側臼歯部に暫間被覆冠が装着された。経過観察されていたが,右側臼歯部の離開が進むため,2015年に徳島大学病院に紹介された。臨床所見としては,左側顎関節雑音を認め,開口制限や頭頸部の圧痛は認めなかった。パノラマエックス線写真では,両側下顎頭の吸収と下顎枝の短縮を認め,CT画像では両側下顎頭と下顎窩の著しい形態異常を認めた。かかりつけ内科の検査ではリウマトイド因子は陰性で,本院整形外科においても軽度頸椎症の診断であった。両側変形性顎関節症と診断し,スタビライゼーション型スプリントを装着し,経過観察後,歯冠修復を行った。本症例ではスプリントを用いた咬合接触の安定化と段階的な補綴治療が咬合状態の改善に効果的であった。

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