奥尻島に分布する白亜紀藻内火山岩類(ドレライト,安山岩,流紋岩質溶結凝灰岩など)のRb-Sr全岩アイソクロン年代は, 101.3±4.8 Maを与え,
87Sr/
86Sr初生値は, 0.70532±0.00007を与えた。この年代と
87Sr/
86Sr初生値は,奥尻島および西南北海道西縁に産する白亜紀花崗岩類の年代と
87Sr/
86Sr初生値に類似している。この事実は,藻内火山岩類とこれらの花崗岩類が,ほぼ同時代に活動したことを示唆するとともに,両者の起源物質の同位体組成も似たものであることを示唆している。藻内火山岩類は,北海道・日高山脈の西側地域から東北日本の北上山地にいたる地帯に分布する同時代の火山岩類よりも高い
87Sr/
86Sr初生値を有している。東北日本から北海道にかけて広く分布する,前期白亜紀の火山岩類と花崗岩類の
87Sr/
86Sr初生値の水平変化(東側から西側へ
87Sr/
86Sr初生値が増加する)は,大陸縁部の火成岩にみられる傾向と一致しており,東北日本の第四紀火山岩にみられる
87Sr/
86Sr初生値の水平変化とは逆の傾向にある。
抄録全体を表示