岩鉱
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90 巻, 5 号
May
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論説
  • 金子 慶之
    1995 年 90 巻 5 号 p. 143-154
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
    中央ネパールヒマラヤのアンナプルナ山塊南部の変成岩類は,主中央衝上断層(Main Central Thrust: MCT)によって,上位のHigher Himalayan Sequence(HHS)と下位のLesser Himalayan Sequence(LHS)の二つのzoneに分けられる。
       従来から議論のある‘inverted metamorphism’を検証するために,下位のLHSから上位のHHSを横切るようなルートの泥質変成岩についてザクロ石黒雲母地質温度計を用い温度構造を解析した。その結果,LHSではその最上部を除いて400-450°Cとほぼ一定の温度を示すが,最上部においてはMCTに向かい450°Cから650°Cと急激に温度が上昇することが明らかになった。また最高温度軸はHHS中央部付近に位置し(約750°C),さらに上部に向かっては,再び下降するということも明らかとなった。
       LHSとHHSの泥質変成岩中のザクロ石の累帯構造には明らかな違いが認められる。すなわち,LHSのものは,正累帯構造を示すのに対し,HHSのものは,一部のサンプルを除いて,ほとんどが逆累帯構造を示すことが明らかとなった。
       以上の結果から,本地域の変成岩類の熱構造を形成したテクトニックモデルとしては,比較的‘クール’なLHSの上に,‘ホット’なHHSが衝上した可能性が考えられる。
  • 猪俣 道也, 金 容義
    1995 年 90 巻 5 号 p. 155-162
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
    中朝古陸の太古代・原生代の地層に胚胎する天山鉱山の金鉱床についてボーリングデータを含めた地質調査にもとづき,その産状をまとめた。富鉱部は鉱脈が複合する所で,主要鉱床タイプは,緑泥石化作用,珪化作用と黄鉄鉱化作用を伴うせん断帯に沿って発達した含金石英脈である。南江貫入岩のドレライトに貫入されている含金石英脈が狼林系のミグマタイトと第3グループの蓮花山花こう岩類のせん断帯に存在することから,第3グループの蓮花山花こう岩の火成活動と南江貫入岩の火成活動の2期に主な鉱化作用があったと考えられる。
    Anshan 鞍山,Chonsan mine 天山鉱山,Mt. Chonma(1,169 m)天摩山,Choyak(Sansei)mine 三成鉱山,Chonma-Yongsan fault 天摩—永山断層,Daeyudong mine 大楡洞鉱山,Jilin 吉林,Liaohe 遼河,Liaoning 遼寧,Machollyong 摩天嶺,Namgang 南江,North-Pyongan Province 平安北道,Okchon 沃川,Rangnim 狼林,Ryonhwasan 蓮花山,Sangwon 祥原,Tanchon 端川,Unsan 雲山,Yingkou-Kuandian 営口—寛甸
  • 阪口 美子, 永尾 隆志
    1995 年 90 巻 5 号 p. 163-172
    発行日: 1995年
    公開日: 2006/12/26
    ジャーナル フリー
    Fassaitic augite was found in the Kajishi-yama basanite from Tsuyama Basin, Okayama Prefecture, Southwest Japan.
         The fassaitic augite occures as follows;
         (1) An anhedral complex, zoned core, separated from the rim by a optically sharp boundary,
         (2) An outer most rim of clinopyroxene phenocryst.
         Both types of fassaitic augite are rich in TiO2 (1.65-5.06 wt%) and Al2O3 (10.44-14.98 wt%). The fassaitic augite core has lower mg value (100 Mg/(Mg+Fe2+) =52.4-67.2) and higher Na2O contents (1.54-2.09 wt%) than those of clinopyroxene phenocryst rim.
         The fassaitic augite core is considered to have crystallized from an evolved, strongly alkaline basaltic magma in a deep-seated magma chamber, and subsequently the magma might be mixed with the Kajishi-yama basanite magma from which the fassaitic augite rim was crystallized.
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